会話の記録を仕事に使う
ユーザビリティテストの記録方法|観察シートと結果のまとめ方
ユーザビリティテストで、参加者の操作と発言を記録し、結果をまとめる方法です。観察記録シートの書き方、タスク完了の定義、助言した場面の扱い、課題カードと結果レポートの作り方を説明します。
公開日:更新日:執筆・運営:Klang AI AB
ユーザビリティテストの記録係と役割分担
進行役が記録も兼ねると、観察が抜けやすくなります。少人数でも役割を分けておくと、後で記録を照合できます。
| 役割 | やること | 記録するもの |
|---|---|---|
| 進行役 | タスクを読み上げ、参加者に考えを話してもらう | 助言した時刻と内容 |
| 記録係 | 操作と発言を時刻つきで書く | 観察記録シート |
| 観察者(任意) | 別室や画面越しに見て気づきを書く | 観察メモ(解釈は別欄) |
| 録音・画面記録 | 同意を得て記録する | 後で照合するための元データ |
タスク完了率の数え方:5人の結果を例に
以下は架空の結果です。「完了」を一つの数字にまとめず、支援の有無を分けて数えます。
この結果は「完了率80%(5人中4人)」とも「支援なしの完了率60%(5人中3人)」とも書けます。報告では両方を示し、どちらの数字かを明記します。5人の結果から全利用者の割合を推定することはできないため、割合よりも「どこで、なぜつまずいたか」を中心に報告します。
| 結果 | 人数 | 記録の根拠 |
|---|---|---|
| 支援なしで完了 | 3人(P1・P2・P4) | 保存完了の画面と発言 |
| 助言の後に完了 | 1人(P3) | 04:10に進行役が保存ボタンの位置を示した |
| 完了できなかった | 1人(P5) | 確認画面で中断。理由は本人の発言で確認 |
観察記録シートの書き方:操作と発言を並べる
参加者の氏名ではなく調査用のコードを使う記入例です。音声にない操作は、観察メモや許可された画面記録から補います。
| 参加者・タスク | 結果 | 観察・発言 | 支援 |
|---|---|---|---|
| P01/住所変更 T1 | 支援ありで完了 | 02:10 設定を3回開き直す。『どこから変えるのかな』 | 03:00に開始画面を案内 |
| P02/住所変更 T1 | 中断 | 02:30 操作を止める。理由は未確認 | なし |
CSVにはタスクの版、開始・終了、観察、発言、参照時刻、支援の有無を残します。氏名や実際の住所を入れる必要はありません。
観察記録シートの書き方:操作と発言を並べるのCSVをダウンロード(架空の記入例つき)参加者の発言と操作が食い違うときの記録方法
発言と行動が違って見えても、参加者が間違っているとは決めません。何が起きたかを残し、解釈を分けます。
| 情報の種類 | 架空の記録 | 扱い |
|---|---|---|
| 発言 | 終了後『簡単でした』 | 本人の感想として残す |
| 観察 | 保存ボタンを見つけるまで3画面を往復 | 画面記録または観察者メモを参照 |
| 解釈 | 保存場所が見つけにくい可能性 | 調査側の仮説として表示 |
| 追加確認 | どの画面で迷ったかを尋ねる | 誘導せず経緯を聞く |
音声だけをKlangに入れても、クリック位置や画面の見落としは確認できません。観察できていない行動をAIに推測させないでください。
タスク完了の定義の決め方
例のタスクは「テスト用の住所を変更して保存する」です。途中の画面に着いたことと、保存できたことを区別します。
| 状態 | 架空のケース | 集計上の扱い |
|---|---|---|
| 支援なし完了 | 自分で保存し、完了画面を確認 | 支援なし完了 |
| 支援あり完了 | 保存場所を案内した後に完了 | 別区分にする |
| 未完了 | 編集できたが保存せず終了 | 未完了 |
| 観察できず | 通信切断で保存結果が不明 | 成功・失敗に入れず不明 |
結果を率で示すなら、対象タスクと各区分の件数を併記します。少人数の例を一般ユーザー全体の成功率として説明しません。
進行役が助言した場面の記録方法
進行役が手を貸したことは失敗ではありません。ただし、その後の行動を支援なしの結果として扱わないようにします。
| 時刻 | 介入 | 記録する影響 |
|---|---|---|
| 01:20 | 『考えていることを話してください』 | 発話を促した。操作の場所は教えていない |
| 03:00 | 設定画面の場所を案内 | 以後は支援ありとして扱う |
| 04:10 | 通信が途切れたため再接続 | 待ち時間を操作時間から分ける |
| 終了後 | 迷った場面の理由を質問 | 回想の説明であり、その時点の観察ではない |
記録欄:タスク/介入時刻/言ったこと/理由/その後の行動/分析への影響。後から全体の所要時間だけを比べないようにします。
課題カードの書き方(根拠・影響・不確かさ)
『使いにくい』という結論だけでは、何を変えるか決められません。下は架空の課題カードです。
| 欄 | 記入例 | 注意 |
|---|---|---|
| 観察 | P01が保存場所を探して画面を往復 | 記録時刻02:10–03:00 |
| 影響 | 住所変更が支援なしでは完了しなかった | P01のこのタスクでの結果 |
| 解釈 | 保存操作の置き場所が期待と違う可能性 | 別の原因は未確認 |
| 優先判断 | 主要な手続きの完了を妨げるため先に検討 | 発生率の断定ではない |
| 次の確認 | 案内を変えた試作で同じタスクを試す | 改善済みと書かない |
人数、タスク、端末などの条件を添えます。珍しいケースでも影響が大きい場合があるため、件数だけで重要度を決めません。
結果のまとめ方:観察から改善案までの整理手順
観察者が別々に見たことを出した後、根拠を読み合わせます。意見の相違も消さずに残す例です。
| 段階 | 架空の成果物 | 次に確かめること |
|---|---|---|
| 観察 | P01が保存前に一覧へ戻った | 元の画面記録 |
| 発見候補 | 保存したつもりで移動した可能性 | 終了後の本人説明 |
| 別の説明 | 通信の遅れを避けて戻った可能性 | 接続状況のメモ |
| 変更案 | 保存状態が分かる表示を試す | 作成担当と検証タスク |
| 次回 | 支援なしで保存完了を認識できるか確認 | 結果を再記録 |
議論の結論は『採用する案』『まだ確かめる点』『次の担当』に分けます。音声の引用だけで、画面上の原因を決めません。
録音・画面記録の準備:知りたいことから記録方法を選ぶ
録音や画面共有を始める前に、目的、見られる人、保存方法を説明します。実際の個人情報を使わず、テスト用データで行えるか検討します。
| 知りたいこと | 記録方法 | 不足する情報 |
|---|---|---|
| 説明や理由 | 音声・発言メモ | 操作の位置や順番 |
| 画面上の行動 | 許可された画面記録・観察メモ | 発言しなかった理由 |
| 手元の作業 | 許可された映像・観察 | 映らない範囲 |
| 記録が難しい場合 | 担当者の観察メモ | 後から照合できる範囲が限られる |
個人情報が映りそうなら中断し、テスト用の画面へ戻す運用を決めます。録音できなかった部分は、後から作った逐語録として埋めません。
テストの録音から、発言の根拠を時刻つきで残す
ユーザビリティテストの会話をKlangで録音または録音ファイルをアップロードして文字起こしすると、記録係が書き漏らした発言を後から確かめられます。課題カードには発言の時刻を添え、元の音声を再生して文脈を確かめてから採用します。画面上の操作は音声に残らないため、観察記録や許可された画面記録と照合します。
- 参加者の「考えながら話す」発言を、聞き直して記録できる
- AIチャットで「保存ボタンに触れた発言」を探し、元の音声で確かめる
- 録音の保存先と閲覧者は、参加者への説明どおりに管理する
よくある質問
ユーザビリティテストの記録には何を書けばよいですか?
時刻、参加者のコード、タスク、操作、発言、進行役の助言、観察者の解釈を別々の列に書きます。操作と発言を並べておくと、「簡単だった」という発言と実際の操作が食い違う場面を見つけやすくなります。
記録係は何人必要ですか?
進行役とは別に、記録係を1人置くのが基本です。進行役が記録を兼ねると、タスクの説明や助言の間に操作を見落としやすくなります。人数が足りない場合は、同意を得たうえで録音や画面記録を残し、後から照合します。
ユーザビリティテストの結果は、どうまとめればよいですか?
課題ごとに、根拠となる操作と発言、起きた人数、影響、まだ分からないことを1枚の課題カードにまとめます。改善案は課題カードとは別に書き、チームで根拠を読み合わせてから優先順位を決めます。
進行役が助言した場合、そのタスクは失敗ですか?
失敗とは限りません。助言した時刻と内容を記録し、その後の行動を「支援あり」として、支援なしの結果と分けて数えます。どこで助言が必要になったかは、それ自体が重要な発見です。