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介護記録

介護記録の書き方と例文。良い例・悪い例と言い換え表

介護記録は、5W1Hで時刻と数字を入れ、見たこと(客観的な事実)と本人の言葉(「」で残す)と職員の判断を分けて書くのが基本です。「特変なし」「機嫌が悪い」のような書き方ではなく、ほかの職員や家族が読んでも同じ場面を思い浮かべられる書き方にします。このページでは、食事・排泄・入浴・服薬・転倒・拒否・夜間の良い例・悪い例、言い換え表、介護記録の用語集、事故の記録に書く項目、保存期間をまとめました。記入例はすべて架空です。

公開日:更新日:執筆・運営:

介護記録は「書かなければならないもの」であると同時に、次の勤務の職員がケアを続けるための道具です。目的を意識すると、何を書くべきかが決まります。

例えば訪問介護の運営基準(指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準)は、提供した具体的なサービスの内容等の記録、苦情の内容等の記録、事故の状況及び事故に際して採った処置についての記録などを整備し、その完結の日から2年間保存することを定めています。ほかのサービスにも同じ趣旨の規定があります。自治体によっては条例で保存期間を5年としているため、指定を受けた自治体の基準を確認してください。

介護記録の目的と、書く内容
目的読む人書く内容の例
職員間の情報共有次の勤務帯の職員、看護職食事量・水分量・排泄、体調の変化、本人の訴え
ケアの根拠と振り返りケアマネジャー、サービス提供責任者実施したケアと反応。計画の見直しにつながる変化
家族・関係機関への説明家族、主治医、行政事故の状況と対応、連絡した相手と時刻
運営基準で求められる記録運営指導(実地指導)の担当者提供したサービスの内容、事故の状況と処置、苦情の内容

施設の記録規程や記録ソフトの入力ルールがある場合は、そちらが優先です。新人職員に伝える共通ルールとして使えます。

  1. 01

    5W1Hで書く

    いつ(時刻)、どこで、誰が、何を、なぜ、どのようにを入れます。「食事介助をした」ではなく「12:10 食堂で、主食を一口ずつスプーンで介助した」と書きます。

  2. 02

    事実と判断を分ける

    見たこと・聞いたこと・測ったことを先に書き、「〜と思われる」「〜の可能性がある」という職員の判断は、根拠と分けて書きます。

  3. 03

    本人の言葉は「」で残す

    訴えや希望は言い換えずに「」で残します。「痛いと言っていた」より「右ひざが痛い。歩くとずきずきする」の方が、看護職が判断しやすくなります。

  4. 04

    数字で書けるものは数字で

    食事量は「8割」、水分は「150ml」、時間は「20:05入眠」のように書きます。「少なめ」「しばらく」は人によって受け取り方が違います。

  5. 05

    評価語・決めつけを使わない

    「わがまま」「問題行動」「徘徊」などの言葉ではなく、実際の行動と発言を書きます。記録は本人や家族が読むこともあります。

  6. 06

    略語と専門用語をそろえる

    施設で決めた略語だけを使います。家族や他職種が読む記録では、略語を避けて書きます。

  7. 07

    その日のうちに、書いた人が分かるように書く

    時間がたつと記憶があいまいになります。記録者の名前を残し、訂正するときは元の記載が分かる方法で直します。

介護記録の「主観」には、利用者の主観(本人の訴え)と職員の主観(推測や印象)の2つがあります。利用者の訴えは大切な情報として「」で残し、職員の推測は判断として事実と分けて書きます。看護記録のSOAPと同じ考え方です。

「食欲がない様子」は、職員の印象です。「主食3割」という事実と「口の中が痛い」という本人の言葉があれば、読んだ看護職が自分で判断できます。判断を書くときは「〜の可能性がある」「〜と考える」のように、事実ではないことが分かる語尾にします。

介護記録に書く4種類の情報(口の痛みで食事量が減った場面の例)
書く情報書くこと例
客観的な事実職員が見たこと・測ったこと・行ったこと昼食は主食3割・副食2割。左下の歯ぐきに腫れあり。体温37.2℃
利用者の主観(訴え)本人が話したこと。言い換えずに「」で残す「口の中が痛い。固いものはかめない」
職員の判断事実から考えたこと。根拠と一緒に、判断だと分かる書き方で歯ぐきの腫れが食事量の低下に関係している可能性がある
次の対応誰が、何を、いつまでに行うか看護職へ報告。明日の朝食も摂取量と痛みを確認する

同じ場面を悪い例(避けたい書き方)と良い例(改善例)で並べました。良い例は正解ではなく、読んだ人が場面を再現でき、次のケアにつなげられる書き方の一例です。悪い例に共通するのは、時刻・数字・本人の言葉・報告先が抜けていることです。例はすべて架空です。

場面別の介護記録の例文(悪い例と良い例)
場面悪い例(避けたい書き方)良い例(改善例)
食事食欲がなく、あまり食べなかった。昼食は主食3割・副食2割。「口の中が痛い」と話し、左下の歯ぐきに腫れを確認。看護職へ報告した。
水分水分をよくとっていた。午前中にお茶を3回、合計360ml飲む。午後は勧めても「いらない」と話し、80mlのみ。
排泄トイレ介助。特変なし。11:10 トイレ誘導し排尿あり(量普通)。ズボンの上げ下げは後ろ側のみ介助。3日間排便なし、看護職へ報告。
入浴入浴した。皮膚に異常なし。14:00 一般浴。入浴前 血圧132/78。洗身は本人が前側、背中は職員。右すねに2cm大の赤みあり(痛みなし)。
服薬薬を飲んでもらった。朝食後の薬を手渡し、服用を確認した。1錠を床に落としたため、看護職の確認のうえ予備から服用。
転倒・事故転倒したが、大丈夫そうだった。02:20 居室の床に座っているのを発見。本人「トイレに行こうとして滑った」。右肘に1cmの擦り傷。看護職へ電話で報告し、指示で洗浄。
拒否入浴拒否があった。入浴を誘うと「今日は寒いからやめておく」と話す。15分後に再度声をかけたが同じ返答。明日の午前に誘う。
夜間・睡眠夜間よく眠れていた。21:00〜05:30、2時間ごとの巡回で入眠を確認。03:10に1回トイレ誘導、その後すぐ入眠。
気分・様子機嫌が悪かった。朝の声かけに返事がなく、10時ごろ「家に帰りたい」と2回話す。長男の面会予定を伝えると「そう」と答え、表情が和らいだ。
看取り期状態が悪い。呼びかけに目を開けるが発語なし。10:00 呼吸は浅く、1分間18回。口腔ケアを実施。家族へ様子を電話で伝え、15時に面会予定。

1日の介護記録 記入例(架空)

施設での1日の記録の書き方の例です。時刻・数字・本人の言葉・報告した相手を残しています。

【介護記録 記入例(架空)】
利用者:A様(ケース番号 0123) 記録者:介護職 佐藤
2026年10月7日(水)

07:40 朝食 主食8割・副食6割摂取。お茶150ml。
  「今日は魚がおいしい」と話す。むせ込みなし。
10:30 水分 ほうじ茶120ml。
11:10 排泄 トイレ誘導、排尿あり(量 普通・色 薄黄色)。
  ズボンの上げ下げは手すりにつかまり自力、後ろ側のみ介助。
14:00 入浴(一般浴) 入浴前 血圧132/78・体温36.4℃。
  右すねに2cm大の赤み(痛みの訴えなし)を確認し、看護職 田中へ報告。
  田中が観察し、軟膏を塗布。明日も観察する。
15:20 レクリエーション 歌の会に30分参加。
  「ふるさと」を口ずさみ、笑顔が見られた。
19:50 就寝前 「足が冷たい」と訴えあり。靴下を着用し、20:05入眠を確認。

事故の記録 記入例(架空)

発見時の状況、確認したこと、対応、連絡、今後の対応を分けて書いた例です。

【事故報告の記録 記入例(架空)】
発生日時:2026年10月7日(水)02:15ごろ(発見 02:20)
場所:居室(ベッドとトイレの間)
発見者:夜勤 介護職 鈴木
発見時の状況:ナースコールが鳴り訪室すると、ベッド脇の床に座っていた。
  本人「トイレに行こうとして滑った」。
確認したこと:意識清明。頭部の打撲・出血なし。右肘に1cmの擦り傷。
  血圧128/74、脈拍72。立ち上がりは2人介助で可能。
対応:02:30 オンコールの看護職 田中へ電話で報告。
  指示により擦り傷を洗浄し、朝まで1時間ごとに訪室。
連絡:07:30 長男へ電話で報告(施設長 了承済み)。
今後の対応:ベッド脇に滑り止めマットを敷く。
  夜間のトイレ誘導の時刻を見直す(10/9 カンファレンスで検討)。

介護記録でよく使われる言葉のうち、読む人によって受け取り方が変わるものを、観察した事実に言い換えた例です。

介護記録の言い換え表(主観的な表現 → 観察した事実)
避けたい表現言い換えの方向例
機嫌が悪い表情・発言・行動を書く眉間にしわを寄せ「放っておいて」と話す
拒否何を、どう断ったか、職員がどうしたか「今日はいい」と首を振る。10分後に再度誘う
徘徊歩いた場所・時間と本人の言葉「家に帰る」と話しながら廊下を20分ほど歩く
暴言・暴力発言をそのまま、行動を具体的に「触るな」と大声で言い、職員の手を払う
特変なし確認した項目を書く食事・水分・排泄はいつもどおり。痛みの訴えなし
よく眠れた巡回の時刻と状態23時・1時・3時の巡回で入眠を確認
理解力が低いどの説明に、どう反応したか服薬の説明を2回繰り返すと「わかった」と答える
不穏行動・発言・続いた時間夕方から30分、立ったり座ったりを繰り返す
様子観察何を、いつまで、誰が見るか右すねの赤みを明日の入浴時に看護職が確認する

介護記録でよく使う用語と略語です。職員同士の記録では施設で決めた用語を使い、家族が読む連絡帳や説明では右の列のような言葉に言い換えます。

略語は施設の記録規程で決めたものだけを使います。BP・KTのような略語は職種や施設によって使い方が違うことがあるため、新人職員向けに一覧を作っておくと記録がそろいます。

介護記録の用語集(用語・意味・家族向けの書き方)
用語意味家族向けの書き方
臥床(がしょう)ベッドに横になることベッドで横になる
離床ベッドから起きて離れることベッドから起きる
端座位ベッドの端に腰かけ、足を床につけて座る姿勢ベッドの端に座る
傾眠声をかけると目を覚ますが、すぐにうとうとする状態うとうとしている
清拭(せいしき)入浴の代わりに、タオルで体をふいて清潔にすること体をふく
更衣服を着替えること着替え
体位変換床ずれを防ぐために、寝ている体の向きを変えること体の向きを変える
発赤(ほっせき)皮膚が赤くなっていること赤み
浮腫(ふしゅ)むくみむくみ
誤嚥(ごえん)食べ物や唾液が気管に入ること食べ物が気管に入る
頓服(とんぷく)症状が出たときに飲む薬必要なときに飲む薬
失禁意図せずに尿や便が出てしまうことトイレに間に合わない
BP・P・KT血圧・脈拍・体温の略語血圧・脈拍・体温
SpO2血液中の酸素の量(経皮的動脈血酸素飽和度)血液中の酸素の量
ADL日常生活動作(食事・排泄・移動・入浴など)日常の動作

運営基準は、事故の状況と事故に際して採った処置を記録することを求めています。市町村への事故報告の様式がある場合は、その項目にも合わせます。

ヒヤリハット(事故には至らなかった出来事)も同じ項目で残しておくと、転倒が起きやすい時間帯や場所を職員全体で共有できます。再発防止策の検討は、事故防止の委員会やカンファレンスで行い、その結果も記録します。

  • 発生(発見)日時と場所。発見した時刻と、発生したと思われる時刻は分けて書く
  • 発見者と、発見したときの利用者の姿勢・様子・本人の言葉
  • 確認したこと(意識、痛み、けがの部位と大きさ、バイタル)
  • 行った処置と、報告・相談した相手(看護職・医師)と時刻、受けた指示
  • 家族への連絡(誰が、いつ、何を伝えたか)
  • その後の経過(観察の頻度、受診の有無)
  • 原因として考えられることと再発防止策(判断であることが分かるように分けて書く)

記録の時間が足りない現場では、ケアの直後に気づいたことを声で残し、あとで文章に整える方法があります。録音するのは職員自身の口述で、利用者の会話を無断で録音するものではありません。

  1. 01

    ケアの直後に、気づいたことを口述する

    スマートフォンのアプリで「14時、入浴。右すねに2センチの赤み、痛みなし、田中さんに報告」のように話して録音します。利用者の氏名は言わず、居室番号やケース番号を使います。

  2. 02

    文字起こしを、記録の書式に整える

    AIチャットに「時刻・場面・事実・本人の言葉・報告先の順に、介護記録の文体で整えて」と頼みます。話していない内容は補わないよう指示します。

  3. 03

    職員が確認して、記録ソフトに転記する

    数字と時刻を確かめ、施設の記録ソフトや様式に転記します。記録の内容を判断し、確定するのは職員です。

Klangは、職員の口述や、同意を得て録音したカンファレンス・担当者会議を文字起こしし、AIチャットで記録の書式に沿った下書きを作れます。下書きの根拠になった発言の時刻に戻って音声を確かめられます。Klangは介護記録ソフトではないため、確定した記録は施設の記録システムに残してください。

  • 文字起こしは無制限、AI要約とチャットもフリープランで使えます。iOS・Androidのアプリで録音できます
  • Zoom・Teams・Google Meetの会議は、会議アシスタントが参加して自動で録音できます
  • 会話データをAIの学習に使いません。ISO/IEC 27001:2022の認証を取得しています
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介護記録とは何ですか。

介護記録とは、介護サービスを提供した日時と内容、そのときの利用者の状態や発言を残す記録です。職員間の情報共有、ケアの根拠と振り返り、家族や関係機関への説明に使い、介護保険の運営基準でも提供したサービスの内容等の記録が求められています。

介護記録の良い例と悪い例の違いは何ですか。

介護記録の悪い例は「食欲がなかった」「特変なし」のように、時刻・数字・本人の言葉・確認した項目が抜けている書き方です。良い例は「昼食は主食3割、『口の中が痛い』と話し、看護職へ報告」のように、読んだ人が場面を再現でき、次のケアにつなげられる書き方です。

介護記録は何年保存すればよいですか。

介護保険の運営基準では、サービスの提供に関する記録をその完結の日から2年間保存することとされています。自治体によっては条例で5年としている場合があるため、指定を受けた自治体の基準を確認してください。

介護記録で「特変なし」と書いてはいけませんか。

禁止されているわけではありませんが、何を確認して変わりがなかったのかが残りません。「食事・水分・排泄はいつもどおり、痛みの訴えなし」のように、確認した項目を書くと次の職員が判断しやすくなります。

介護記録は常体と敬体のどちらで書きますか。

施設の規程に従います。多くの施設では「〜した」「〜と話す」のような常体で、簡潔に書いています。家族向けの連絡帳では敬体を使うなど、読む人に合わせて使い分ける施設もあります。

アセスメントの記録と介護記録の違いは何ですか。

介護記録は日々のケアと利用者の様子を時系列で残す記録です。アセスメントは、利用者の状態や生活の課題を分析し、ケアプランを作る根拠にする記録です。日々の介護記録の積み重ねが、アセスメントや計画の見直しの材料になります。

音声入力で介護記録を作ってもよいですか。

施設の規程で認められていれば、口述を文字にして下書きにする方法は記録の時間を減らすのに役立ちます。利用者の氏名など個人情報を声に出さない、確定前に職員が内容を確かめる、録音データの保存と削除のルールを決めておく、の3点を守ってください。

クレジットカードは不要です。数分でお使いいただけます。