音声認識の基本と選び方
音声認識とは。AIが声を文字にする仕組みとソフトの選び方
音声認識(ASR)は、話し声をコンピューターが文字列に変える技術です。録音・動画・会議の音声をテキストに変換する方法、音声が文字になるまでの処理の流れ、精度を左右する条件、音声認識ソフトを選ぶときの比較項目を解説します。
公開日:更新日:執筆・運営:Klang AI AB
音声認識は「声を文字列に変える」技術
音声認識(Automatic Speech Recognition、ASR)は、人が話した音声を解析し、話された言葉を文字として出力する技術です。スマートフォンの音声入力、スマートスピーカー、会議の自動文字起こし、動画の自動字幕などに使われています。
似た言葉に「話者認識」があります。音声認識は「何を話したか」を、話者認識は「誰が話したか」を推定します。会議の文字起こしでは両方を組み合わせ、発言内容と発言者を一緒に記録します。
音声認識には、話しながら文字が出るリアルタイム型と、録音を後から処理するファイル型があります。リアルタイム型はメモや字幕表示に、ファイル型は会議録やインタビューのように、後で読み返す記録に向いています。
音声をテキストに変換する方法は、素材で決まる
音声を文字に変換する方法は、手元にあるのが録音ファイルか、動画か、これから話す声か、会議や通話かで変わります。まず素材を確かめ、合う入り口を選びます。
- 01
ファイルの形式と長さを確かめる
音声はmp3・wav・m4a・aac・ogg・opus・aiff・wma、動画はmp4・webm・avi・mkv・movに対応しています。
- 02
言語と話者の数を設定する
日本語だけなら日本語、英語が混ざるなら「自動」を選びます。話者の数が分かっていれば指定します。
- 03
アップロードして待つ
処理が終わると、話者と時刻の付いたテキストが表示されます。
- 04
確認して書き出す
固有名詞・数字・否定を音声で確かめ、Word・TXT・SRT・CSVなど次に使う形式で保存します。
| 手元にある素材 | 変換の方法 | Klangでの入り口 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 録音した音声データ(mp3・m4a・wavなど) | 文字起こしサービスにファイルをアップロード | 新規アップロード。1ファイル10GBまで | 会話の一部だけ必要でも、先に全体を変換して探すほうが速いことが多い |
| 動画(mp4・mov・webmなど) | 動画ファイルのまま文字起こし。音声だけを抜き出す必要はない | 動画ファイルのアップロード、またはYouTubeのリンク | 字幕に使うならSRT・VTTで書き出す |
| これから話す文章 | PC・スマートフォンの音声入力 | (OSの標準機能を使う) | 入力しながら確認する用途。長い会話の記録には向かない |
| オンライン会議 | 会議サービスの記録機能、または会議ボット | 会議ボットをZoom・Teams・Google Meetに参加させる | 参加者への説明と同意を先に確認する |
| 電話・通話 | ほかの方法で録音した通話を、音声ファイルとして変換 | 録音した音声ファイルのアップロード | 録音する前に、相手への説明と同意を確認する |
音声が文字になるまでの6つの段階
サービスによって実装は違いますが、会議やインタビューの録音を文字起こしする場合、おおむね次の段階を通ります。どの段階で問題が起きたかを分けて考えると、精度の改善策が見つけやすくなります。
最近の音声認識は、音の特徴を捉える部分と言葉のつながりを推定する部分を、1つの大きなAIモデルでまとめて学習する方式が増えています。それでも、入力する音声の質と、固有名詞をどう書くかという後処理の重要性は変わりません。
ステップ3/音声認識
音声の特徴から、話された可能性が高い単語の並びを推定します。現在の多くのサービスは、大量の音声と文章で学習したAIモデルを使います。言語の判定もここで行います。
精度に影響すること:言語の指定、なまり、早口、専門用語、重なった発話
音声の入力:マイクや録音ファイル、会議の音声を、処理しやすい形式にそろえます。音量の小ささ、雑音、反響はこの段階で決まり、後の処理では取り戻せません。 精度に影響すること:マイクの距離、雑音、音量、圧縮の強さ
発話区間の検出(VAD):無音や物音と、人が話している区間を分けます。区間の切り方が粗いと、文の頭や終わりが欠けたり、雑音が文字になったりします。 精度に影響すること:長い無音、BGM、キーボードの音
音声認識:音声の特徴から、話された可能性が高い単語の並びを推定します。現在の多くのサービスは、大量の音声と文章で学習したAIモデルを使います。言語の判定もここで行います。 精度に影響すること:言語の指定、なまり、早口、専門用語、重なった発話
話者の区別:声の特徴から発言を話者ごとにまとめます(話者分離・話者ダイアライゼーション)。「話者1」が誰かを名前と結びつけるのは、別の機能か人の作業です。 精度に影響すること:似た声、短い相づち、話者数の多さ
後処理:句読点や数字の表記を整え、用語集や名前リストで固有名詞の書き方をそろえます。ここで読める文章に近づきます。 精度に影響すること:用語集の有無、表記ルール
要約・活用:文字起こしをもとに、生成AIが要約や決定事項の候補を作ります。認識の誤りは要約にも引き継がれるため、元の文と音声に戻れることが大切です。 精度に影響すること:文字起こしの正確さ、指示の書き方
音声認識の精度を左右する5つの条件
同じソフトでも、録音の条件で結果は大きく変わります。ツールを比べる前に、自社の録音がどの条件に当てはまるかを確認します。
「精度○%」という数字は、どの音声で、どう数えたかで大きく変わります。公表値をそのまま比べるより、自社の会議を数本試し、固有名詞・数字・話者の誤りを数えて比べるほうが、導入後の手間を正確に見積もれます。
録音の質
マイクとの距離、雑音、反響、音量。遠い席の声や空調の音は、認識の誤りと抜けの主な原因です。
話し方
早口、小声、語尾のあいまいさ、なまり、方言。言いよどみや言い直しが多い会話も誤りが増えます。
発話の重なり
複数人が同時に話す区間は、どちらの発言も崩れやすくなります。話者の区別も難しくなります。
語彙
社名、人名、製品名、業界の略語は、一般的な学習データに少ないため誤りやすい語です。用語集で改善できることがあります。
言語
言語の指定が合っていないと、意味の通らない文字列になります。日本語と英語が混ざる会議は、区間ごとの言語判定に対応したものを選びます。
音声認識の精度はCER・WERで測る
音声認識の精度は、正しい文字起こし(参照文)と認識結果を比べ、どれだけ誤っているかで表します。日本語では文字単位のCER、英語のように単語を空白で区切る言語では単語単位のWERがよく使われます。
計算例です。参照文「来週の水曜に見積もりを送ります」(15文字)に対して、認識結果が「来週の水曜日に見積もり送ります」だったとします。「日」が余分に入った挿入が1つ、「を」が抜けた削除が1つで、誤りは合わせて2文字です。CERは2÷15で約13%になります。
日本語でWERを使うには、まず文章を単語に区切る必要があり、区切り方の違いで値が変わります。そのため日本語の評価ではCERが使われることが多くなっています。どちらの指標も、挿入が多いと100%を超えることがあります。数字は「15万円」と「十五万円」、句読点の有無、「えー」などの言いよどみの扱いでも変わります。比べる前に表記のルールをそろえ、金額や否定の誤りのように意味が変わる誤りは、CERとは別に数えておくと判断を誤りにくくなります。
| 指標 | 数える単位 | 計算式 | 向いている言語 |
|---|---|---|---|
| CER(文字誤り率) | 1文字ずつ | (置換+削除+挿入)÷参照文の文字数 | 日本語など、単語の区切りが文字に表れない言語 |
| WER(単語誤り率) | 1単語ずつ | (置換+削除+挿入)÷参照文の単語数 | 英語など、空白で単語を区切る言語 |
音声認識ソフトを選ぶときの比較項目
音声認識ソフトやAI文字起こしサービスは、使う場面で必要な機能が変わります。次の項目を、自社の録音で試しながら確認します。
| 比較項目 | 確認すること | 特に重要な場面 |
|---|---|---|
| 入力の方法 | リアルタイムの音声入力か、録音ファイルのアップロードか、会議に参加して録音するか | 対面会議、オンライン会議、録音済みの素材 |
| 対応言語と言語判定 | 日本語・英語など必要な言語に対応し、混在した音声を処理できるか | 海外拠点との会議、英語の講義 |
| 話者の区別 | 話者ごとに分けられるか、名前を付けられるか、修正しやすいか | 会議、インタビュー、面談 |
| 用語集・名前リスト | 固有名詞や専門用語を登録して表記をそろえられるか | 社内用語の多い定例会議、専門分野 |
| 確認と修正 | 文から該当する音声へ戻れるか、編集しやすいか | 議事録、逐語録、引用する記録 |
| 書き出し | Word、テキスト、字幕(SRT・VTT)などで出力できるか | 報告書、動画の字幕、他ツールへの連携 |
| データの扱い | 保存場所、暗号化、AIの学習への利用、権限管理、認証の有無 | 顧客情報・人事情報・機密情報を含む会話 |
| 料金 | 無料で使える範囲、ユーザー単位か時間単位か | 利用者が多い組織、長時間の録音 |
音声認識ソフトの種類:音声入力・API・Whisper・文字起こしサービス
音声認識ソフトは、話しながら文字を入力するものと、録音をまとめてテキストにするものに分かれます。無料のOS標準機能で足りる用途も多くあります。
| 種類 | 代表例と使い始め方 | 料金 | 向いている用途 |
|---|---|---|---|
| OS標準の音声入力 | Windows 11の「音声入力」(Windowsキー+H)。Macの「音声入力」(アップルメニュー>「システム設定」>「キーボード」>「音声入力」でオン) | 無料 | メールや文書を話して入力する |
| Officeの音声入力 | Microsoft 365のWordの「ディクテーション」 | Microsoft 365の契約 | Word文書を話して書く |
| クラウドの音声認識API | Google Cloud Speech-to-Text、Azure Speech(Foundry Tools) | 利用量に応じた料金(各社の料金ページで確認) | 自社のシステムやアプリに音声認識を組み込む |
| オープンソースの音声認識モデル | OpenAIのWhisper(Pythonとffmpegを入れて自分のPCで動かす) | 無料(PCの性能が必要) | 音声を外に出さずに処理したい、自分で調整したい |
| AI文字起こしサービス | Klang(録音・動画のアップロード、Zoom・Teams・Google Meetの会議ボット) | フリープラン¥0で文字起こし無制限 | 会議・インタビューを時刻付きの記録にし、要約する(話者の自動識別はプロプラン) |
音声認識と文字起こしの関係
音声認識は技術の名前、文字起こしは作業や成果物の名前です。音声認識の出力をそのまま使えるとは限らず、確認して記録として整える作業までを含めて文字起こしと呼ぶことが多くあります。
| 観点 | 音声認識 | 文字起こし |
|---|---|---|
| 何を指すか | 声を文字列に変える技術 | 音声の内容を文章として書き起こす作業・成果物 |
| 担い手 | ソフトウェア | 人、またはAIと人の組み合わせ |
| 出力 | 句読点や話者が不完全なこともある文字列 | 話者・時刻・表記ルールをそろえた記録 |
| 品質の確かめ方 | 誤り率などの指標 | 原音と照合し、目的に合った粒度になっているか |
Klangの文字起こしで行っていること
Klangは、アップロードした録音・動画、会議ボットやブラウザーで録音した会議を文字起こしします。英語と日本語を含む17言語に対応し、言語の設定を「自動」にすると区間ごとに言語を判定します。話者の数を指定すると、似た声の話者の区別に役立ちます。
名前リストと用語集をまとめた「文字起こしモジュール」で固有名詞の書き方をそろえられます(用語集はプロプラン)。文字起こしのあとは、AIによる要約やチャットで内容を整理でき、文をクリックして元の音声を確認できます。ほかの方法で録音した通話の音声も、ファイルとしてアップロードすれば同じように文字起こしできます。
音声認識を、確認できる記録につなげる
Klangは文字起こし、話者分離、要約までを1つの画面で扱い、気になる文は元の音声で確かめられます。フリープランは文字起こし無制限。用語集と話者の自動識別はプロプラン(月払い¥1,180、年払いは月あたり¥980、1ユーザー・税込)で使えます。
- 17言語・日英混在の会議に対応
- 文から元の音声へすぐ戻れる
- ISO 27001:2022認証。お客様のデータをAIの学習に使いません
よくある質問
音声認識はどんな仕組みで声を文字にしているのですか?
録音した音を短い区間に分けて特徴を取り出し、その特徴からどの音か、どの言葉の並びが自然かを推定して文字列にします。最近は、この流れを1つの大きなAIモデルでまとめて学習する方式が増えています。句読点や表記の調整、話者の区別は、その後の処理で行われることが多くあります。
音声認識と文字起こしは何が違いますか?
音声認識は声を文字列に変える技術で、文字起こしは音声の内容を文章として書き起こす作業や成果物です。音声認識の結果を原音と照合し、話者や表記を整えたものが、記録として使える文字起こしになります。
音声認識AIの精度はどのくらいですか?
録音の質、話し方、発話の重なり、専門用語、言語の指定によって大きく変わるため、一律の数字では比べられません。自社の会議の録音で試し、固有名詞・数字・話者の誤りを確認するのが確実です。
動画や音声データをテキスト化するにはどうすればよいですか?
録音や動画のファイルを、文字起こしサービスにアップロードするのが手軽です。Klangでは音声・動画ファイルを1ファイル10GBまでアップロードでき、動画から音声を抜き出す必要はありません。結果はWord・TXT・SRTなどで書き出せます。
パソコンで音声認識を使うにはどうすればよいですか?
Windows 11では、文字を入力したい場所を選んでWindowsキー+Hを押すと「音声入力」が始まります。Macでは、アップルメニュー>「システム設定」>「キーボード」で「音声入力」をオンにします。どちらも無料で、話しながら文章を入力する用途に向いています。
音声認識ソフトは無料で使えますか?
スマートフォンやPCの音声入力など、無料で使える音声認識は多くあります。会議の録音を話者ごとに文字起こしする場合、Klangのフリープランは文字起こし無制限で、録音ファイルのアップロードや会議ボットも使えます。
日本語と英語が混ざった音声も認識できますか?
対応はサービスによって異なります。Klangは言語を「自動」にすると区間ごとに言語を判定するため、日英が混ざる会議も1回で文字起こしできます。ただし翻訳機能はありません。
専門用語が正しく認識されないときはどうすればよいですか?
用語集や名前リストに登録できるサービスなら、よく出る語を登録します。あわせて、マイクを話者に近づける、略語は最初に正式名称で話すといった録音側の工夫も効果があります。