教員のAI活用
教員のAI活用。校務のどこに使えて、面談や会議の記録はどう変わるか。
学年だよりのたたき台、テスト問題の案、校内研修の議事録案。文部科学省のガイドライン(Ver.2.0)が校務の例に挙げる使い道を、学校の1日と1学期の流れに沿って整理しました。三者面談の録音から面談記録を下書きする例と、成績や家庭の事情を扱うときの線引きも載せています。
公開日:更新日:執筆・運営:Klang AI AB
学校のどの場面でAIを使えるか:お便りから三者面談まで
ガイドラインの校務の例を、教員が実際に手を動かす場面に置き直しました。右端の列は、その場面で録音から記録が生まれるかどうかです。
Klangは教材をつくるAIでも採点システムでもないため、上の表で「なし」の場面には使いません。受け持つのは、会議・研修・面談で交わされた言葉を記録にして、あとで議題や日付から引き出せるようにする部分です。
| 場面 | 生成AIに頼める部分 | 教員が持ち続ける部分 | 録音から記録が生まれるか |
|---|---|---|---|
| 学年だより・学級だより | 行事予定や連絡事項から文面のたたき台 | 子どもの様子を伝える言葉と、載せてよい情報の判断 | なし |
| 確認テスト・ワークシート | 評価の観点ごとの問題案 | 授業で扱った範囲との整合、難易度の調整 | なし |
| 学習評価・所見 | 頼まない。教師が評価すべき場面で生成AIの出力だけに頼ることは、ガイドラインが不適切な例に挙げている | 評価そのものと、子ども・保護者への説明 | なし |
| 職員会議・学年会 | 議事録案、決まったことと担当の整理 | 議題の判断と、会議で決めること | あり(Klangが受け持つ) |
| 校内研修・講演会 | 録画や録音からの要約と議事録案(ガイドラインの例) | 研修の中身と、学校に持ち帰る論点 | あり(Klangが受け持つ) |
| 保護者面談・三者面談 | 面談記録の下書き、家庭と学校それぞれの宿題の整理 | 子どもと保護者との対話、記録に残すことの判断 | あり(校内ルールが認める範囲で) |
| 授業研究 | 授業の録音から、時刻つきの発話記録の下書き | 授業の見取りと協議会での議論 | あり(Klangが受け持つ) |
教員はAIに置き換わるのか:免許法とガイドラインから見た答え
置き換わりません。教育職員免許法第3条は「教育職員は、この法律により授与する各相当の免許状を有する者でなければならない」と定めています。授業をし、子どもを見取り、評価するのは免許状を持つ教員です。
ガイドライン(Ver.2.0)は、教職員が生成AIの仕組みを理解し、出力が適切かを自分で判断できる範囲で使うことを前提に、校務での活用を勧めています。たたき台と議事録に使っていた放課後の時間を、子どもと話す時間に戻す、という考え方です。
一方で、ガイドラインが不適切な例として挙げるのは「教師が正確な知識に基づきコメント・評価すべき場面で、教師の代わりに生成AIの出力のみに頼る」使い方です。所見や評価は、AIで速くする対象から外して考えます。
例:2学期の三者面談15分を、録音から面談記録の下書きにする
中学3年生の進路をめぐる三者面談です(架空)。保護者と生徒の了承を取ってから録音し、Klangにアップロードしました。
この学校では、下書きの指示に「家庭の事情や健康の話は含めない」と書いています。それでもAIが拾うことはあるため、担任は確認3の観点で読み直してから保存します。
見出しは「進路の希望」「学校からの案内」「担任のタスク」「生徒・家庭のタスク」の4つで、学校の面談記録の様式にそろえています。確定した記録を置くのは、校務支援システムなど学校が決めた場所です。
文字起こし(抜粋)
- 01:05担任9月の進路希望調査では、県立高校の普通科が第一希望でしたね。
- 01:20生徒はい。でも最近、工業高校の情報科も気になっています。
- 03:40保護者通学が心配なんです。工業高校だと、バスで1時間近くかかるので。
- 05:10担任11月に学校見学会があります。申込書は明日渡すので、来週の金曜までに出してください。確認1
- 08:30担任数学は、1学期の期末テストより点数が上がっています。確認2
- 10:15保護者実は家のほうで少し事情があって、夜はあまり勉強を見てやれていないんです。確認3
- 12:40担任火曜と木曜の放課後に数学の質問教室があるので、使ってみてください。
- 13:20生徒見学会に行ってから、もう一度家で話して決めます。
Klangが作る下書き
- 進路の希望
- 第一希望は県立高校の普通科。工業高校の情報科も検討している
- 保護者は、工業高校までの通学時間(バスで1時間近く)を心配している
- 学校からの案内
- 11月の学校見学会
- 数学の質問教室(火曜・木曜の放課後)
- 担任のタスク
- 見学会の申込書を、10月7日(水)に生徒へ渡す
- 生徒・家庭のタスク
- 見学会の申込書を、10月16日(金)までに提出する
- 見学会のあと、家庭で進路をもう一度話し合う
記録にする前に確認すること
- 確認105:10 「明日」は10月7日(水)、「来週の金曜」は10月16日(金)です。面談の日付から数え直して、提出の期限を日付で残します。
- 確認208:30 文部科学省のガイドラインは、成績情報を「重要性の高い情報」に挙げています。成績に触れる面談を外部のサービスで扱えるかは、教育委員会の教育情報セキュリティポリシー次第です。認められていなければ、成績の話に入る前に録音を止めます。
- 確認310:15 家庭の事情は下書きに入れていません。面談記録に残すか、学年主任や管理職と共有するかは、担任が校内のルールに沿って決めます。
面談や会議を録音する前に:ガイドラインのチェック項目への当てはめ
ガイドライン(令和6年12月26日公表)は、教職員が校務で生成AIを使うときのチェック項目を示しています。録音と文字起こしのツールに当てはめると、確かめることは次のとおりです。
ガイドラインは、校内研修での使い方として「研修や講演会の録画を読み込ませ、要約・議事録案を作成する」ことを例に挙げています。最初に試すなら、子どもの個人情報が出ない研修が向いています。
公立学校の教員には、地方公務員法第34条の守秘義務があります。「職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また、同様とする」という規定で、面談の録音もこの秘密を含む資料として扱います。
| ガイドラインのチェック項目 | 録音・文字起こしツールでの確かめ方 |
|---|---|
| 教育委員会の方針(情報セキュリティに関するルール・指示等も含む)に基づき利用しているか | そのサービスを校務で使ってよいか、管理職を通じて教育委員会の方針を確かめる |
| 業務端末又は教育情報セキュリティ管理者の許可を得た端末を利用しているか | 私物のスマートフォンで面談を録らない。学校の端末か、許可を受けた端末を使う |
| プロンプトに個人情報を入力していないか | 面談の音声は個人情報のかたまりと考える。提供者が入力を学習などに使わないかを規約で確かめる(Klangは使いません) |
| プロンプトに重要性の高い情報である成績情報等を入力していないか | 成績の話が出る会議や面談を録音してよいか、セキュリティポリシーで確かめる |
| 出力された内容を採用するかどうかを自身で判断しているか | 下書きは録音を聞き直してから記録にする。そのまま配らない |
面談の録音は指導要録ではない:学校の表簿と録音データの線引き
学校教育法施行規則第24条は、校長に児童生徒の指導要録の作成を求めています。第28条は、学校に備える表簿として指導要録や出席簿、学校日誌などを挙げ、原則5年間(指導要録の学籍に関する記録は20年間)の保存を定めています。
面談や会議の録音とその文字起こしは、この表簿には入りません。指導要録の代わりにはならず、所見を書く材料として使うものです。
そのため、録音をいつまで残すかは学校が自分で決める必要があります。「面談記録を校務支援システムに保存したら、録音は消す」のように、保存期間を校内ルールに書いておくと迷いません。
職員会議は、学校教育法施行規則第48条で「校長の職務の円滑な執行に資するため」に置くことができる会議で、校長が主宰します。議事録の書き方は、職員会議のガイドで詳しく説明しています。
1学期の行事で試す順番:研修から始めて、面談は最後に
子どもの個人情報が少ない場面から順に広げると、校内の合意を取りやすくなります。
- 01
4月:使ってよい範囲を決める
管理職と教育情報セキュリティの担当者に、使えるサービス、端末、録ってよい会議を確認します。
- 02
5月:校内研修の録画で試す
講演や研修の録画から議事録案を作り、文字起こしの精度と要約の粒度を見ます。ガイドラインが例に挙げている使い方です。
- 03
6月:学年会の議事録を任せる
「決まったこと・担当・期限」の見出しで下書きを作らせ、学年主任が直す時間を測ります。
- 04
7月:了承を得た保護者面談で試す
方針で認められていれば、録音の目的と消すまでの期間を保護者に伝え、了承を得た面談だけを録ります。
職員会議・授業研究・講義の記録は、それぞれのガイドで
同じ学校の記録でも、場面ごとに書く項目と気をつける点が違います。
職員会議・学年会の議事録
学校教育法施行規則での職員会議の位置づけ、議題の分け方、議事録に書く項目と記入例。
授業研究の授業記録
授業の録音から、T・Cの記号つきの発話記録を作る手順と、子どもの発言を扱うときの注意。
講義・授業の文字起こし
大学や学校の授業を録音して文字にするときの方法と、著作権の注意点。
研修・会議・面談の録音を、議題で引ける記録に
学校の端末で録った音声をアップロードすると、文字起こしと要約ができあがります。オンラインの研修や会議には、Zoom・Teams・Google Meetへ会議ボットを入れて録れます。過去の会議は議題や日付で探せて、Wordに書き出せば学校の様式に貼れます。
- フォルダごとに閲覧できる先生を決められます。学年や分掌ごとに分けて使えます
- 音声と文字起こしは通信中も保存中も暗号化され、AIの学習には使われません
- 学校や教育委員会の環境に置くオンプレミスの導入にも対応しています
よくある質問
教員の仕事のうち、生成AIに任せてよいのはどこまでですか。
文部科学省のガイドライン(Ver.2.0)が校務の例に挙げるのは、お便りや通知文、教材、テスト問題のたたき台と、研修の要約・議事録案などです。出力を採用するかは教員が判断し、評価や所見を生成AIの出力だけに頼ることは避けます。
AIの普及で教員は不要になりますか。
不要にはなりません。教育職員免許法第3条は教育職員に免許状を求めています。ガイドラインも、学びの専門職としての教師の役割は、生成AIが社会インフラの一部となる時代により重要になるとしています。
三者面談や保護者面談を録音して、AIで記録にしてもよいですか。
教育委員会と学校の方針で認められていれば可能です。学校の端末か許可を得た端末を使い、録音の目的と保管の期間を伝えて保護者の了承を得ます。成績や家庭の事情が出る場面の扱いは、校内のルールに従ってください。
面談の録音や文字起こしは、指導要録の代わりになりますか。
なりません。指導要録は学校教育法施行規則第24条で校長が作成するもので、第28条で保存期間も定められています。録音と文字起こしは所見を書くための材料で、保存期間は学校が別に決めます。
Klangで所見の文章やテストの採点はできますか。
できません。Klangは会議・研修・面談の録音を文字にし、要約とタスクの一覧を作るツールです。所見の作成や採点、教材づくりには使いません。
学校の先生が個人で試すのに費用はかかりますか。
フリープランは¥0で、録音の文字起こしは時間の上限なく使え、1ファイル10GBまで入ります。声で発言者を分ける機能だけはプロプランで、月払いは1ユーザー¥1,180(税込)、年払いは月あたり¥980です。校務で使う前に、学校の方針を確かめてください。