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Whisperの使い方

Whisperで文字起こしする方法。日本語の使い方・無料の範囲・限界

OpenAIが公開している音声認識モデル「Whisper」を、自分のPCで無料で動かして日本語を文字起こしする手順を解説します。モデルの選び方、コマンドの組み立て、話者の区別がないことや無音での誤出力といった限界、サービスを使ったほうがよい場面まで、公式情報をもとに整理しました。

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使い方は2通り

「Whisperで文字起こし」には、公開されたモデルを自分のPCで動かす方法と、OpenAIのAPI経由で使う方法があります。無料なのは前者です。

OpenAIの公式ドキュメントでは、whisper-1は以前からあるモデルとして扱われ、新しい文字起こし用モデル(gpt-transcribe:1分あたり$0.0045、話者分離に対応したgpt-4o-transcribe-diarize:1分あたり$0.006など)も案内されています。料金は変わることがあるため、使う前に公式の料金ページを確認してください。

Whisperの使い方の比較(2026年10月3日時点の公式情報)
項目自分のPCで動かすOpenAIのAPIで使う
料金無料(PCと電気代のみ)whisper-1は1分あたり$0.006
必要なものPython、ffmpeg、できればGPUAPIキーとプログラム
ファイルの上限PCの性能しだい1ファイル25MBまで。超える場合は圧縮・分割
音声の送り先手元のPCから出ないOpenAIのサーバーへ送信
話者の区別なしwhisper-1はなし。別の話者分離モデルがある

モデル

Whisperには6つの大きさのモデルがあります。大きいほど精度が上がりやすい一方、GPUのメモリ(VRAM)と処理時間が増えます。

コマンドの既定はturboです。公式READMEは、turboは英語の文字起こしではよく機能する一方、翻訳の学習はしていないと説明しています。日本語の精度は言語や録音によって変わるため、自分の録音でturboとlargeを試し、修正の手間と処理時間を比べて決めるのが確実です。

「.en」で終わるモデル(tiny.enなど)は英語専用です。日本語の音声には使いません。

Whisperのモデル一覧(公式README、2026年10月3日時点)
モデルパラメーター数必要なVRAMの目安速さの目安(largeを1とした比)
tiny3,900万約1GB約10倍
base7,400万約1GB約7倍
small2億4,400万約2GB約4倍
medium7億6,900万約5GB約2倍
large15億5,000万約10GB1倍
turbo8億900万約6GB約8倍

インストール

公式READMEは、Python 3.8〜3.11とPyTorchでの動作を想定しており、音声の読み込みにffmpegが必要です。2026年10月3日時点のPyPIの最新版は20250625です。

  1. 01

    Pythonを用意する

    READMEが想定する3.8〜3.11のPythonを入れます。既存の環境を壊さないよう、仮想環境(venv)を作ってから進めると安心です。

  2. 02

    ffmpegを入れる

    Homebrew、Chocolatey、Scoop、aptなどのパッケージ管理ツールで入れます。mp3・m4a・mp4などの読み込みに使います。

  3. 03

    Whisperを入れる

    pip install -U openai-whisper を実行します。初回の文字起こしでモデルがダウンロードされます(既定の保存先は ~/.cache/whisper)。

  4. 04

    短い録音で試す

    1〜2分の録音で動作と処理時間を確かめてから、長い会議の録音に進みます。

macOS(Homebrewを使う場合)

brew install ffmpeg
python3 -m pip install -U openai-whisper

Windows(Chocolateyを使う場合)

choco install ffmpeg
py -m pip install -U openai-whisper

Ubuntu・Debian

sudo apt update && sudo apt install ffmpeg
python3 -m pip install -U openai-whisper

コマンド

ターミナル(WindowsではPowerShellなど)で whisper コマンドを実行すると、指定した形式のファイルが保存されます。よく使うオプションを選んで、コマンドを作れます。

  • --language Japanese:言語を固定します。指定しないと冒頭の音声で自動判定し、日英が混ざる録音では判定が揺れることがあります。
  • --initial_prompt:社名や人名を書いておくと、表記のヒントになります。最初の区間だけに使われます。
  • --output_format srt:動画の字幕に使えるSRTを出力します。
  • --condition_on_previous_text False:同じ文が繰り返し出力される場合に試す設定です。前の区間とのつながりは弱くなります。

COMMAND BUILDER

条件を選ぶと、Whisperのコマンドを組み立てます。オプション名は公式リポジトリの transcribe.py(2026年10月3日時点)に合わせています。

このページではコマンドを実行しません。Windowsのコマンドプロンプト(cmd.exe)用ではありません。PowerShell7以降を想定し、使うシェルとファイル名を確認してください。

whisper 'meeting.m4a' --model turbo --language Japanese --output_format txt --output_dir 'transcripts'

同じ条件でやり直せる実行記録を残す

元ファイルの版、Whisperのバージョン、モデル、設定、実行時間、出力と確認結果を一緒に記録します。バージョンは python -m pip show openai-whisper で確認できます。モデルや設定が違う結果を同じ条件の比較として扱わないでください。

実行記録シートをCSVで保存

限界

無料で高性能な一方、Whisper単体は「音声を文字列にするモデル」です。会議の記録として使うには、次の点を自分で補う必要があります。

特に、無音や雑音の多い区間に、それらしい文が入っていないかを確認してください。議事録や記録に使う場合は、数字・固有名詞・否定を元の音声で照合します。

  • 話者を区別しない

    出力は区間ごとの文字列と時刻で、誰が話したかは付きません。公式のモデルカードも、話者の分類や話者分離は十分に評価していないと説明しています。

  • 話していない文が出ることがある

    モデルカードは、実際には話されていない文を出力すること(ハルシネーション)があると明記しています。2023年時点のWhisperを評価した研究では、文字起こしの約1%に音声にない文が含まれ、話の合間の無音が長い話し手で多く起きたと報告されています(英語音声での評価)。

  • 同じ文を繰り返すことがある

    仕組み上、同じ文を繰り返し出力することがあり、ビームサーチなどで軽減はできても完全には防げないとされています。

  • 長い録音は30秒ずつ処理する

    ファイル全体を30秒の窓で順に処理します。長い会議ではGPUがないと時間がかかり、APIでは25MBを超えるファイルの分割が必要です。

  • 編集・共有の画面がない

    出力はテキストや字幕のファイルです。音声を聞きながらの修正、用語の統一、チームでの共有や検索は別の道具で行います。

選び方

Whisperが向いているのは、操作に慣れていて、音声を手元から出したくない人です。会議の記録をチームで使うなら、話者の区別や共有がまとまったサービスのほうが早いこともあります。

Whisper(自分で実行)と文字起こしサービスの違い
観点Whisper(自分で実行)文字起こしサービス
費用無料サービスによる。無料プランがあるものも
準備Python・ffmpeg・GPUの用意ブラウザやアプリで登録して使う
話者の区別なし(別の仕組みを組み合わせる)対応するものが多い
確認・編集テキストエディターで行う音声を再生しながら編集できるものが多い
会議の録音自分で録音して保存会議への自動参加などに対応するものも
データ手元のPCに残る保存先・暗号化・AI学習への利用を確認する

CHECK

自分で動かすか、サービスを使うか:当てはまるものを選ぶ

当てはまるものを選んでください

選んだ内容から、自分でWhisperを動かす方法と、文字起こしサービスを使う方法のどちらが合いそうかを示します。

目安を示す簡単なチェックです。費用・社内規程・データの扱いは、それぞれの公式情報で確認してください。

3つの選択肢

「無料の音声認識」を探すと、自分のPCで動かすWhisper、クラウドの音声認識API、完成した文字起こしアプリの3種類が出てきます。費用だけでなく、準備の手間と話者の区別で選びます。

クラウドのAPIの無料利用枠は、サービスごとに条件が違い、変わることもあります。たとえばAmazon Transcribeの料金ページでは、無料利用枠を「12か月間、月60分」と案内しています(2026年10月7日確認)。使う前に各社の公式の料金ページで確認してください。

APIは開発者向けの部品で、録音、話者名の修正、要約、共有の画面は自分で作ることになります。会議の記録が目的なら、アプリの無料プランで試してから判断すると手間が少なく済みます。

音声認識の3つの使い方の比較
観点Whisperを自分のPCでクラウドの音声認識API文字起こしアプリ
費用無料(PCと電気代のみ)従量課金。無料利用枠があるサービスもある無料プランがあるものと、有料のみのものがある
準備Python・ffmpeg、長い録音ではGPUクラウドのアカウント、APIキー、プログラムブラウザやスマホで登録するだけ
話者分離なし。別のライブラリを組み合わせるサービスやモデルによる。対応するものもある対応するものが多い。プランによって異なる
向いている人プログラムに慣れ、音声を手元から出したくない人自社のシステムに文字起こしを組み込みたい開発者会議の記録をすぐ作り、チームで共有したい人

Klangの場合

Klangはブラウザやアプリから録音をアップロードするだけで文字起こしでき、Pythonやモデルの準備は不要です。フリープランは文字起こし無制限で、10GBまでの音声・動画ファイル、会議ボット、要約・チャットを使えます。話者の自動識別と用語集はプロプランです。

日本語と英語を含む17言語に対応し、文字起こしはWord・TXT・SRT・VTTなどで書き出せます。お客様のデータをAIの学習に使うことはありません。

Klangは録音のアップロード、会議ボット、ブラウザ録音から文字起こしを作り、元の音声を聞きながら確認できます。フリープランは文字起こし無制限。話者の自動識別はプロプラン(月払い¥1,180、年払いは月あたり¥980、1ユーザー・税込)です。

  • インストール不要、ブラウザで使える
  • 文から元の音声へすぐ戻れる
  • Word・SRT・CSVなどで書き出し
無料で試す
Whisperは無料で使えますか?

はい。プログラムとモデルの重みはMITライセンスで公開されており、自分のPCで動かす場合は料金がかかりません。OpenAIのAPI経由で使う場合は従量課金で、2026年10月3日時点でwhisper-1は1分あたり$0.006です。

Whisperは日本語に対応していますか?

対応しています。--language Japanese で言語を固定できます。精度は言語や録音の条件で変わるため、自分の録音でモデルを比べて選んでください。

Whisperで話者を分けられますか?

Whisper単体には話者を区別する機能はありません。話者分離の仕組みを別に組み合わせるか、話者の区別に対応した文字起こしサービスを使います。

GPUがないPCでもWhisperは動きますか?

CPUでも動きますが、大きいモデルや長い録音では処理に時間がかかります。まず小さいモデルと短い録音で処理時間を確かめてください。

Whisperの出力に、話していない文が入っていました。なぜですか?

公式のモデルカードは、実際には話されていない文を出力することがあると説明しています。無音や雑音の区間で起こりやすいため、該当箇所を音声で確認し、--hallucination_silence_threshold などの設定も試してください。

クレジットカードは不要です。数分でお使いいただけます。