社内調査報告書の骨子
Word版は1ページ目が各章に書くことの一覧、2ページ目が記入例(架空のハラスメント事案)です。Excel版も同じ構成の2シートです。
登録不要・無料。Word版は1ページ目が空欄、2ページ目が記入例(A4縦)。
社内調査報告書
ハラスメントや不正の社内調査の結果を、経営層や関係者に報告する調査報告書の構成、認定した事実と認定できなかった事実の書き分け、根拠となる記録の示し方をまとめました。報告書の骨子(Word・Excel)を無料で配布しています。
更新日:執筆・運営:Klang AI AB
報告書は、読む人が「何を調べ、どう確かめ、何が分かり、何が分からなかったか」を順に追えるように書きます。次の6章の構成にすると、事実と評価が混ざりにくくなります。
| 章 | 書くこと |
|---|---|
| 1 調査の概要 | 調査のきっかけ(相談・通報など)、目的、対象の期間と範囲、調査期間 |
| 2 調査の方法 | 聴取した人(記録番号)、確認した資料、調査の体制 |
| 3 認定した事実 | 事実ごとに、根拠となる記録の番号 |
| 4 認定できなかった事実 | 主張が食い違い、裏付けが得られなかったこと |
| 5 評価 | 認定した事実を、就業規則・社内規程に照らした評価 |
| 6 原因と再発防止 | 背景にあった要因と、提案する措置 |
Word版は1ページ目が各章に書くことの一覧、2ページ目が記入例(架空のハラスメント事案)です。Excel版も同じ構成の2シートです。
登録不要・無料。Word版は1ページ目が空欄、2ページ目が記入例(A4縦)。
記入例(架空の会社・架空の事案です)。
| 章 | 書くこと | 記入例 |
|---|---|---|
| 1 調査の概要 | 端緒、調査の目的と範囲、期間 | 10月2日の相談を受け、9月以降の言動を対象に10月5日〜23日に調査 |
| 2 調査の方法 | 聴取した人、確認した資料 | 関係者5名の聴取(記録1〜5)、チャット履歴、会議の出席記録 |
| 3 認定した事実 | 事実と根拠の記録番号 | 9月18日の会議で「こんな資料しか作れないのか」と発言(記録1・3・4) |
| 4 認定できなかった事実 | 主張が食い違い、裏付けがないこと | 9月26日に立たせたまま叱責したか(記録1と2で食い違い、目撃者なし) |
| 5 評価 | 社内規程に照らした評価 | 就業規則第○条の禁止行為に当たるかの評価(顧問弁護士の意見を添付) |
| 6 原因と再発防止 | 背景、提案する措置 | 指摘の方法に関する研修、チャットの夜間送信ルール |
報告書でもっとも重要なのは、事実の認定とその根拠です。聴取記録や資料の番号を示し、読む人が根拠をたどれるようにします。
認定できなかった事実を書かずに省くと、報告を読んだ人が「調べていない」のか「調べたが確かめられなかった」のかを区別できません。調べた範囲を明らかにするためにも、認定できなかったことは理由とあわせて書きます。
| 区分 | 書き方の例 | ポイント |
|---|---|---|
| 認定した事実 | 9月18日の会議で、Bは「こんな資料しか作れないのか」と発言した(記録1・3・4、本人も認める) | 根拠を複数示す |
| 認定できなかった事実 | 9月26日にBがAを立たせたまま叱責したかは、AとBの説明が食い違い、目撃者もいないため認定できなかった(記録1・2) | 「なかった」ではなく「認定できなかった」 |
| 本人の説明 | Bは「数字の誤りを指摘する意図だった」と説明した(記録2) | 説明は事実と分けて紹介する |
| 書かないこと | 「Bは反省の色がない」「Aは繊細な性格である」 | 人柄の評価や印象は書かない |
聴取記録、チャットやメール、勤怠、会議の記録などに通し番号を付け、報告書の最後に一覧を添付します。本文では番号だけを示し、記録の中身は必要な範囲だけを引用します。
聴取の録音を文字起こしした場合は、文字起こしを記録の本体にせず、確認して清書した聴取記録を番号の付いた記録にします。録音そのものを証拠として扱う必要がある場合の書き起こし(反訳)は、別の書式で作ります。
| 番号 | 記録 | 取得日 | 閲覧できる人 |
|---|---|---|---|
| 記録1 | Aの聴取記録(10月5日) | 10月5日 | 調査担当・役員会 |
| 記録2 | Bの聴取記録(10月7日) | 10月7日 | 調査担当・役員会 |
| 記録3 | E課長の聴取記録 | 10月9日 | 調査担当・役員会 |
| 記録6 | 9月のチャット履歴(抜粋) | 10月6日 | 調査担当 |
同じ調査でも、読み手によって必要な情報は違います。経営層への報告書、相談者や行為者への結果の通知、社内への再発防止の周知は、内容を分けて作ります。
| 読み手 | 主な内容 | 外す情報 |
|---|---|---|
| 経営層・役員会 | 報告書の全文と記録の一覧 | ― |
| 相談者・行為者 | 調査の結果の要旨と、会社がとる措置 | 他の関係者の聴取内容、目撃者の氏名 |
| 社内への周知 | 再発防止の方針と取り組み | 事案が特定される情報 |
企業の不祥事で、会社から独立した委員が調査する第三者委員会について、日本弁護士連合会は2010年に「企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン」を公表しています(同年12月改訂)。社内の担当者が行う調査とは、独立性や公表の扱いが異なります。
同ガイドラインは、調査の対象が不祥事を構成する事実関係にとどまらず、経緯、動機、背景、類似案件の存否、内部統制やコンプライアンス、ガバナンス上の問題点、企業風土などにも及ぶとしています。社内調査でも、原因と再発防止を書くときの観点として参考になります。
定例の内部監査で行うヒアリングを監査調書にまとめる方法は、内部監査のヒアリング記録をご覧ください。
| 観点 | 社内調査 | 第三者委員会 |
|---|---|---|
| 調査する人 | 人事・法務・監査部門などの社員(外部の専門家の助言を受けることもある) | 会社から独立した委員(弁護士など) |
| 主な対象 | ハラスメント、規程違反など社内の事案 | 社会的な影響の大きい不祥事 |
| 報告書の読み手 | 経営層、関係者 | 経営層に加え、不祥事に関係するステークホルダー(ガイドラインは原則として遅滞なく開示するとしている) |
| 書き方の参考 | 社内規程、このページの構成 | 日弁連のガイドライン |
関係者の了承を得て録音した聴取をKlangに取り込むと、文字起こしが時刻つきで残ります。清書した聴取記録をもとに、AIチャットで「9月26日の出来事について、各人の説明を並べて」と頼むと、食い違いの整理に使えます。結論は、調査担当者が記録を確かめて書いてください。
調査の概要(きっかけ・目的・範囲・期間)、調査の方法、認定した事実と根拠、認定できなかった事実、社内規程に照らした評価、原因と再発防止策を書き、根拠となる記録の一覧を添付します。
「なかった」と書くのではなく、「双方の説明が食い違い、裏付けが得られなかったため認定できなかった」と、理由と根拠の記録番号を示して書きます。
全文を渡すとは限りません。他の関係者の聴取内容などを含むため、相談者や行為者には結果の要旨と会社がとる措置を通知する形にすることが多くあります。開示の範囲は社内規程と専門家の助言をもとに決めてください。