ヒアリングの録音や文字起こしは、そのまま監査証拠になりますか?
録音と文字起こしは「誰が、いつ、何と答えたか」の記録になります。一方で、回答の内容が正しいことまでは裏付けません。グローバル内部監査基準の基準14.1は、情報の裏付けが取れている場合に信頼性が強化されるとしています。口頭の回答は、規程、発注データ、承認記録などの証跡と照合してから結論に使ってください。
内部監査・監査役のヒアリング
被監査部門へのヒアリングを録音すると、AIが文字起こしし、質問と回答の要旨、入手すべき証跡、未検証の発見事項に分けた調書の下書きを作ります。要旨には発言の時刻が付き、元の音声ですぐ聞き直せます。フリープランは¥0で、文字起こしの時間に制限はありません。
購買部ヒアリング(Teams)
相見積もりの運用 ・ 40分 ・ 文字起こし完了
※ 画面はイメージです。内容は架空のヒアリングの例です。話者の自動識別はプロプランの機能です。
録音の告知から、証跡と照合して調書に貼るまでの流れです。監査人の判断が要る場面は、最後の2ステップに残ります。
ステップ1
Teams・Zoom・Google Meetのヒアリングは、Klangの会議ボットが参加して録音します。往査先での対面ならスマホアプリで、ICレコーダーで録った場合はファイルをアップロードします。
ステップ2
「質問と回答(要旨)」「入手すべき証跡」「発見事項(口頭・未検証)」など、自部門の監査調書と同じ項目名を要約のテンプレートに書いておくと、その順で下書きが作られます。
ステップ3
下書きの要旨には発言の時刻が付きます。文字起こしの文をクリックするとその箇所から再生されるので、金額や件数、取引先名を聞き違えていないかを確かめます。
ステップ4
WordやExcelに書き出し、調書番号を振って自部門の様式に貼ります。口頭の回答は、受け取った証跡と照合するまで「未検証」の扱いのまま残します。
内部監査人2名が、購買課長に相見積もりの運用を聞いた架空のヒアリングです。左が文字起こしの抜粋、右がKlangの作る監査調書の下書きです。下の「確認」は、下書きを調書にする前に監査人が確かめる点を示しています。
文字起こし(抜粋)
Klangが作る下書き
記録にする前に確認すること
この例の下書きに「確認済み」の文字がないのは、ヒアリングで得られるのが被監査者の説明だけだからです。「全件3社見積もり」が本当かは、発注一覧からサンプルを抜いて見積書を見るまで分かりません。下書きはその作業の出発点で、どの回答にどの証跡を当てるかを一覧にするところまでを受け持ちます。「内部監査人A」「購買課長」のように発言者を分けるのは、プロプランの話者の自動識別です。
ヒアリング記録は、それだけで完結する文書ではありません。監査調書の一部として証跡と結び付けられ、裏付けの取れた発見事項だけが内部監査報告書に進みます。3つの文書の役割を分けておくと、下書きのどこまでを使ってよいかがはっきりします。
ヒアリング記録
誰に、いつ、何を聞き、どう答えたかの記録です。回答の正しさはまだ確かめていません。
ヒアリングから入るもの質問と回答の要旨、発言の時刻、依頼した資料と受領予定日。Klangの下書きがそのまま土台になります。
監査調書
実施した手続と、入手した証跡と、そこから出した結論を、他の監査人が追える形でまとめたものです。
ヒアリングから入るものヒアリング記録の参照番号と、どの回答をどの証跡で確かめたか。口頭の回答だけで結論は書きません。
内部監査報告書
経営者や取締役会、被監査部門に、発見事項と改善提案を伝える文書です。
ヒアリングから入るもの証跡で裏付けた事実と、改善提案。個人の発言は、必要な範囲を除いて引用しません。
上の例でいえば、「全件3社見積もり」という回答はヒアリング記録に残り、サンプルの見積書を確かめた結果が監査調書に入ります。内部監査報告書に書くのは、たとえば「特命発注の一部で、承認日が発注日より後だった」のように証跡で確かめた事実と、改善提案です。課長の発言そのものを報告書に引用する必要はほとんどありません。
内部監査人のヒアリング記録は、IIAのグローバル内部監査基準が求める「個々の内部監査業務の文書化」の一部です。基準は2026年10月17日に、IIAが公開している日本語版の原文で確認しました。
グローバル内部監査基準(2024年版) 基準14.6 個々の内部監査業務の文書化
「内部監査人は、個々の内部監査業務の結果を裏付ける情報及び証拠を文書化しなければならない。」
文書化の水準は、「十分に情報を得た慎重な内部監査人、又は同様の情報を得た有能な者が、その仕事を繰り返すことができ、同じ個々の内部監査業務の結果を導き出すことができるように」とされています。一般的な監査調書の例には「実施したインタビュー又はサーベイのサマリー」が挙がっています。
同 基準14.1 分析及び評価のための情報収集
情報の信頼性が強化される場合の一つとして、「情報の裏付けが取れている」ことを挙げています。
情報収集の手続の例には「活動に関わる個人へのインタビュー又はサーベイを行うこと」があります。ヒアリングは情報を集める手続の一つで、回答はほかの情報源で裏付けて使う、という位置づけです。上の例で口頭の回答を「未検証」としているのはこのためです。
出典:IIA「グローバル内部監査基準」日本語版(PDF)。上場会社などに「内部統制報告書」の提出を求める規定は金融商品取引法第24条の4の4にあり、J-SOXの評価で行うウォークスルーや担当者への質問も、記録を残す対象になります。
監査役や監査等委員会のスタッフが行う往査やヒアリングは、会社法の調査権にもとづく手続です。記録は、事業年度の終わりに作る監査報告で「どのような方法で監査したか」を説明する材料になります。条文は2026年10月17日にe-Gov法令検索で確認しました。
会社法 第381条第2項(監査役の権限)
「監査役は、いつでも、取締役及び会計参与並びに支配人その他の使用人に対して事業の報告を求め、又は監査役設置会社の業務及び財産の状況の調査をすることができる。」
会社法施行規則 第129条第1項第1号(監査役の監査報告の内容)
監査報告の内容として「監査役の監査(計算関係書類に係るものを除く。以下この款において同じ。)の方法及びその内容」を定めています。
内部監査のヒアリングとの違いは、聞く相手と記録の行き先です。監査役は取締役にも直接話を聞き、記録は監査役会や監査等委員会での報告と、監査報告の作成に使われます。日本監査役協会が公開している監査調書のフォーマット例(PDF)には「監査項目」「被監査部門」「対応者」「監査方法」「監査結果」「監査意見及びその過程」といった欄があります。これらの欄名を要約のテンプレートに書いておけば、ヒアリングの録音から同じ並びの下書きが作られます。「監査意見及びその過程」の欄は、監査役自身が書く欄として空けておきます。
Klangは監査管理システムではありません。RCMの管理、調書番号の採番、統制の検証、指摘事項のフォローアップはできません。受け持つのは、録音に含まれている内容を調書の項目に振り分けるところまでです。
調書の項目
実施日・方法・被監査者
調書の項目
質問と回答(要旨)
調書の項目
入手すべき証跡
調書の項目
発見事項
調書の項目
リスク評価・改善提案
調書の項目
レビューの記録
| 調書の項目 | 録音から取れるもの | Klangの下書き | 監査人が行うこと |
|---|---|---|---|
| 実施日・方法・被監査者 | 冒頭の自己紹介と、録音の告知 | 日時と会議の形式を下書きに入れる | 実施者と被監査者の役職を正式な表記に直す |
| 質問と回答(要旨) | 監査人の質問と、それへの回答 | 質問ごとに要旨をまとめ、発言の時刻を付ける | 要旨が回答の趣旨とずれていないか、音声で聞き直す |
| 入手すべき証跡 | 「一覧をいただけますか」などの依頼と、提出の約束 | 依頼した資料と、受領予定日を一覧にする | 受領した資料を調書番号と相互参照する |
| 発見事項 | 規程と運用が食い違う説明 | 「口頭・未検証」と明記した候補として挙げる | 証跡で裏付けが取れたものだけを発見事項にする |
| リスク評価・改善提案 | 録音には直接は含まれない | 回答から考えられる暫定の案を示す | 評価と提案は監査人が判断し、レビューを受ける |
| レビューの記録 | 録音には含まれない | 作らない | 監督者のレビューと承認を、自部門の手順で残す |
リスク評価と改善提案は、録音の中身だけでは決まりません。下書きに出る案は回答から考えられる方向を示すだけで、評価と提案は監査人が判断し、監督者のレビューを受けます。グローバル内部監査基準の基準14.6も、文書のレビューと内部監査部門長による承認を求めています。
ヒアリングの録音は、被監査部門との信頼関係に関わります。始め方、取り込み方、共有の範囲を先に決めておくと、部署ごとに扱いがぶれません。
冒頭で録音を告げる
「記録の正確さのために録音します。文字起こしは監査室の担当者だけが読みます」と目的と範囲を伝え、了承を得てから始めます。調書の「実施日・方法」に、告知したことも書いておきます。
オンラインと往査で取り込み方を分ける
Teams・Zoom・Google Meetでは会議ボットが参加して録音します。工場や支店への往査は、スマホアプリで録るか、ICレコーダーのファイルを後からアップロードします。
監査室のフォルダだけに置く
フォルダごとに管理者・編集者・閲覧者の権限を設定できます。ヒアリングの録音は監査室のフォルダに置き、被監査部門や経営陣と共有するのは、調書や報告書にまとめた後の文書にします。
発言者を守る書き方にする
調書を経営陣に回すときは、「課長がこう言った」という発言より、確かめた事実と証跡を前に出します。特定の担当者の発言が問題視されないよう、引用は必要な範囲にとどめます。
音声と文字起こしはAIモデルの学習に使わず、通信時と保管時に暗号化します。社外のクラウドにヒアリングの録音を置けない監査部門には、オンプレミスでの導入があります。管理の詳細はセキュリティページを、Teamsの録音の仕組みはTeamsの文字起こしガイドをご覧ください。不正やハラスメントの疑いがある調査のヒアリングは記録の扱いが違うため、事情聴取の進め方と内部通報の調査記録のガイドを参照してください。
ヒアリングの文字起こしと要約は、フリープランで時間の制限なく使えます。監査人2名と被監査者の発言を自動で分けたいときは、プロプラン(月払い¥1,180、年払いなら月あたり¥980・税込)を選んでください。
無料でヒアリングを記録にする| 機能 | フリー | プロ |
|---|---|---|
| ヒアリングの文字起こし | 無制限 | 無制限 |
| 1ファイルの上限 | 10GB | 10GB |
| Teams・Zoom・Meetの会議ボット | ◯ | ◯ |
| 要約のテンプレート・AIチャット | ◯ | ◯ |
| 話者の自動識別 | — | ◯ |
| 用語集(社名・品目名の登録) | — | ◯ |
| Word・Excelでの書き出し | ◯ | ◯ |
音声・動画・文字起こしは、AIモデルの学習に利用しません。ISO 27001認証のデータセンターで保管し、管理の詳細はセキュリティページで公開しています。
録音と文字起こしは「誰が、いつ、何と答えたか」の記録になります。一方で、回答の内容が正しいことまでは裏付けません。グローバル内部監査基準の基準14.1は、情報の裏付けが取れている場合に信頼性が強化されるとしています。口頭の回答は、規程、発注データ、承認記録などの証跡と照合してから結論に使ってください。
ヒアリングの冒頭で、録音すること、記録の目的、文字起こしを読める人の範囲を伝えてから始めることをおすすめします。録音の扱いは内部監査規程や社内のルールで決めておくと、部署ごとに対応が分かれません。Klangの会議ボットは参加者一覧に表示されるので、Teamsなどでは録音していることが相手にも見えます。
できません。Klangは監査管理システムではなく、RCM(リスク・コントロール・マトリクス)、調書番号の採番、指摘事項のフォローアップ管理の機能はありません。Klangが受け持つのはヒアリングの文字起こしと記録の下書きで、WordやExcelに書き出して、お使いの調書の様式や監査管理システムに貼り付けて使います。
使えます。監査役は会社法第381条第2項にもとづき、取締役や使用人に事業の報告を求め、業務の状況を調査できます。会社法施行規則第129条は、監査報告に「監査の方法及びその内容」を記載するよう定めており、どの部門に何を聞いたかの記録がその根拠になります。日本監査役協会が公開している監査調書のフォーマット例にも「監査方法」「監査結果」の欄があり、これらを要約の見出しに指定すれば、同じ並びで下書きが作られます。
文字起こしの仕組みは同じですが、記録の書き方と管理の注意点が違います。社内調査の事情聴取は事情聴取の進め方のガイドに、報告書の構成は社内調査報告書のガイドに、内部通報の調査記録は通報者を守る記録の管理のガイドにまとめています。このページは、定例の内部監査やJ-SOXの評価で行うヒアリングを対象にしています。
音声と文字起こしは、AIモデルの学習に使いません。通信時と保管時に暗号化し、ISO/IEC 27001:2022の認証を取得しています。フォルダごとに管理者・編集者・閲覧者の権限を設定できるので、監査室のフォルダを室員だけに限定できます。社外のクラウドに置けない場合は、オンプレミスでの導入もご相談いただけます。
話者の自動識別はプロプラン(月払い¥1,180、年払いなら月あたり¥980・税込)の機能です。フリープランでも文字起こしは無制限ですが、監査人と被監査者の発言は自動では分かれません。2対1のヒアリングで誰の発言かを記録に残すなら、プロプランが向いています。
プランの最新情報は料金ページでご確認ください。