概要
- ・〇月〇日〇時ごろ、〇〇において、〇〇の作業中に〇〇が発生しました。
- ・〇〇さんが〇〇を負傷しました。現在は〇〇の状態です。
事故報告書 書き方・テンプレート
事故報告書は、事故の「事実経過・被害・原因・再発防止策」を、推測を交えず時系列で書く社内文書です。業務・介護・建設の現場で使える書き方と例文、関係者への聞き取りから事実経過を整理する方法、ヒヤリハット報告書との違い、Word・Excelの無料テンプレートをまとめました。
公開日・更新日:
執筆・運営:Klang AI AB
基本
事故報告書は、職場で起きた事故について、何が起きたか(事実経過)、どんな被害があったか、なぜ起きたか(原因)、どう防ぐか(再発防止策)を会社に報告する文書です。目的は責任追及ではなく、同じ事故を二度と起こさないことです。
社内の事故報告書とは別に、法令で行政への報告が定められている場合があります。2026年10月時点の主なものは次のとおりです。社内の報告書を正確に書いておけば、行政への報告の内容もそろえやすくなります。
| 報告 | 提出先 | いつ・どんなとき |
|---|---|---|
| 事故報告書(社内) | 上長、安全衛生委員会など | 社内規程で定めた事故のすべて。第一報は当日中、報告書は規程の期限まで |
| 労働者死傷病報告 | 所轄の労働基準監督署 | 労働災害で死亡・休業4日以上:遅滞なく。休業4日未満:四半期ごとにまとめて報告。2025年1月1日から電子申請が原則義務化 |
| 介護事故の報告 | 市町村(保険者)、家族、居宅介護支援事業者など | 介護保険の指定事業者で、サービス提供中に事故が起きたとき。対象と様式は自治体ごとに異なる |
項目
様式は会社ごとに違いますが、読む人が判断に使う項目は共通です。このページのテンプレートには、次の項目を入れています。
| 項目 | 書くこと | よくある抜け |
|---|---|---|
| 基本情報 | 件名、発生日時、場所、報告者、被災者・関係者 | 目撃者の名前、発生時刻の確認方法 |
| 事故の概要 | 何が起きたかを1〜2文で | 結果(けがの程度)が書かれていない |
| 事実経過 | 時刻ごとに、誰が・何を・どうしたか | 発生直後の連絡と処置の時刻 |
| 被害・影響 | 人的被害、物的損害、業務への影響 | 休業の有無、診断の内容 |
| 原因 | 直接の原因と、背景の要因 | 手順・設備・体制の問題 |
| 再発防止策 | 対策、担当、期限 | 期限と、実施を確かめる方法 |
書き方
事故の直後は、報告書を書くより、けが人の救護と二次災害の防止が先です。落ち着いてから、次の順で書きます。
発生後すぐに、上長へ「いつ・どこで・誰が・どうなったか」と、けがの程度を伝えます。報告書の完成を待ちません。
現場の写真、段差や距離の測定値、防犯カメラの映像、診断書など、後で事実を確かめられるものを集めます。
被災者、目撃者、現場の責任者から、記憶が新しいうちに一人ずつ話を聞きます。誘導する質問は避けます。
時刻ごとに1行で、誰が・何を・どうしたかを書き、確認の方法(本人・目撃者・記録)を添えます。
直接の原因と背景の要因に分け、要因ごとに対策を決めます。対策には担当と期限を付けます。
5W1H
事故報告書でいちばん多い失敗は、事実と推測、主観が混ざることです。5W1H(いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように)のうち、「なぜ」だけは原因の欄に分けて書きます。例はすべて架空です。
避けたい書き方
不注意で台車を倒してしまった。
改善例
段差(約2cm)で前輪が止まり、台車が前方に傾いて倒れた。
「不注意」は評価です。経過の欄には、起きたことだけを書きます。
避けたい書き方
荷物を高く積みすぎていた。
改善例
段ボール箱を約1.6mの高さまで積んでいた(社内基準は1.5m以下)。
「高く」「多く」は数字に直し、基準があれば並べて書きます。
避けたい書き方
朝のうちに転倒した。
改善例
10時20分ごろ、出荷バース3番付近で転倒した。
時刻と場所は、後から現場で確かめられる精度で書きます。
避けたい書き方
今後は十分注意するよう指導した。
改善例
積み付け高さ1.5m以下の基準を10月10日の朝礼で周知し、台車に表示を貼った。
「注意する」は対策になりません。何を、いつまでに変えるかを書きます。
聞き取りから書く
下の記入例の事実経過は、事故の翌日に行った3人への聞き取りから作りました。聞き取りで話された言葉は、そのままでは報告書に使えません。発言を、確かめられる事実の1行に直す過程を並べました(架空の例です)。
| 聞き取りでの発言 | 事故報告書への書き方 | 直したポイント |
|---|---|---|
| 前田さん:「いつもの量より少し多めに積んでました。1.6mくらいかな。急いでたわけじゃないです」 | 10:15 段ボール箱を約1.6mの高さまで積んだカゴ台車を、出荷バースへ移動し始めた。 | 「少し多め」は数字に直す。「急いでいない」は本人の説明として残し、原因の判断には使わない。 |
| 前田さん:「バースの手前で急に止まって、前に倒れてきました。足をよける暇はなかったです」 | 10:20 床の継ぎ目(段差約2cm)で前輪が止まり、台車が前方に傾いて倒れ、左足の甲に当たった。 | 段差の高さは現場で測った値を書く。「急に」は、防犯カメラの映像で順序を確かめてから書く。 |
| 岡本さん:「音がして振り向いたら、もう倒れてました。すぐ課長を呼びました」 | 10:22 岡本さんが課長に連絡。西田課長が現場で荷をどけ、足を冷やす処置をした。 | 目撃者が見ていない部分(倒れる瞬間)は、目撃者の証言として書かない。 |
| 西田課長:「あの段差、8月の床の補修のあとからあるんですよ。表示は出してなかったです」 | 原因(背景の要因):段差は8月の床補修で生じたが、注意表示がなかった。 | 経過ではなく原因の欄に書く。補修の日付は施設担当の記録で確かめる。 |
聞き取りは、被災者と目撃者を別々に、記憶が新しいうちに行います。「台車を押しすぎたのでは?」のように答えを誘う質問は避け、「そのとき何をしていましたか」「次に何が起きましたか」と順に聞きます。聞き取りの進め方は事実確認のヒアリングのガイドで詳しく解説しています。本人の同意を得てスマホのアプリで録音しておけば、報告書を書くときに発言を聞き直して確かめられます。
記入例
上の聞き取りをもとに書いた、架空の記入例です。Word版の2ページ目、Excel版の「記入例」シートにも同じ内容を収録しています。
記入例(架空の会社・人物です)。物流センターで、カゴ台車が倒れて作業員の足に当たった事故。
| 日時 | 事実(誰が・何を・どうした) | 確認の方法 |
|---|---|---|
| 10:15 | 前田さんが、段ボール箱を約1.6mの高さまで積んだカゴ台車を出荷バースへ移動し始めた。 | 本人・目撃者 |
| 10:20 | バース手前の床の継ぎ目(段差約2cm)で前輪が止まり、台車が前方に傾いて倒れ、左足の甲に当たった。 | 本人・防犯カメラ |
| 10:22 | 岡本さんが課長に連絡。西田課長が現場で荷をどけ、足を冷やす処置をした。 | 目撃者・課長 |
| 11:05 | 前田さんが近くの整形外科を受診。左足の打撲と診断され、骨折はなし。 | 診断書 |
| 10/8 | 前田さんは通常どおり出勤。休業はなし。 | 勤怠記録 |
| 対策 | 担当 | 期限 |
|---|---|---|
| 床の段差をスロープ材で解消し、補修まで注意表示を置く | 施設担当 吉田 | 10月14日 |
| 積み付け高さ1.5m以下の基準を朝礼で周知し、台車に表示を貼る | 西田 | 10月10日 |
| 安全衛生委員会で、ほかの段差がないか巡視する | 委員会 | 10月21日 |
業種別
基本の項目は同じですが、業種によって、読む人が必ず確かめる項目があります。テンプレートの欄に足して使ってください。
| 業種・場面 | 追加する項目 | 注意すること |
|---|---|---|
| オフィス・一般業務 | 情報漏えいの有無、社外への影響、取引先への連絡 | メール誤送信などのトラブルは、経緯書・顛末書で社外に説明することもある |
| 介護施設・訪問介護 | 利用者の状態(バイタル)、受診の有無、家族・ケアマネへの連絡日時 | 本人の様子は記録の言葉で書く。市町村への報告の対象と様式を確認する |
| 建設・製造・物流 | 作業の手順と工程、使用機械、保護具の着用、作業指示の内容 | 休業4日以上なら労働者死傷病報告も必要。KY活動の記録と照らし合わせる |
| 店舗・接客 | お客様の情報と連絡先、商品や設備の状態、防犯カメラの映像の保存 | お客様のけがは、救護と連絡を優先し、賠償の話はその場でしない |
介護の現場で事故の前後の様子を書く言葉は介護記録の書き方、建設・製造で事故を作業前に防ぐ取り組みはKY活動・危険予知訓練のやり方、システム障害の振り返りはポストモーテムの書き方を参考にしてください。
事故の前に、現場で話した内容を記録として残しておく方法もあります。建設業は定例会議を録音から打ち合わせ記録にする方法、製造業はベテランへの聞き取りを技能伝承の記録にする方法で紹介しています。
例文
〇〇の部分を、実際の内容に置き換えて使います。例文だけで埋めず、時刻・数字・名前を必ず入れてください。
ヒヤリハット
ヒヤリハット報告書は、事故にはならなかったが「ヒヤリ」「ハッ」とした出来事を記録する文書です。小さな出来事を数多く集めて、事故が起きる前に危険な場所や作業を見つけるために使います。
| 観点 | 事故報告書 | ヒヤリハット報告書 |
|---|---|---|
| 対象 | けがや損害が実際に起きた出来事 | 事故になりかけたが、被害はなかった出来事 |
| 書く人 | 現場の責任者・上長が中心 | 体験した本人 |
| 分量 | A4で1〜2枚。事実経過を時系列で | 数分で書ける短い様式 |
| 使い方 | 原因を調べ、再発防止策を決める | 件数を集計し、多い場所・要因から対策する |
| 大切なこと | 事実と推測を分ける | 報告した人を責めない |
ヒヤリハットは、報告が少ないほど安全なのではなく、報告しにくい職場であることが多くあります。「書いた人が叱られない」ことを周知し、Excel版の「ヒヤリハット一覧」シートで場所と要因ごとに件数を見て、毎月の安全衛生委員会で多いものから対策します。
記入例(架空の施設・人物です)。介護施設で、ブレーキのかかっていない車椅子から利用者が立ち上がりかけた例。
| 時刻 | 対応 | 報告した相手 |
|---|---|---|
| 20:40 | Aさんの体を支えて座り直してもらい、痛みやけががないことを確認。 | — |
| 20:50 | 夜勤リーダーに口頭で報告し、翌朝の申し送りで共有。 | 夜勤リーダー 北村 |
ダウンロード
Word版は2種類(各2ページ:空欄と記入例、A4縦)。Excel版は、事故報告書とヒヤリハット報告書の記入用シート、記入例、ヒヤリハット一覧(40行)をまとめた1ファイルです。登録不要・無料です。
件名、発生日時、発生場所、報告者、被災者・関係者、報告日・提出先、事故の概要、事実経過(時系列)、被害・影響、原因、再発防止策(担当・期限)。
登録不要・無料。Word版は1ページ目が空欄、2ページ目が記入例(A4縦)。
発生日時、場所、報告者、業務の内容、どんな状況だったか、何が起きかけたか、事故になっていたらどうなったか、その場の対応、原因、対策の提案、要因の分類。
登録不要・無料。Word版は1ページ目が空欄、2ページ目が記入例(A4縦)。
ほかの報告書の様式は報告書テンプレート(目的別の選び方)にまとめています。
KLANG
Klangは会話の録音から文字起こしを作成し、フリープランでも文字起こしは無制限です。事故のあとに関係者から話を聞くとき、本人の同意を得て録音しておけば、報告書の事実経過を「誰がどう説明したか」に戻って確かめながら書けます。
聞き取りの録音は、相手に目的と保存期間を伝えて同意を得てから行ってください。被災者が動揺しているときは、治療と休息を優先し、聞き取りは落ち着いてから行います。原因の判断と再発防止策は、AIの整理をそのまま使わず、関係者で検討して決めます。
無料で試す件名、発生日時と場所、報告者、被災者・関係者の基本情報に加えて、事故の概要、事実経過(時系列)、被害・影響、発生直後の対応、原因、再発防止策を書きます。再発防止策には担当と期限を付けると、実施を確かめられます。
社内の事故報告書は、まず当日中に口頭や第一報で報告し、正式な報告書は就業規則や社内規程の期限(多くは数日以内)に提出します。労働災害で死亡または休業4日以上となった場合は、社内の報告書とは別に、労働者死傷病報告を遅滞なく労働基準監督署に提出する必要があります。
事故報告書は事実と原因、対策を伝える文書なので、反省の言葉は必要ありません。社外向けにおわびが必要な場合や、懲戒の手続きで反省を求められる場合は、始末書や別のおわび状で対応します。
事故報告書は、実際にけがや損害が発生した出来事を報告する文書です。ヒヤリハット報告書は、事故にはならなかったが危なかった出来事を記録し、同じ場面で事故を防ぐための文書で、報告した人を責めない運用が前提です。
事実経過の欄には推測を書かず、確認できた事実と、その確認方法(本人・目撃者・記録)を書きます。原因について推測が必要な場合は、「〜と考えられる」と書いて原因の欄に分け、まだ確認中であることを明記します。
介護保険の指定事業者は、サービスの提供中に事故が起きた場合、市町村や家族などに連絡し、事故の状況と処置を記録することが運営基準で定められています。報告の対象となる事故の範囲や様式は自治体ごとに異なるため、保険者の市町村が定める様式と期限を確認してください。