会話の記録を仕事に使う
業務ヒアリングの進め方|質問項目と現状把握シート
業務改善やシステム導入の前に、現場の仕事の流れを聞き取る方法です。質問項目、現状把握シートの記入例、例外処理の聞き出し方、待ち時間の測り方を順に説明します。
公開日:更新日:執筆・運営:Klang AI AB
どのヒアリングか:業務・要件定義・営業の違い
「ヒアリング」は目的によって、聞く相手も残す成果物も変わります。このページが扱うのは「(このページ)」の行です。
業務ヒアリングの結果は、要件定義の材料になります。ただし現状の把握と、新しい仕組みへの要求は別の会議で確かめたほうが、現場の人が「今のやり方」を率直に話しやすくなります。
| 種類 | 目的 | 主に聞く相手 | 成果物 |
|---|---|---|---|
| 業務ヒアリング(このページ) | 今の仕事の流れと例外を把握する | 現場の担当者 | 業務フロー・現状把握シート |
| 要件定義ヒアリング | システムやITに求める条件を決める | 利用部門・管理者・情報システム担当 | 要件候補一覧・確認条件 |
| 営業・相談のヒアリング | 顧客の課題と導入条件を聞く | 見込み顧客・相談者 | ヒアリングシート・商談記録 |
業務ヒアリングの進め方:準備から読み合わせまで5段階
1業務あたり、聞き取り60分と読み合わせ30分を目安にした例です。対象の業務が大きい場合は工程ごとに分けます。
- 01
目的と対象範囲を決める
「請求書の受領から支払い承認まで」のように、始まりと終わりを決めます。改善案を考える会議ではないことを、事前に相手へ伝えます。
- 02
既存の資料を集める
マニュアル、帳票、画面のスクリーンショット、過去の問い合わせ記録を集め、聞き取りの前に読みます。資料と実際の違いを聞くための準備です。
- 03
直近の一件を見せてもらう
「普段はどうしていますか」より「昨日処理した一件では、最初に何をしましたか」と聞きます。具体的な一件の方が、例外や確認作業を思い出しやすくなります。
- 04
現状把握シートにまとめる
工程ごとに入力・作業・出力・判断・例外・待ち時間を書きます。聞いたことと観察したことは、別の列に分けます。
- 05
担当者と読み合わせる
まとめたシートを担当者に見せ、抜けや誤解を直してもらいます。ここで直された点は、聞き取りの記録を書き換えずに追記します。
業務ヒアリングの質問項目:直近の一件を始まりから聞く
業務ヒアリングでは、一般的な説明だけでなく、実際に行った仕事の流れを確かめます。システムを作ることや、自動化することを先に結論にしません。
| 場面 | 質問例 | 観察・記録すること |
|---|---|---|
| 始まり | この仕事は、何を受け取ると始まりますか。 | 依頼・入力・担当 |
| 処理 | この一件では、次に何をしましたか。 | 順番・画面・使った資料 |
| 判断 | どこで進め方を選びましたか。 | 条件と判断の根拠 |
| 終わり | 完了したことを、誰がどう確認しますか。 | 出力・受け手・完了条件 |
| 例外 | 通常と違ったところはありましたか。 | やり直し・確認・待ち |
デモにはテスト用や個人情報を除いた資料を使います。パスワード入力、顧客情報などが現れそうな場面では記録を止める運用を決めます。
現状把握シートの書き方と記入例(請求書確認業務)
下は架空の請求書確認業務です。録音で聞いたことを、そのまま実際の操作として記録しないようにします。
| 工程 | 入力→作業→出力 | 情報の種類 | 残る確認 |
|---|---|---|---|
| 受付 | 受領メール→一覧へ登録→受付番号 | 画面で観察 | 他の受付経路 |
| 内容確認 | 請求書→金額照合→確認結果 | 担当者から説明 | 照合に使う資料 |
| 差し戻し | 不足項目→送信者へ連絡→再提出待ち | 過去の一件の説明 | 連絡の基準 |
| 完了 | 確認結果→承認依頼→承認状態 | 未観察 | 承認者の手順 |
CSVでは工程、担当、入力、出力、使う資料、待ち、例外、根拠、観察か説明かを残します。会社全体の標準手順と断定する前に、別の事例で確認します。
現状把握シートの書き方と記入例(請求書確認業務)のCSVをダウンロード(架空の記入例つき)例外処理の聞き出し方:通常どおり進まなかった一件から
架空の例では、請求書の注文番号がないため、通常の確認が止まります。『担当者が適宜対応』で片付けず分岐を記録します。
| 通常の流れ | 例外で起きたこと | 追加で確かめる質問 |
|---|---|---|
| 注文番号で照合 | 番号がなく照合できない | どの条件なら相手へ戻すか |
| 金額を確認 | 別の担当者が注文履歴を検索 | 検索できる人と必要な権限 |
| 承認へ送る | 情報がそろうまで保留 | 保留を誰がどこで見るか |
| 完了 | 再提出後、二重処理を避けて再開 | 元の受付番号との対応 |
例外があった一件から頻度は分かりません。どの程度起こるかは、対象期間を決めて記録を集める別の作業です。
部門間の受け渡しを確認する方法
部門をまたぐと、同じ資料でも必要な条件が違います。架空の受け渡し例です。
| 受け渡し | 渡す側の認識 | 受け取る側が必要な条件 |
|---|---|---|
| 営業→事務 | 申込書を送れば完了 | 対象プラン・開始日・承認状況が必要 |
| 事務→経理 | 金額を入力すれば完了 | 税区分と請求先を確認できる必要 |
| 経理→管理者 | 一覧を送れば完了 | 判断が必要な項目と根拠が分かる必要 |
双方に同じ一件を説明してもらい、差し戻しの理由と不足情報を残します。改善案を決める前に、どちらの作業で情報を確認できるかを確かめます。
作業時間と待ち時間の測り方
1件を観察しただけで、平均処理時間や削減効果は出せません。次の数字は架空の記録例です。
| 項目 | 記録 | 言える範囲 |
|---|---|---|
| 実作業 | 画面操作を8分観察 | その一件の観察値 |
| 待ち | 承認待ちで翌日まで停止 | 担当者の作業時間ではない |
| 担当者の見積もり | 『普段は10分ほど』 | 本人の見積もり |
| 頻度 | 件数はまだ確認していない | 月間工数を計算しない |
次の測定では対象期間、通常・例外の区別、開始・終了条件をそろえます。見積もりを使う試算は、その前提を表示し、測定結果と区別します。
業務フローを現場の人と読み合わせる手順
完成した図を承認してもらうだけでなく、抜けている条件を探す時間を設けます。下は架空の確認会の進め方です。
| 順番 | 扱うもの | 残す記録 |
|---|---|---|
| 1 | 観察した一件の工程 | 実際と違う箇所 |
| 2 | 説明だけで把握した工程 | 未観察・確認先 |
| 3 | 例外と部門間の受け渡し | 不足する条件・根拠 |
| 4 | 困りごとの候補 | 事実と原因の仮説 |
| 5 | 次の確認 | 担当・対象事例・確認時期 |
結果は『確認できた現状』『まだ分からない点』『次に観察すること』に分けます。マニュアル化、役割の調整、システム変更などの案は、現状確認とは別に比較します。
聞き取りの録音から、現状把握シートを作る
業務ヒアリングをKlangで録音または録音ファイルをアップロードして文字起こしすると、メモを取りながら聞く負担が減ります。AIチャットで「例外として挙がった作業は?」と尋ねて候補を拾い、元の発言を再生して確かめてからシートに移します。
- 聞き取り中はメモより質問に集中できる
- 「いつも」「たまに」などの言葉を元の発言で確かめる
- 画面共有の録画には個人情報が映らないよう事前に確認する
よくある質問
業務ヒアリングでは、どんな質問をすればよいですか?
「この仕事は何を受け取ると始まりますか」「この一件では次に何をしましたか」「どこで進め方を選びましたか」「完了したことを誰がどう確認しますか」「通常と違ったところはありましたか」の5つを、直近の一件に当てはめて聞くと流れをつかめます。
業務ヒアリングと要件定義ヒアリングの違いは何ですか?
業務ヒアリングは今の仕事の流れを把握するためのもので、成果物は業務フローや現状把握シートです。要件定義ヒアリングは、システムやITに求める条件を決めるためのもので、成果物は要件候補の一覧です。業務ヒアリングの結果は、要件定義の材料になります。
1回の業務ヒアリングにどれくらい時間をかけますか?
決まりはありませんが、このページの例では1業務あたり聞き取り60分と読み合わせ30分を目安にしています。担当者が複数いる場合や、月末だけの作業がある場合は、別の日に分けて追加で聞き取ります。
業務ヒアリングを録音してもよいですか?
目的と共有範囲を相手に説明し、了承を得てから録音します。画面を見せてもらう場合は、顧客情報やパスワードが映る場面で録画を止めるなど、事前に扱いを決めておきます。