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KJ法

KJ法とは。やり方の手順と、インタビュー記録での使い方

断片的な情報をカードに書き、似たものを下から集めて意味のまとまりを見つける発想法です。川喜田二郎の原典に沿った手順、アフィニティ図・親和図法との違い、オンラインでの進め方、インタビューの発言をカードにするコツを、実際に操作できる練習ボードと合わせて解説します。

公開日:更新日:執筆・運営:

KJ法は、会議の付箋整理術として生まれたものではありません。現地調査で集めた、互いに関係の分からない観察記録から、意味のある全体像を組み立てるための方法として生まれました。

川喜田二郎はネパールなどでのフィールドワークの経験から、観察した事実を分類の枠に押し込まずに、データ自身に語らせる整理の方法を作りました。1967年の『発想法』(中公新書)でその手順が紹介され、1970年の『続・発想法』で応用が展開されています。

そのため原典では、「似た言葉が入っているカードを集める」ことではなく、カードが訴えている内容の近さで集めることが強調されます。既存の分類(部署別、機能別など)に当てはめた時点で、KJ法の良さである「思いがけないまとまりの発見」が失われるためです。

手順は単純ですが、急いでまとめようとすると既存の分類に戻ってしまいます。特に「集める」と「表札づくり」に時間をかけてください。

  1. 01

    テーマを決める

    何を明らかにしたいかを1文で書きます。例:「一人で総務を担う担当者は、問い合わせ対応で何に困っているのか」。テーマに関係するデータだけを使います。

  2. 02

    ラベルを作る

    1枚に1つの内容を、短い文で書きます。単語だけ(例:「FAQ」)では意味が分かりません。「FAQを作ったが更新が追いつかない」のように、主語と述語がある文にします。

  3. 03

    ラベルを広げて読む

    全部のラベルを広げ、何度か通して読みます。この段階では分けようとせず、全体の感じをつかみます。

  4. 04

    近いものを集める

    内容が近いと感じる2〜3枚を集めて小さなまとまりにします。どこにも入らないラベルは、無理に入れず単独のまま残します。

  5. 05

    表札を付ける

    まとまりが言っていることを1文で書き、上に載せます。「業務負荷」のような見出し語ではなく、「同じ質問に何度も答えているのに、答えが蓄積されない」のように中身が分かる文にします。

  6. 06

    繰り返し、図解する

    表札を新しいラベルとして扱い、小さなまとまりを中、大へと集めていきます。最後にまとまりを空間に配置し、原因と結果、対立などの関係を線で示します(原典ではA型図解)。

  7. 07

    文章化する

    図解を見ながら、全体の構造を文章や口頭で説明します(原典ではB型文章化)。言葉にすると、図のつながりの弱いところが見つかります。

架空のインタビュー(中小企業の総務担当者6人)から取り出した16枚のカードです。近いと思うカードを集めて島を作り、表札を書いてみてください。結果はテキストやCSVで保存できます。

下のボードの「まとめ方の一例」では、16枚を4つの島と単独の1枚(「問い合わせの件数を数えたことはない」)に分けています。単独のカードは「外れ値」ではなく、ほかのまとまりを見直すきっかけになります。たとえばこのカードは、どの困りごとも件数として見えていないことを示しているかもしれません。

カードを選んでから、置きたい島のボタンを押します(パソコンではドラッグでも移動できます)。 未配置 16枚/全16枚

未配置・単独のカード

      「まとめ方の一例」は正解ではありません。同じカードでも、問いが違えば別のまとまりになります。

      似た名前で呼ばれる手法がいくつかあります。目的と、どこまで手順を決めているかが違います。

      KJ法と、似た手法の比較(一般的な説明)
      KJ法親和図法アフィニティ図(UXリサーチ)
      出どころ川喜田二郎『発想法』(1967)品質管理の「新QC七つ道具」の一つ。KJ法をもとにした手法として知られるコンテクスチュアル・デザインなど、ユーザー調査の実務
      主な目的データから新しい発想・構造を得る混沌とした問題の構造を整理する調査で得た観察から論点をまとめる
      進め方ボトムアップに集め、表札、図解、文章化まで行うボトムアップに集め、親和図にまとめるチームで付箋を貼り、まとまりに見出しを付ける
      注意点時間がかかる。分類の枠を先に決めない手順を簡略化すると単なる分類になりやすい既存の機能分類に戻りやすい

      インタビュー記録でKJ法を使うときに大切なのは、カードから元の発言へ戻れることです。カードは要約なので、まとめた後で必ず原文を確かめる場面が出てきます。

      • 1枚1意味で切り出す

        1つの発言に複数の内容が入っていたら、カードを分けます。「FAQを作ったけど更新できないし、そもそも誰も見ない」は2枚になります。

      • 出典を必ず書く

        カードの隅に、参加者IDと時刻(例:A-03・16:02)を書きます。話者と時刻つきの文字起こしがあれば、すぐに原文へ戻れます。

      • 本人の言葉を残す

        言い換えすぎると、調査者の解釈が先に入ります。短くするときも、印象的な言い回しはそのまま使います。

      • 量の目安を決める

        1人あたり数十枚になると、広げて読むことが難しくなります。テーマに関係する発言に絞り、総数を見てから進め方を決めます。

      オンラインホワイトボードや表計算ソフトでもKJ法の考え方は使えます。ただし画面が小さいため、紙に比べて「全体を広げて眺める」ことが難しくなります。

      • 最初にカードを一覧で読み通す時間を取ります。画面上で動かし始める前に、全体を頭に入れます。
      • 表計算ソフトで行う場合は、「カードID・参加者・時刻・内容・島・表札」の列を作ります。上の練習ボードのCSVと同じ形です。
      • 複数人で行うときは、最初の集める作業を一人ずつ黙って行い、その後で話し合うと、声の大きい人の分類に引っ張られにくくなります。
      • 生成AIにカードを分類させると、既存のカテゴリーに沿った分け方になりやすい傾向があります。使う場合は候補出しにとどめ、表札は自分たちで書き、元の発言で確かめてください。

      「KJ法をやったが、当たり前の結論しか出なかった」という場合、たいてい次のどれかが起きています。

      KJ法でよくある失敗と直し方
      失敗起きること直し方
      最初に分類の箱を作る既存の見方を確かめるだけになる箱を作らず、2〜3枚の小さなまとまりから始める
      表札が単語「コミュニケーション」のような、何も言っていない見出しになるまとまりの主張を文で書く
      単独のカードを無理に入れるまとまりの意味がぼやける単独のまま残し、最後にもう一度検討する
      出典を書かない後で根拠を示せないカードに参加者IDと時刻を書く

      Klangでインタビューを文字起こしすると、発言が話者と時刻つきで残ります(話者の自動識別はプロプラン)。Excel・CSVに書き出せば、そのままカードの元になる一覧として使えます。

      • CSV・Excelで、時刻と話者名つきの発言一覧を書き出せます。
      • ノートブックに対象のインタビューだけを入れ、カードにする候補の発言を探せます。
      • 回答に付くタイムコードから、カードの元の発言を録音で確かめられます。
      無料で試す
      KJ法の「KJ」とは何ですか。

      考案者である川喜田二郎(かわきた じろう)の名前の頭文字です。1967年に中公新書の『発想法』で手順が広く紹介されました。

      KJ法とブレインストーミングはどう組み合わせますか。

      ブレインストーミングで出したアイデアをカードにし、KJ法でまとめる使い方がよく見られます。ただし原典のKJ法は、観察や聞き取りで集めたデータの整理を重視しています。どちらの材料を使っているかを意識すると、まとめ方の判断がしやすくなります。

      何枚くらいのカードで行うのがよいですか。

      決まった枚数はありません。広げて全体を読める枚数が実用上の上限になります。カードが多い場合は、テーマに関係する発言に絞るか、参加者の層ごとに分けて行います。

      KJ法の結果は研究の分析として使えますか。

      研究で使う例もありますが、論文では手順の説明と、カードから結論までたどれる記録が求められます。M-GTAやSCATのように手続きを明示した方法と比べ、どの方法が研究の問いに合うかを検討してください。

      聞く・記録する・分析する・使うの4段階で、関連するガイドをまとめました。各ページの架空の例は、同じ架空の調査(中小企業の総務担当者への聞き取り)を使っています。

      1. 1. 聞く

      2. 2. 記録する

      3. 3. 分析する

      4. 4. 使う

      クレジットカードは不要です。数分でお使いいただけます。