インタビューの準備
半構造化インタビューの進め方。質問を作り、話に合わせて深める
調べたい問いから質問項目を作る手順と、社内の引き継ぎを題材にした質問例。編集できるインタビューガイドを無料でダウンロードできます。
公開日:更新日:執筆・運営:Klang AI AB
方法を選ぶ
聞くテーマを用意し、答えに応じて追加で聞く
半構造化インタビューは、扱うテーマや質問を事前に準備しながら、参加者の回答に応じて順番や追加質問を調整する方法です。経験の経緯や、その人がどう捉えたかを詳しく聞きたいときに検討できます。
このページは、業務上の調査で質問を準備するための実践ガイドです。質問の準備、録音、逐語録、分析は別の作業として扱います。分析手法の選び方や、研究計画の承認を代替するものではありません。
質問があるからといって、台本をすべて読み切る必要はありません。回答が先のテーマにも触れたら重複を避け、何を聞けたかを記録します。一方、想定と違う話をすぐに遮ると、調べたいことに関係する背景を見落とす場合があります。
質問を作る
調べたい問いを、そのまま参加者への質問にしない
調査側が知りたいことと、参加者が具体的に答えられることを分けます。次の表は、引き継ぎの運用を見直すための架空の設計例です。
回答がない場面を、必ずあったものとして聞かないようにします。「止まらなかった」「別の経験はない」も回答です。追加質問はすべてを聞くチェックリストではなく、まだ分からない点を確かめる候補です。
| 調べたい問い | 最初に聞く質問 | 回答に応じた追加質問 |
|---|---|---|
| 必要な情報をどう探しているか | 直近の引き継ぎで、最初に何をしましたか。 | その情報は、どこで見つけましたか。 |
| 担当者をどう確かめているか | 誰に連絡するかは、どのように決めましたか。 | 決めるために確認したものはありましたか。 |
| いつ対応が止まるのか | 途中で手を止めた場面があれば、教えてください。 | その直前には何が起きていましたか。 |
| 条件によって進め方が変わるか | 別の引き継ぎでは、進め方が違ったことはありますか。 | そのときは、何が違っていましたか。 |
質問の見直し
結論を含む質問を、具体的な経験を聞く形へ直す
質問を開いた形にしても、聞き手の反応や前後の文脈が回答に影響することはあります。期待した答えだけを深掘りせず、想定と異なる経験にも同じように具体例を尋ねます。
| 見直す質問 | 問題になりうる点 | 書き換え例 |
|---|---|---|
| 引き継ぎ表が分かりにくくて困りましたよね。 | 困ったという結論を先に示している | 引き継ぎ表を見たとき、どのように進めましたか。 |
| 情報は正確で、探しやすく、担当者も明確でしたか。 | 一度に複数のことを聞いている | 必要な情報をどう探しましたか。その後、内容の確認について別に聞く。 |
| 今後もこの仕組みを使いますか。 | 将来の意向だけでは実際の行動が分からない | 直近では、どんな場面でこの仕組みを使いましたか。 |
| なぜちゃんと確認しなかったのですか。 | 確認不足や非難を前提にしている | その時点では、何を確認できていましたか。 |
無料テンプレート
インタビューガイドの見本:導入・テーマ・終了確認を一枚にまとめる
次のTXTには空欄の記入欄と、架空の「社内の引き継ぎ」例を入れています。Klangが作成した実務用のひな形で、大学・学会の指定様式や同意書ではありません。
空欄を埋めたあとも、すべての項目をそのまま使う必要はありません。調査目的に関係しない質問を外し、業務で使う用語が参加者に伝わるかを確認します。
| 欄 | 書いておくこと | 当日の使い方 |
|---|---|---|
| 管理情報 | 目的、対象者の条件、ガイドの版、予定時間 | 使う版を確認し、変更した質問をメモする |
| 導入 | 調査の説明、記録方法、答えたくない質問の扱い | 事前に説明した内容を確認し、参加者の質問を受ける |
| テーマごとの質問 | 最初の質問、追加質問、確かめたいこと | 回答を聞いて、必要な追加質問を選ぶ |
| 終了 | 言い残したこと、後の連絡やデータ利用の説明 | 未確認の点を確かめ、次の扱いを伝える |
| 実施後メモ | 聞けたテーマ、質問の変更、次回の修正理由 | 参加者の発言とは別に、聞き手が記録する |
事前に試す
試行で、質問の意味と流れを確かめる
試行で質問が通じたことは、調査結果の妥当性が保証されたこととは別です。必要な人数、時間、質問数は目的や方法によって変わるため、このガイドでは共通の正解を設定していません。
- 01
実際の言葉で読んでみる
協力者に質問し、答えるために説明が必要だった語や、何を聞かれたか迷った箇所を記録します。
- 02
質問のつながりを確かめる
前の回答ですでに聞けた内容、急に話題が変わる箇所、複数の問いが混ざる箇所を整理します。
- 03
必要な質問を選び直す
予定時間と話の詳しさを見て、中心となるテーマと、余裕があれば聞くことを分けます。
- 04
修正理由と版を残す
「Q2の用語が伝わらなかったため言い換えた」のように記録します。実施済みの回と質問条件が変わった場合は、後の分析担当者にも伝えます。
当日の進行
答えを急いでまとめず、分からない点を確かめる
メモでは、発言の引用と聞き手の推測を分けます。「不満そうだった」は聞き手の解釈であり、本人が「不満です」と発言した記録とは同じではありません。
- 「確認した」と言われたら、必要に応じて何を・誰に・どの時点で確認したのかを聞く。
- 聞き手が要約して確かめるときは、「私はこう理解しましたが、違うところはありますか」と修正できる形で返す。
- 参加者が考えている間を、すぐに次の質問や答えの候補で埋めない。
- 予定外の話が目的に関係する場合は内容を確かめ、戻すときは自然な区切りを待つ。
- 最後に、言い残したことや聞き手が誤解している点がないかを確かめる。
記録を引き渡す
質問ガイドと録音・逐語録を対応させる
録音する場合は、目的、利用先、共有範囲、保管、参加を取りやめる場合の扱いなどを事前に説明し、所属先の手続きに従います。クラウドの文字起こしを使う場合も、その利用が認められているか確認してください。
原本の録音にインタビューIDを付け、使用した質問ガイドの版と対応させます。逐語録では話者と時刻、聞けなかった箇所を残し、質問の変更や録音の中断は別の実施メモに記録すると、後から経緯を確かめられます。
Klangでは対応する音声ファイルをアップロードして文字起こしし、音声を再生しながら編集できます。自動文字起こしを確認してから、必要な引用や分析の材料へ進めます。調査設計や質的分析の判断は担当者が行います。
分析する
半構造化インタビューの分析方法
半構造化インタビューは、同じテーマを全員に聞きつつ答え方が人によって違うため、逐語録を「質問ガイドのテーマ」と「答えから見えた新しい論点」の両方から読みます。
- 01
逐語録を意味のまとまりで区切る
一つの発言を、一つの出来事や考えを表す単位に区切り、インタビューIDと時刻を付けます。区切った単位が、後で引用に戻るときの住所になります。
- 02
区切りにコード(短い見出し)を付ける
最初は参加者の言葉に近い見出しを付け、数人分を終えたら、似たコードをまとめて定義を書きます。コードの定義と例を一覧にしておくと、複数人で分析しても判断がそろいます。
- 03
コードをテーマにまとめ、ガイドと照らす
質問ガイドで用意したテーマごとに、どのコードが集まったかを見ます。ガイドにないテーマが複数の人から出た場合は、新しい論点として別に立てます。
- 04
人ごとの違いと、言及しなかった人を確かめる
何人が言及したかだけでなく、言及しなかった人や逆の経験を話した人を確認します。聞けなかった質問と、聞いたが答えがなかった質問は分けて扱います。
- 05
解釈と引用を分けて書く
報告には、テーマの説明(解釈)と、それを支える発言の引用を分けて載せます。引用には時刻を残し、元の音声で言い回しを確かめてから使います。
| 進め方 | 向いている問い | 注意点 |
|---|---|---|
| テーマ分析 | 多くの人に共通する経験や考えを整理したい | テーマを先に決めすぎず、答えから出た論点も残す |
| 質的コーディング | 発言を細かく比べ、概念を作りたい | コードの定義と例を一覧にし、途中の変更を記録する |
| KJ法(親和図) | チームで論点を出し合い、関係を整理したい | 1枚のカードに1つの事実を書き、元の発言IDを付ける |
| 質問ごとの要約表 | 短期間で質問ごとの傾向を共有したい | 要約だけで判断せず、少数意見と引用を併記する |
応用
応用:記録と比較で迷う場面
聞けなかった質問、追加質問の理由、途中で終わった回、質問を変えた回など、分析の前に記録で区別しておく場面です。
聞けなかったことと、答えがなかったことを分ける
インタビューごとのテーマのカバー状況を残します。以下は架空の引き継ぎ調査です。回答の有無を肯定・否定と読み替えません。
| 参加者 | 情報を探した経験 | 困った場面 | 次の扱い |
|---|---|---|---|
| P01 | 質問・回答あり | 時間切れで未質問 | 未質問として残す |
| P02 | 質問・回答あり | 回答を控えたいとの希望 | 回答辞退として残す |
| P03 | 該当経験なし | 質問・回答あり | 経験なしを回答として保持 |
CSVでは『質問済み・未質問・回答辞退・該当経験なし』を区別し、ガイドの版と参照先を残します。空欄だけでは理由が分からなくなります。
聞けなかったことと、答えがなかったことを分けるのCSVをダウンロード(架空の記入例つき)追加質問をした理由も、発言とは別に残す
半構造化インタビューでは、回答に合わせて質問が変わります。聞き手が加えた方向づけを後から点検できるようにします。
| 最初の質問 | 回答のきっかけ(架空) | 実際の追加質問・理由 |
|---|---|---|
| 最初に何をしましたか | 『前任者に聞きました』 | 誰に連絡するかをどう決めましたか/連絡先の判断を知るため |
| その後どう進みましたか | 『一度止まりました』 | 止まる直前には何がありましたか/時系列を確かめるため |
| 別の経験はありますか | 『今回は特別でした』 | 何が普段と違いましたか/例外の条件を知るため |
記録するのは、実際にした質問です。準備した追加質問を、実施した質問として後から書き足しません。
途中で終わったインタビューを再開する
通信切断や参加者の都合で中断した場合、どこまで話したかと、記録できている範囲を分けて整理します。架空の例です。
| 段階 | 残す内容 | 再開時の確認 |
|---|---|---|
| 中断時 | テーマ2の途中、録音は18:20まで | 以降は録音されていない |
| 再開の調整 | 残るテーマと必要な時間 | 参加継続の希望を確認 |
| 冒頭 | 前回の話を短く説明 | 説明が本人の認識と合うか |
| 再開後 | 新しい日時・録音・ガイドの版 | 前回の発言と混ぜず参照を分ける |
再開できない場合は、未実施のテーマを欠落として残します。記憶で補ったメモを逐語的な発言として引用しないでください。
質問を変えた回は、同じ条件として比較しない
調査の途中で質問が改善されることはあります。変えた理由と、影響するテーマを記録します。
| 版(架空) | 変更 | 比較する際の注意 |
|---|---|---|
| v1/P01–P02 | 『普段どうしていますか』と質問 | 一般的な説明が中心 |
| v2/P03以降 | 『直近の一件を教えてください』へ変更 | 具体的な経験が出やすい設計 |
| 変更理由 | 実際の順番が分からなかったため | 参加者の違いだけで結果を説明しない |
| 報告 | 質問の版を添えて引用を整理 | 必要なら同じ追加質問で補足確認 |
古いガイドを消さず、対象者コードと版を結びます。質問が変わった影響を、参加者の意識変化や属性の差と決めつけないようにします。
聞き終えたら、元の発言を確かめられる記録へ
Klangは録音の文字起こしと、音声を聞き直しながらの確認を支援します。質問への回答が正しく記録されているかを確かめ、分析に使う材料を整えます。
- 利用が認められた録音をアップロードする。
- 話者や重要な発言を、音声と照合する。
- 逐語録と質問ガイドの版を対応させて管理する。
よくある質問
半構造化インタビューでは、全員に同じ質問をしますか?
共通のテーマや最初の質問を用意し、回答に応じて順番や追加質問を調整します。何を共通に聞くか、どこを調整できるかを事前に決め、実施時の変更を記録します。
質問項目はいくつ必要ですか?
一律の数はありません。調べたい問い、予定時間、参加者が具体的に話せる範囲に合わせて準備し、試行で絞ります。追加質問の候補を、すべて必ず聞く質問として数えないようにします。
質問ガイドのテンプレートは無料で編集できますか?
このページのTXTは、登録なしでダウンロードし、目的に合わせて編集できます。記入例は架空です。研究機関の指定様式や、録音への同意書として認められた書式ではありません。
録音をAIに渡せば、半構造化インタビューの分析まで完了しますか?
文字起こしや要約だけで分析が完了するわけではありません。質問の意図、回答の文脈、解釈の根拠を担当者が確認します。音声との照合を行い、原文と分析メモを区別してください。
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