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研究インタビュー・録音同意

研究インタビューの録音同意書。文例と、保存期間・AI文字起こしの書き方

質的研究のインタビューを録音するときは、録音の目的、文字起こしの方法、保存場所と期間、匿名化、撤回の方法を、協力者に分かる言葉で説明して同意を得ます。同意書にそのまま使える文例、生命科学・医学系研究の倫理指針が定める説明事項と保存期間、AIの文字起こしサービスを使う場合に書いておくこと、倫理審査の前の確認リストをまとめました。

更新日:執筆・運営:

研究分野や所属機関によって様式は違いますが、録音について協力者が知りたいことは共通しています。次の6項目を押さえておけば、所属機関の様式に合わせて書き換えられます。

録音の同意書に入れる項目と書き方
項目書くことよくある書き漏れ
録音の目的分析のために録音すること、研究以外に使わないこと「記録のため」だけで、使い道が書かれていない
録音・文字起こしの方法録音機器、文字起こしを誰が行うか(研究者・業者・AIサービス)外部サービスに音声を渡すことが書かれていない
保存場所と閲覧者保管する場所と、閲覧できる研究者の範囲個人のPCやクラウドに置くことを想定していない
保存期間と廃棄保存する期間と、期間後に削除・廃棄する方法期間が「研究終了まで」だけで、具体的な年数がない
匿名化逐語録で名前や地名を記号に置き換えること、引用の仕方引用で個人が特定される可能性に触れていない
撤回撤回できる期限、撤回したときの扱い、不利益がないこと公表後は取り除けない場合があることを書いていない

架空の研究を例にした文例です。○○の部分と、研究の内容に合わない箇所を書き換えて使ってください。所属機関に指定の様式がある場合は、その様式が優先します。

録音の同意書の文例(記入例)

【録音とその利用についての説明】(記入例・架空の研究)

1. 録音の目的
本研究「地域の子育て支援に関する保護者の経験」(研究責任者:○○大学 ○○学部 山田花子)では、インタビューの内容を正確に分析するため、会話を録音します。録音は本研究の分析以外の目的には使いません。

2. 録音と文字起こしの方法
録音はICレコーダー(またはオンライン会議の録画機能)で行います。録音した音声は、AIによる文字起こしサービス(事業者:Klang AI AB、サービス名:Klang)を使って文字にし、研究者が音声と照らして確認・修正します。このサービスは、入力された会話データをAIの学習に使わないことを公表しています。

3. 保存場所と期間
録音データと文字記録は、○○大学が管理するパスワードつきの保存場所に保管し、研究に関わる研究者(山田、鈴木)のみが閲覧します。保存期間は研究終了後○年間とし、期間が過ぎたら復元できない方法で削除します。

4. 匿名化
文字記録では、お名前・地名・勤務先など、あなたを特定できる情報を記号(例:Aさん、X市)に置き換えます。論文や発表で発言を引用する場合も、個人が特定されない形にします。

5. 同意の撤回
録音に同意した後でも、○年○月○日までは、理由を示さずに同意を撤回できます。撤回された場合、録音データと文字記録を削除し、分析に使いません。撤回しても不利益を受けることはありません。ただし、すでに公表した結果から取り除けない場合があります。

6. 録音の一部停止
インタビューの途中で、録音を止めてほしいときはいつでもお申し出ください。

□ 録音に同意します
□ 録音には同意しません(メモのみ可)
署名:________
日付:____年__月__日

研究名・人名は架空です。保存期間や撤回の期限は、研究計画書と所属機関の規程に合わせて決めてください。

録音をAIの文字起こしサービスにアップロードすることは、協力者の音声を外部の事業者に預けることです。倫理審査でも確認されやすい点なので、同意書と研究計画書の両方に書いておきます。

どのサービスを使う場合も、ここに書く内容は事業者の公式の説明で確かめ、確認した日付を研究記録に残しておきます。大学によっては、使ってよい外部サービスが決められていたり、情報セキュリティ部門の確認が必要だったりします。

AI文字起こしサービスについて確認し、書いておくこと
確認すること同意書・研究計画書への書き方の例Klangの場合
事業者名とサービス名「事業者:○○、サービス名:○○」と明記Klang AI AB/Klang
データをAIの学習に使うか「入力された会話データをAIの学習に使わないことを確認した」お客様のデータをAIモデルの学習に利用しません
通信・保存時の暗号化「通信と保存の両方で暗号化される」TLS 1.2以上で通信を暗号化し、ファイルは暗号化して保存
保存場所(地域)事業者に確認した保存地域を記入利用構成ごとに個別に回答。条件がある場合はオンプレミス導入も相談可
削除「研究者が削除したデータは、事業者のシステムからも削除される」お客様が削除した情報は、バックアップを含むシステム全体から継続的に削除
認証事業者が取得している認証ISO/IEC 27001:2022

医学・看護・保健などの研究は、文部科学省・厚生労働省・経済産業省の「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」の対象になることがあります。指針は、インフォームド・コンセントで説明する事項(第8の6)と、情報等の保管(第13)を定めています。

「5年または3年のいずれか遅い日」は、侵襲を伴う介入研究についての定めです。インタビューだけで行う研究の多くはこれに当たらず、保存期間は所属機関の規程や研究計画書で決めます。

人文学・社会科学のインタビュー調査が指針の対象になるかどうかは、研究の内容によって異なります。対象外の場合も、多くの大学は独自の研究倫理規程や倫理審査を設けており、学会の倫理綱領が定めを置いていることもあります。どの規程に従うかは、所属機関の倫理審査委員会に確認してください。

倫理指針のうち、インタビューの録音に関係が深い主な定め(要旨)
定め内容(要旨)
説明事項(第8の6)研究の目的及び意義、研究の方法(取得した情報の利用目的と取扱いを含む)と期間、随時撤回できる旨、同意しない・撤回しても不利益を受けない旨、個人情報等の取扱い、情報の保管及び廃棄の方法など
保管の基本(第13⑸)研究機関の長は、保管する情報等について、可能な限り長期間保管されるよう努めなければならない
侵襲を伴う介入研究の保管期間(第13⑸)侵襲(軽微な侵襲を除く)を伴う研究であって介入を行うものは、少なくとも、研究の終了について報告された日から5年を経過した日、または研究結果の最終の公表について報告された日から3年を経過した日のいずれか遅い日まで
廃棄(第13⑹)情報等を廃棄する場合は、特定の個人を識別できないようにするための適切な措置を講じる
  • 同意書の「録音・文字起こしの方法」と、研究計画書のデータ管理の記述が一致しているか
  • 外部サービスを使う場合、事業者名・学習利用の有無・保存場所・削除の方法を、公式の説明で確認したか
  • 録音データ・逐語録・匿名化の対応表を、それぞれどこに保存し、誰が閲覧できるかを決めたか
  • 保存期間の年数と、期間後の削除方法(復元できない方法)を書いたか
  • 撤回の期限と、撤回されたときに削除するデータの範囲を決めたか
  • オンラインのインタビューで録画する場合、映像も保存するのか、音声だけにするのかを書いたか
  • 協力者が録音を断った場合の代わりの方法(メモのみ)を用意したか

同意を得て録音したら、文字起こし、照合、匿名化を経て、分析に使う逐語録にします。同意書で約束した扱いを、作業の各段階で守ることが大切です。

  1. 01

    録音の原本を保存し、作業用のコピーを使う

    原本は編集せず、同意書で決めた場所に保管します。ファイル名には協力者の名前を使わず、ID(例:P03)で管理します。

  2. 02

    文字起こしで下書きを作る

    録音ファイル(1ファイル10GBまで)をKlangにアップロードすると、時刻つきの文字起こしができます。話者を自動で分ける話者の自動識別はプロプランの機能で、フリープランでは話者名を手で割り当てます。

  3. 03

    音声と照合し、匿名化する

    研究者が録音を聞きながら全文を確認し、名前・地名・勤務先などを記号に置き換えます。置き換えの対応表は、逐語録とは別の場所に保管します。

  4. 04

    分析用に書き出す

    Word・Excel・CSV・TXTなどで書き出し、コーディングや分析のソフトに読み込みます。分析の手順は、質的分析とコーディングのガイドで説明しています。

Klangは、録音ファイルをアップロードするだけで時刻つきの文字起こしを作ります。研究者が同じ画面で音声を聞きながら修正し、Word・Excel・CSVなどで書き出せます。会話データの扱いを、同意書や研究計画書に書ける形で説明しています。

  • お客様のデータをAIの学習に使いません。ISO/IEC 27001:2022の認証を取得しています
  • 日本語と英語を含む17言語に対応。日英が混ざるインタビューもそのまま文字にします(翻訳はしません)
  • 保存場所に条件がある研究機関は、保存リージョンやオンプレミス導入をご相談ください
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研究インタビューを録音するとき、同意は書面で取る必要がありますか。

必要な同意の方法は、研究の種類と所属機関の規程によって異なります。生命科学・医学系研究の倫理指針の対象となる研究では、研究の内容に応じて指針が定める手続きに従います。指針の対象外の研究でも、録音の目的やデータの扱いを書面で説明し、署名を得ておくと、後から確認しやすくなります。

録音データの保存期間は何年にすればよいですか。

一律の年数はありません。倫理指針は、侵襲(軽微な侵襲を除く)を伴う介入研究について、研究の終了報告から5年または結果の最終公表の報告から3年のいずれか遅い日までの保管を求めています。インタビューだけで行う研究の多くはこれに当たらないため、所属機関の規程と研究計画書で決めてください。

AIの文字起こしサービスを使うことを、同意書に書くべきですか。

書いておくことをおすすめします。協力者の音声を外部の事業者に預けることになるため、事業者名、データをAIの学習に使うかどうか、保存場所、削除の方法を確認し、同意書と研究計画書に書いておくと、倫理審査でも説明しやすくなります。

協力者が同意を撤回したら、どうすればよいですか。

同意書で約束したとおり、録音データ、逐語録、分析に使った抜き出しなどを削除します。外部の文字起こしサービスにアップロードしていた場合は、そのサービス上のデータも削除します。すでに公表した結果から取り除けない場合があることは、同意を得る時点で説明しておきます。

逐語録の匿名化はいつ行えばよいですか。

録音と照合して文字起こしを確定させた直後に行うのが一般的です。名前や地名を記号に置き換え、置き換えの対応表は逐語録とは別の場所に保管します。分析や共同研究者との共有は、匿名化した逐語録で行います。

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