公務員・自治体のAI活用
公務員・自治体のAI活用。審議会や庁内会議の会議録を、録音から下書きまで。
自治体の生成AIは、あいさつ文や議事録の要約から使われ始めています。文案づくりは庁内の生成AIに、判断と説明は職員に。その間にある審議会・庁内会議・住民説明会の記録を、AIで下書きする方法をまとめました。地方公務員法第34条と、総務省のガイドブックにある情報の分類を踏まえた確認項目つきです。
公開日:更新日:執筆・運営:Klang AI AB
市役所の仕事のどこに生成AIが入るか:窓口・議会・審議会別の早見表
同じ「公務員とAI」でも、文案づくりと窓口の判断とでは話がまったく違います。課の仕事を8つに分け、AIがどこまで入り込むか、どの製品の領分か、Klangが使えるかを並べました。
Klangは庁内の文案用の生成AIでも、住民向けのチャットボットでもなく、翻訳の機能も持ちません。17の言語の音声を、話された言語のまま文字にします。表のうち「対応」の行、つまり会議で出た発言を会議録の材料にし、後から議題や言葉で引けるようにする部分が、Klangの受け持ちです。
| 仕事 | AIの入り方 | 具体的な使い方 | 使う製品 | Klang |
|---|---|---|---|---|
| あいさつ文・メール・企画書 | たたき台まで | 首長あいさつや通知文の文案。表現と事実関係は職員が直す | 庁内で契約した生成AI | 使わない |
| 議会の想定問答・答弁案 | 下調べの補助 | 過去の会議録や例規を手がかりにした答弁案のたたき台 | 庁内で契約した生成AI | 使わない |
| 住民からのよくある問い合わせ | 定型の質問なら自動応答 | ごみの出し方や開庁時間などへの回答。個別の相談は窓口へ回す | AIチャットボット | 使わない |
| 審議会・庁内会議の会議録 | 下書きを任せ、審議の中身は委員と職員 | 録音から文字起こし、会議録の要旨、持ち帰り事項の一覧 | 録音から会議録を作るAI | 対応 |
| 住民説明会の記録 | 質疑の整理を任せ、回答の責任は職員 | 質疑を「質問・回答・持ち帰り」に分けた記録の下書き | 録音から会議録を作るAI | 対応 |
| 本会議・委員会の会議録 | 反訳の下書きまで。校正と署名は議会事務局 | 録音の反訳の下書き。会議中の字幕や議会専用の辞書は別の製品 | 議会向けの会議録システム | 一部(録音ファイルの文字起こし) |
| 外国語での窓口対応 | 翻訳・通訳の製品が担う | 多言語での翻訳と通訳 | 翻訳AI・通訳サービス | 使わない(翻訳機能なし) |
| 許認可・給付の決定 | 入らない。決めるのは職員 | AIの出力は検討の材料にとどめる | — | 使わない |
公務員はAIに置き換わるのか:総務省の調査に見る自治体の使い方
自治体が生成AIに任せているのは、いまのところ下書きです。住民の事情を聞き、法令に照らして決め、その理由を説明する仕事は、職員の手を離れていません。
総務省の令和7年度の調査で、自治体が挙げた生成AIの活用事例は「あいさつ文案の作成」(1,292件)、「議事録の要約」(1,131件)、「議会の想定問答の文案の作成」(1,085件)の順でした。上位の3つとも、職員が最後に手を入れて仕上げる下書きです。
同じ調査で、導入の課題として最も多かったのは「AI生成物の正確性への懸念がある」でした。人材の不足と、要機密情報が流出する懸念が続きます。会議録の下書きでも、発言の取り違えや数字の聞き違いは起こります。元の録音で確かめる手順を、運用に組み込んでおく必要があります。
総務省の「自治体におけるAI活用・導入ガイドブック」(第4版)は、議事録の要約で1件あたり1時間45分を減らした導入事例を紹介しています。会議録の作業が減った分は、窓口での相談や施策の検討に回せます。
例:審議会の94分が、会議録(要旨)の下書きになるまで
公共施設の統廃合を話し合う市の検討委員会の例です(架空)。事務局の資産経営課が、会場のICレコーダーで録音した音声をKlangにアップロードしました。
この審議会の会議録の様式に合わせ、下書きは「議題」「委員の主な意見」「事務局の持ち帰り事項」「次回の予定」の4見出しで作らせています。様式が違う審議会では、見出しの指示を書き換えます。公開版に移す前に、発言者・数字・日付をタイムスタンプの位置で聞き直します。
要旨ではなく発言の全文を残す場合は、文字起こしの本文をWordやテキストで書き出し、反訳の原稿として校正します。
文字起こし(抜粋)
- 03:15事務局(資産経営課)資料2のとおり、北地区の公民館と図書館分室を、一つの建物にまとめる案をお示しします。
- 14:32会長では、統合の案について、委員の皆さまからご意見をお願いします。
- 15:05委員(自治会連合会)統合には反対しません。ただ、バスの本数が少ないので、高齢の方が通えるかが心配です。確認1
- 16:20委員(公募)近所の田中さんは車いすで、いまの分室にも家族の送迎で来ています。確認2
- 31:48委員(学識経験者)利用者の数を、平日と土日に分けたデータで出していただけますか。
- 32:10事務局(資産経営課)次回までに、曜日別の利用者数をお示しします。
- 88:40会長次回は11月の第2火曜、午後2時からといたします。確認3
Klangが作る下書き
- 議題
- 北地区の公民館と図書館分室の統合案(資料2)
- 委員の主な意見
- 統合には反対しないが、バスの本数が少なく、高齢者が通えるかが心配
- 近所の田中さんは車いすで、家族の送迎で分室に来ている
- 利用者数を平日と土日に分けたデータが必要
- 事務局の持ち帰り事項
- 曜日別の利用者数を次回の委員会で示す
- 次回の予定
- 11月の第2火曜、午後2時から
記録にする前に確認すること
- 確認115:05 公開する会議録に委員の氏名を書くかどうかは、その自治体の審議会の公開に関する指針で決まります。話者の割り当てが正しいかも、元の録音で確かめます。
- 確認216:20 公開版では住民の氏名を除き、「車いすを使う利用者もいる」のように個人が特定されない書き方に直します。
- 確認388:40 「11月の第2火曜」は「11月10日(火)」のように日付に直します。11月3日は第1火曜で、文化の日です。
会議録の決まり:議会は地方自治法第123条、審議会は各自治体の指針
議会の本会議の会議録は、地方自治法第123条が作成を義務づけています。第1項は「議長は、事務局長又は書記長(書記長を置かない町村においては書記)に書面又は電磁的記録により会議録を作成させ、並びに会議の次第及び出席議員の氏名を記載させ、又は記録させなければならない。」と定めています。
第2項と第3項は、議長と議会が定めた2人以上の議員が、会議録に署名するか、電磁的記録の場合は署名に代わる措置をとることを定めています。AIで反訳の下書きを作っても、校正と署名の手順は変わりません。
審議会の会議録の作り方は、法律ではなく各自治体の指針で決まります。大阪市は、公開した会議について、発言内容の要旨と発言者の氏名を記録した会議録をホームページに載せるとしています。群馬県は、「会議録または会議結果の概要」を作成し、公開するとしています。
委員の氏名を載せるか、要旨と全文のどちらで残すかは、担当する審議会の指針を先に確かめます。AIへの指示もその様式に合わせます。
地方公務員法第34条と、クラウドのAIに入れてよい情報
地方公務員法第34条第1項は「職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また、同様とする。」と定めています。違反して秘密を漏らした者は、第60条により1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金に処せられます。会議の録音をクラウドのAIに入れる前に、その会議の情報がどの分類に当たるかを確かめます。
ガイドブックは、生成AIに特有の配慮として、入力した要機密情報を学習させない仕組みが重要だとしています。Klangはどのプランでも、会話データをAIの学習に使いません。
Klangのフリープランとプロプランは、利用規約に同意して使い始めるサービスです。まずは自治体機密性1に当たる公開の会議で試すのが確実です。KlangはISMAPへの登録や、LGWAN接続系での動作をうたっていません。閉域網での運用が必要な場合は、オンプレミスでの導入を個別にご相談ください。
デジタル庁の「行政の進化と革新のための生成AIの調達・利活用に係るガイドライン」(第2.0版、2026年9月1日施行)は国の行政機関向けです。地方公共団体には「必要に応じ、参考とされることを期待する」としています。
| 情報の分類 | パブリッククラウドの扱い | 会議の例 |
|---|---|---|
| 自治体機密性1 | 利用できる | 公開で開いた審議会、公表済みの資料の説明 |
| 自治体機密性2 | 利用できる。ただし約款への同意だけで使えるサービスでは扱えない | 非公開の庁内会議、検討中の施策の打ち合わせ |
| 自治体機密性3B・3C | 3BはISMAP登録サービスが利用できる。3Cは追加の対策が必要 | 住民の個人情報を含む相談や審査 |
自治体の会議録ツールを選ぶとき:AmiVoice・ログミーツとの違い
自治体の会議録では、AmiVoiceとログミーツがよく比べられます。どちらも自治体での導入例を公表している製品で、Klangとは得意な場面が違います。
ProVoXTはLGWANに対応していますが、LGWAN環境ではリアルタイム認識とiOSアプリは使えません。ログミーツは、2023年4月の発表で「230以上の自治体」で正式に導入されたとしています。
議会の本会議で会議中に文字を表示したい場合は、この2製品が候補になります。LGWAN接続系での運用が前提なら、LGWAN対応を明示しているProVoXTが候補です。審議会や庁内会議の録音を、会議の後に記録にする用途なら、Klangをフリープランで試してから比べられます。
| 比べる点 | AmiVoice ProVoXT | ログミーツ | Klang |
|---|---|---|---|
| LGWAN | 対応(リアルタイム認識とiOSアプリを除く) | 公式サイトに記載なし | うたっていない |
| 会議中の文字起こし | 対応。字幕表示も可 | 「実質ゼロ秒で文字起こし」と案内 | 非対応(会議の後に作成) |
| 録音の方法 | WindowsのPCのブラウザ、iPhone・iPadのアプリ | 専用のモバイル端末、Windowsアプリ | 会議ボット、iOS・Androidのアプリ、録音ファイルのアップロード |
| 料金 | 録音時間のパック | 公式サイトでは非公開 | フリープラン¥0、プロプラン月払い¥1,180 |
担当課で試す順番:公開の審議会から、非公開の会議へ
情報の分類が低い会議から始めると、情報政策の担当課との調整が短く済みます。
- 01
会議ごとに自治体機密性の分類を決める
試したい会議が機密性1・2・3のどれに当たるかを、生成AIの利用ガイドラインに沿って情報政策の担当課と決めます。
- 02
公開で開いた審議会の録音で精度を見る
傍聴できる審議会や、公表済みの資料を説明した会議の録音で、委員名の聞き取り、数字、要旨の粒度を確かめます。
- 03
会議録の様式を、見出しとして指示する
「議題・委員の主な意見・事務局の持ち帰り事項・次回の予定」のように、その審議会の会議録の見出しをそのままAIへの指示に書きます。
- 04
手で起こした場合と、作業時間を比べる
2〜3回の会議で、反訳から公開版までにかかった時間を記録し、手作業のときと並べて課内で共有します。
審議会の録音を、議題と言葉で引ける会議録の材料に
会場のICレコーダーやスマートフォンの録音をアップロードすると、全文の文字起こしと要旨の下書きができあがります。オンラインで開く庁内会議には、Zoom・Teams・Google Meetへ会議ボットを入れて録れます。過去の会議は議題や委員の発言の言葉で探せ、WordやExcelに書き出して会議録の原稿にできます。
- 録音と文字起こしは通信中も保存中も暗号化され、AIの学習には使われません
- ISO/IEC 27001:2022の認証を取得しています。閉域での運用はオンプレミスの導入で相談できます
- 会長・委員・事務局の声を分けて表示する機能はプロプランで使えます
よくある質問
公務員の仕事はAIでなくなりますか。
公務員の仕事のうち、あいさつ文や議事録の要約といった文案と記録の下書きはAIに移りつつあります。住民の話を聞いて判断し、その理由を説明する仕事は職員に残ります。総務省の調査でも、自治体の生成AIの使い道の上位は文案づくりと議事録の要約でした。
自治体は生成AIをどの業務に使っていますか。
総務省の令和7年度の調査では、自治体の生成AIの活用事例は「あいさつ文案の作成」「議事録の要約」「議会の想定問答の文案の作成」の順に多くなっています。2025年10月31日時点で、都道府県と指定都市のすべてが生成AIを導入済みで、その他の市区町村は45.6%でした。
審議会や庁内会議の録音をクラウドのAIに入れると、地方公務員法の守秘義務に触れますか。
地方公務員法第34条は、職員が職務上知り得た秘密を漏らすことを禁じています。録音をクラウドのAIに入れてよいかは、その会議の情報が自治体機密性のどの分類に当たるかと、各自治体の情報セキュリティポリシーで決まります。まずは公開で開いた会議で試し、非公開の会議は情報政策の担当課に確かめてください。
KlangはLGWANやISMAPに対応していますか。
KlangはISMAPへの登録や、LGWAN接続系での動作をうたっていません。会話データを外部に出せない場合や、閉域網での運用が必要な場合は、オンプレミスでの導入を個別にご相談ください。LGWAN対応を明示している製品には、AmiVoice ProVoXTがあります。
Klangで議会の本会議の会議録は作れますか。
Klangでは、本会議の録音ファイルを文字起こしし、反訳の下書きにできます。リアルタイムの字幕表示や議会専用の辞書はありません。地方自治法第123条による会議録の作成と署名の手順は、AIを使っても変わりません。
課の予算がなくても試せますか。
フリープランは¥0で、カードの登録なしに始められます。文字起こしの時間に上限はなく、1ファイル10GBまでの録音を入れられます。声ごとに発言を分ける機能はプロプランで、月払いは1ユーザー¥1,180(税込)、年払いは月あたり¥980です。