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看護記録の書き方

看護記録の書き方。同じ場面をSOAP・経時記録・DARで比べる

看護記録は、看護職が行った観察・判断・ケアとその結果を、ほかの看護職や多職種が読んで同じ看護を続けられるように残す記録です。術後の発熱という1つの場面を、経時記録・SOAP・フォーカスチャーティング(DAR)・叙述的記録の4通りで書き、使い分けを比べました。避けたい表現の改善例、急変時の書き方、法律と保存期間、記録の簡素化もまとめています。

更新日:執筆・運営:

記入例はすべて架空で、医療的な判断や処置の手本ではありません。記録の様式・略語・方法は、所属する施設の記載基準に従ってください。法令は2026年10月11日時点のe-Gov法令検索で確認しています。

「看護記録に関する指針」は、看護記録の目的を3つ、様式を4つに整理しています。どの様式にどの項目を入れるかは、各施設で決めます。

目的の1つめ「看護実践を証明する」は、専門的な判断にもとづいて何をしたかを示すことです。2つめ「継続性と一貫性を担保する」は、勤務帯や担当が替わっても同じ看護を続けられるようにすることです。3つめ「評価及び質の向上を図る」は、記録を振り返って次の看護や看護研究に生かすことです。

看護記録の種類(様式)と書く内容
種類書く内容書くタイミングの例
基礎情報(データベース)病歴、現在の治療、使用薬剤、アレルギー、身体的・精神的・社会的・スピリチュアルな側面の情報入院時・訪問開始時。変化があれば更新
看護計画健康問題(看護診断)と期待する成果、成果を得るための個別の看護実践の計画問題を挙げたとき。評価日に見直す
経過記録本人の意向や訴え、健康問題、治療・処置、看護実践とその反応の経過勤務帯ごと、出来事があったとき
要約(サマリー)健康問題の経過と情報の要約転棟・転院・退院時、訪問看護への引き継ぎ

指針の「看護記録記載の基本」と「記載時の注意点」を、毎日の記録で守る形に直すと次の8つです。

  • 一連の過程を書く

    観察と査定、支援内容の明確化、計画、実行、評価がつながるように書きます。実施したことだけでは、なぜそうしたかが伝わりません。

  • 遅滞なく、時刻を正確に

    記録はできるだけ速やかに書きます。後から書く場合も、出来事の時刻は正確に残します。

  • 事実を正確に書く

    測った値、観察したこと、本人の言葉を書きます。解釈は事実と分け、SOAPならA欄に書きます。

  • 誰が読んでも分かる言葉で

    多職種や、場合によっては本人・家族が読んでも同じ場面を思い浮かべられる用語と表現を選びます。

  • 記載日時と記載者を残す

    書いた日時と書いた人の名前を残します。自分の看護実践は自分で記載するのが基本です。

  • 訂正は元の記載が読めるように

    訂正した人・内容・日時が分かるようにし、訂正前の記載は読める形で残します。改ざんは刑事責任を問われる可能性があります。

  • 追記はいつのどこへの追記か明記

    「10/11 16:30 追記(14:05の記載に対して)」のように、追記の日時と対象の箇所を書きます。

  • 用語と略語は施設で統一

    略語は施設の一覧にあるものだけを使います。看護補助者などが代行して書いた部分は、看護職が確認して署名します。

経過記録の書き方には複数の方法があり、指針は「各施設で行った看護実践が的確に記載されるような方法を選択する」としています。1つの施設で、場面に応じて方法を使い分けることもあります。

経過記録の方法と向いている場面
方法構成向いている場面気をつけること
経時記録時刻の順に、観察・対応・反応を書く急変、転倒などの事故、手術直後、処置が続く場面長くなりやすく、看護師の判断が見えにくい
SOAPS 主観的情報、O 客観的情報、A アセスメント、P 計画。POS(問題志向型システム)の経過記録看護問題(看護診断)が立っている患者の経過と計画の評価問題ごとに書くため、問題に当てはまらない出来事が漏れやすい
フォーカスチャーティング(DAR)F フォーカス、D データ、A アクション、R レスポンス状態の変化や出来事に焦点を当てたいとき。問題リストにない出来事も書けるフォーカスの立て方を施設でそろえる。Rの書き忘れ
叙述的記録出来事を文章で書く訪問看護の記録、家族とのやりとり、看護サマリー書き手による差が大きく、要点を探しにくい

術後1日目の発熱という1つの場面を、4つの方法で書きました。どの方法でも、時刻、数値、本人の言葉、報告した相手、対応後の反応がそろっていることが大切です。

経時記録

時刻の順に並ぶので、何分後に何をしたかが一目で分かります。急変時はこの形が基本です。

【経時記録】
14:00 検温。T 38.2℃、P 96回/分、BP 128/76mmHg、SpO2 96%(室内気)。
  「寒気がする。傷が少し痛い」。悪寒あり。
  創部:滲出液・発赤・腫脹なし。疼痛 NRS 4。
14:05 掛け物を1枚追加。
14:10 山田医師へ電話で報告。採血・血液培養2セット、解熱鎮痛薬の指示あり。
14:30 採血・血液培養2セットを実施。
14:40 指示の解熱鎮痛薬を投与。
15:40 T 37.6℃、P 84回/分。「寒気は治まった」。NRS 2。
  4時間ごとの検温を継続する。(看護師 佐藤)

SOAP

看護師の判断(A)と次の計画(P)がはっきりします。問題番号(#1)にひもづけて書きます。

【SOAP】#1 術後の発熱
S:「寒気がする。傷が少し痛い」(14:00)
  「寒気は治まった」(15:40)
O:14:00 T 38.2℃、P 96回/分、BP 128/76mmHg、SpO2 96%(室内気)。
  悪寒あり。創部に滲出液・発赤・腫脹なし。NRS 4。
  14:10 医師へ報告。14:30 採血・血液培養2セット。
  14:40 解熱鎮痛薬を投与。15:40 T 37.6℃、P 84回/分、NRS 2。
A:術後1日目の発熱。創部に感染を疑う所見は現時点でない。
  解熱鎮痛薬の投与後、解熱傾向。原因は検査結果をみて医師と確認する。
P:4時間ごとに検温と創部の観察を続ける。
  38.0℃以上、または悪寒の再発時は医師へ報告する。飲水を促す。(看護師 佐藤)

フォーカスチャーティング(DAR)

「発熱」という出来事に焦点を当て、データ・行動・反応で閉じます。Rまで書いて完結します。

【フォーカスチャーティング(DAR)】
F:術後1日目の発熱
D:14:00 T 38.2℃、P 96回/分、BP 128/76mmHg、SpO2 96%(室内気)。
  悪寒あり。「寒気がする。傷が少し痛い」。
  創部に滲出液・発赤・腫脹なし。NRS 4。
A:14:05 掛け物を1枚追加。14:10 山田医師へ報告。
  14:30 採血・血液培養2セット。14:40 指示の解熱鎮痛薬を投与。
R:15:40 T 37.6℃、P 84回/分。悪寒は消失し「寒気は治まった」。
  NRS 2。4時間ごとの検温を継続する。(看護師 佐藤)

叙述的記録

流れが文章で伝わり、看護サマリーや訪問看護の記録になじみます。ただし要点は探しにくくなります。

【叙述的記録】
14時の検温で体温38.2℃、脈拍96回/分の発熱があった。本人は「寒気がする。傷が少し痛い」と話し、悪寒がみられたため、掛け物を1枚追加した。創部に滲出液、発赤、腫脹はなく、痛みはNRSで4だった。
14時10分に山田医師へ電話で報告し、指示により14時30分に採血と血液培養2セットを行い、14時40分に解熱鎮痛薬を投与した。
15時40分には体温37.6℃、脈拍84回/分に下がり、本人は「寒気は治まった」と話した。痛みはNRSで2。今後も4時間ごとに検温する。(看護師 佐藤)

4つを並べると、SOAPだけが看護師の判断(A)と今後の計画(P)を独立した欄として持ち、経時記録は出来事の順序、DARは出来事への対応と反応、叙述的記録は流れを伝えるのが得意だと分かります。施設の記載基準に方法の指定がある場合は、それに従ってください。

指針は、予期せぬ事態や医療事故と思われる事態が起きたときは経時的に記載し、処置と時間だけでなく、発見・発生の状況、観察したこと、対処後の結果・反応も正確な時間とともに書くよう求めています。

  • 発見時刻と発見時の状況(誰が、どこで、どのような状態で見つけたか)を最初に書く
  • 時刻は1つの時計に合わせる。モニター、電子カルテ、腕時計の時刻がずれていないかを確認する
  • 対応中は記録係を1人決め、時刻・バイタルサイン・処置・指示を出した人をメモに残す
  • 指示は「誰から、何時に、どのような指示を受けたか」を書く。口頭指示は施設の手順に沿って確認する
  • 処置のあとの反応(意識、バイタルサイン、本人の言葉)を時刻とともに書く
  • 家族への連絡は、連絡した時刻・相手・伝えた内容・家族の反応を書く
  • 落ち着いてから書く場合も、出来事の時刻と記載した時刻を分けて残す

読んだ人が同じ場面を思い浮かべられない表現は、数値、時刻、本人の言葉に置き換えます。例はすべて架空です。

看護記録で避けたい表現と改善例
避けたい表現改善例
発熱あり。14:00 T 38.2℃、悪寒あり。「寒気がする」。
様子観察。4時間ごとに検温し、38.0℃以上で医師へ報告する。次回 18:00。
疼痛自制内。NRS 2。「動くと少し痛いが我慢できる」。
Dr.報告済み。14:10 山田医師へ電話で報告。採血と解熱鎮痛薬の指示あり。
不穏あり。22:30 点滴ルートを触り「家に帰る」と繰り返す。
食事良好。昼食 主食8割・副食6割を摂取。むせ込みなし。
拒否的。清拭を勧めると「今日は疲れたから明日にしてほしい」。16時に再度声をかける。
特変なし。0時・2時・4時の巡視時は入眠中。呼吸は規則的。ナースコールなし。

看護師に看護記録の記載を直接義務づける条文は、保健師助産師看護師法にはありません。看護記録は、医療機関や事業所に備える記録として、次の法令や基準で位置づけられています。

表の期間は法令が定める最低限の期間です。看護記録が療養担当規則の「その他の記録」に当たるかどうかは条文に明記されていないため、保存期間は施設の規程で決めます。規程を作るときは、診療録の5年間と合わせるかどうかも検討します。介護保険の基準は自治体の条例で定められているため、指定を受けた自治体の条例も確認してください。

保健師助産師看護師法 第42条の2は、看護師が業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならないと定めています。看護記録の持ち出しや共有、録音の扱いも、この守秘義務と施設の規程の範囲で行います。

看護記録に関係する主な法令と保存期間(2026年10月11日時点)
法令・基準定めていること期間
医療法 第21条、医療法施行規則 第20条第10号病院は「診療に関する諸記録」を備える。諸記録には看護記録、手術記録、処方せん、検査所見記録などが含まれる過去2年間
保険医療機関及び保険医療養担当規則 第9条保険医療機関は、療養の給付の担当に関する帳簿・書類その他の記録を保存する完結の日から3年間(診療録は5年間)
医師法 第24条医師が記載する診療録の保存。看護記録そのものではない5年間
保健師助産師看護師法 第42条助産師が分べんの介助をしたときの助産録の記載と保存5年間
指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準 第73条の2(介護保険の訪問看護)訪問看護計画書、訪問看護報告書、提供したサービスの内容等の記録などを整備する完結の日から2年間
指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準 第30条(医療保険の訪問看護)利用者に対する指定訪問看護の提供に関する記録を整備する完結の日から2年間

指針は看護記録の監査を、施設で決めた記載基準に沿って看護実践の一連の過程が記録されているか、その記録が質・量ともに十分かを確かめることとしています。監査項目と評価基準は各施設で設定します。

  • 形式:記載日時と記載者、訂正の方法、施設の略語一覧にない略語がないか
  • 過程:看護問題に対して計画があり、実施と評価が経過記録に残っているか
  • 内容:観察した事実と解釈が分かれているか。本人の言葉や数値で書かれているか
  • 継続性:勤務帯をまたいで、同じ問題の経過を追えるか
  • 出来事:急変や事故のとき、発見から対応後の反応まで時刻つきで書かれているか

指針は、記録に時間がかかりすぎると看護実践の時間を確保しにくくなるとして、施設で様式や略語を定めて効率化を図ることを挙げています。ただし、看護実践の一連の過程が分かることが前提です。

  • 重複記載をなくす

    温度表やフローシートに書いた値を、経過記録にもう一度書かないようにします。入院基本料の看護記録の取扱いでも、病状安定期は温度表の記載欄に要点を記録する程度でもよいとされています。

  • 経時記録を使う場面を決める

    経時記録は急変時や処置が続く場面に限り、ふだんの経過はSOAPやDARで要点を書く、と記載基準に書いておきます。

  • テンプレートと定型文をそろえる

    頻度の高い観察項目や説明の記録を、施設で決めたテンプレートにします。定型文をそのまま残さず、その患者の事実に書き換える運用も決めます。

  • クリニカルパスを使う

    標準計画がある疾患では、計画された看護を実施したことを記入し、パスから外れたこと(バリアンス)を中心に経過記録を書きます。

  • 話した内容を音声で下書きにする

    申し送りやカンファレンスなど、話して決めたことは録音から下書きを作り、看護師が確認して必要な部分だけを記録に写します。録音は施設の規程と同意が前提です。

看護記録の時間の一部は、申し送りやカンファレンスで話したことを思い出して書き直す時間です。話し合いを録音して要約を下書きにすれば、記録を書き起こす時間を減らせます。Klangは電子カルテではなく、看護記録を作るものでもありません。記録の内容に責任を持つのは看護師です。

  1. 01

    施設のルールを確かめ、同意を得て録音する

    録音してよい場面と保存先を医療安全や情報システムの担当に確認します。参加者に目的と保存期間を伝え、患者は氏名ではなく施設で決めた識別子で話します。

  2. 02

    Klangで文字起こしし、要約を下書きにする

    会議の録音ファイルをアップロードすると、文字起こしと要約ができます。AIチャットに「患者ごとに、観察した事実・決まった方針・担当・評価日を分けて」と頼むと、記録の見出しに沿った下書きになります。

  3. 03

    看護師が確認して、施設の記録に写す

    数値と時刻、誰の発言かを元の音声で確かめ、必要な部分だけを電子カルテや看護記録に自分の言葉で写します。確定したら、録音と文字起こしは規程どおりに削除します。

Klangは、参加者の同意を得て録音した申し送り、カンファレンス、退院前カンファレンス、家族面談、訪問看護の振り返りを文字起こしし、要約とAIチャットで記録の下書きを作ります。下書きは元の音声で確かめられます。Klangは医療機器や電子カルテではなく、看護記録の作成や確定は看護師が行います。

  • 文字起こしは無制限、AI要約とチャットもフリープランで使えます
  • 誰が話したかを自動で分ける話者の自動識別はプロプランの機能です
  • 会話データをAIの学習に使いません。ISO/IEC 27001:2022の認証を取得しています
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看護記録とは何ですか。目的は何ですか。

看護記録とは、看護職が行った看護実践の一連の過程を記録したものです。日本看護協会の「看護記録に関する指針」は、看護記録の目的を、看護実践を証明すること、看護実践の継続性と一貫性を担保すること、看護実践の評価及び質の向上を図ることの3つとしています。

看護記録の保存期間は何年ですか。

病院の看護記録は、医療法施行規則第20条第10号で「過去2年間」の診療に関する諸記録として備えることになっています。保険医療機関は療養担当規則第9条で、療養の給付に関する記録を完結の日から3年間保存します。訪問看護の記録は完結の日から2年間です。施設の規程でより長い期間を定めている場合もあるため、所属先の規程を確認してください。

SOAPとフォーカスチャーティング(DAR)の違いは何ですか。

SOAPは看護問題ごとに、主観的情報(S)、客観的情報(O)、アセスメント(A)、計画(P)で書く方法です。フォーカスチャーティングは、患者の状態の変化や出来事をフォーカス(F)として、データ(D)、アクション(A)、レスポンス(R)で書く方法で、問題リストにない出来事も記録できます。

急変時の看護記録はどう書けばよいですか。

急変時の看護記録は経時記録で書きます。発見した時刻と状況、観察したこと、行った処置と指示を出した人、対処後の反応を、1つの時計に合わせた正確な時刻とともに書きます。対応中は記録係を決め、落ち着いてから書く場合も出来事の時刻と記載した時刻を分けて残します。

看護記録の簡素化はどう進めればよいですか。

看護記録の簡素化は、温度表やフローシートとの重複記載をなくす、経時記録を使う場面を決める、テンプレートと略語を施設でそろえる、クリニカルパスを使う、話し合いの内容を録音から下書きにする、といった方法で進めます。看護実践の一連の過程が分かるように書くことは変わりません。

看護診断とは何ですか。

看護診断とは、患者の健康問題や生活上の反応について看護師が行う判断で、看護計画の土台になります。NANDA-I看護診断などの分類を使って表すことがあり、SOAPではこの看護問題ごとに経過記録を書きます。

AIで看護記録を作ってもよいですか。

AIが作る文章は看護記録の下書きにとどめ、看護師が事実と照らして確認し、施設の手順で記録に写してください。カンファレンスや申し送りを録音する場合は、施設の規程で認められていることと参加者の同意が前提です。Klangは電子カルテや医療機器ではありません。

クレジットカードは不要です。数分でお使いいただけます。