不動産のAI活用
不動産のAI活用。売却相談・内見・オーナー定例の会話を、AIで記録に残す。
不動産会社の生成AIは、広告文や査定の目安づくりから広がりました。このページは、その次に効く「お客様と話した内容の記録」を扱います。宅建業法が求める説明と報告のどこで会話が記録になるか、重要事項説明を録音するときの国土交通省の留意点まで、条文を確かめながら整理しました。
公開日:更新日:執筆・運営:Klang AI AB
不動産会社で、お客様との会話が記録になる5つの場面
不動産の仕事は、法律が書面や報告を求める場面が多い仕事です。録音した会話は、その書面や報告を作るときの元の材料になります。
| 場面 | 関係する決まり | 記録に残すと役立つこと |
|---|---|---|
| 売却査定の面談 | 宅建業法第34条の2第2項:価額に意見を述べるときは根拠を明らかにする | 査定価格の根拠として何を説明したか。売主の希望価格と売却の時期 |
| 専任媒介の販売活動報告 | 同条第9項:業務の処理状況を2週間に1回以上(専属専任は1週間に1回以上)報告する | 内見したお客様の反応、価格への意見、問い合わせの件数 |
| 内見の立ち会い | — | 買主の希望条件、気にしていた点、次に確かめると約束したこと |
| 重要事項説明(対面・IT重説) | 宅建業法第35条:宅地建物取引士が書面を交付して説明する | 説明した順序、相手方の質問とその回答 |
| 賃貸オーナーとの定例 | 賃貸住宅管理業法第20条:管理業務の実施状況を委託者に定期的に報告する | 空室の状況、賃料の見直しの相談、修繕の見積りの宿題 |
不動産業務で生成AIが向く仕事、人が担う仕事
「不動産 生成AI」で語られる使い方は、ほとんどが物件情報の加工です。仕事ごとに、生成AIに任せられる範囲を分けました。
査定の目安:任せられる
成約事例や相場のデータから価格帯を出す作業は、AI査定ツールの得意分野です。現地を見て価格を決め、根拠を売主に説明するのは担当者です。
物件紹介文:下書きまで
間取りや設備の情報から紹介文の下書きは作れます。第47条は、取引の判断に重要な事実を故意に告げない行為を禁じています。不具合を書き漏らしていないかは担当者が確かめます。
問い合わせ:一次回答まで
空室の有無や内見の候補日のような定型の質問には、チャットボットで答えられます。条件の交渉や資金の相談に入ったら、担当者に引き継ぎます。
重要事項説明:人が担う
第35条第4項は、説明のときに宅地建物取引士証を示すことを、第5項は書面への記名を求めています。AIが使えるのは、説明書の記載漏れを見直す補助までです。
会話の記録:任せられる
売却相談や内見で話した内容を文字にし、要点とタスクに分ける作業は、AIに任せて担当者が確かめる形にできます。Klangが受け持つのはこの部分です。
不動産営業はAIに奪われるのか:宅建業法が人に残している仕事
物件を探す、相場を調べる、紹介文を書く作業は短くなりました。それでも取引の中心にある説明と調整は、法律が人に求めている仕事です。
宅地建物取引業法第35条第1項は、契約が成立するまでの間に「宅地建物取引士をして」重要事項を記載した書面を交付して説明させるよう、宅地建物取引業者に求めています。説明の相手方の質問に答え、理解されたかを確かめる責任は、宅地建物取引士にあります。
売主がなぜ売るのか、共有者の意向はどうか、不具合をどこまで告知書に書くか。こうした話は面談の中でしか出てきません。AIで下調べと記録の時間を減らせば、その分をお客様の事情を聞く時間に回せます。
第45条は、業務上知り得た秘密を正当な理由なく漏らすことを宅地建物取引業者に禁じ、第75条の3は使用人その他の従業者にも同じ義務を課しています。会話を録音するツールを選ぶときは、この義務を守れる保管の仕組みかどうかが基準になります。
例:相続したマンションの売却相談42分を、面談記録の下書きにする
母親から相続したマンションを売りたい売主と、仲介会社の担当者が店舗で話した売却相談です(架空)。Klangにアップロードした録音から、次の下書きができました。
この下書きでは、査定の根拠として説明した内容と、売主から申告を受けた不具合を、ほかの要点と分けています。あとで説明の内容が問われたとき、どの事例を示したか、いつ申告を受けたかを、タイムスタンプから音声で確かめられます。
媒介契約を結んだあとは、同じフォルダに内見の録音を足していきます。AIチャットに「今週の内見で出た価格への意見をまとめて」と頼むと、2週間ごとの販売活動報告の材料がそろいます。
文字起こし(抜粋)
- 03:48担当者査定書の価格は、同じ駅で今年成約した3件の事例をもとに出しています。確認1
- 06:10売主母が住んでいた部屋で、できれば来年の3月までに売りたいんです。
- 09:32売主名義は兄と半分ずつなんですが、私だけで話を進めても大丈夫ですか。確認2
- 17:05売主浴室の換気扇が、去年から動いていないんです。確認3
- 24:41売主売り出しは3,280万円で始めてみたいと思っています。
- 31:20担当者管理規約と、直近の総会の議事録をお持ちいただけますか。
- 31:34売主来週の土曜日までに用意します。確認4
Klangが作る下書き
- 相談の内容
- 母親から相続したマンションの売却。来年3月までに売りたい
- 名義は売主と兄の共有で、持分は各2分の1(売主の申告)
- 売り出し価格は3,280万円で始めたい
- 査定価格について説明したこと
- 同じ駅で今年成約した3件の事例をもとに算出したと説明
- 売主から申告があった不具合
- 浴室の換気扇が昨年から動かない
- 当社が進めること
- 登記事項証明書を取り、名義と持分を確かめる
- 共有者である兄の意向をどう確かめるか、売主と相談する
- 一般・専任・専属専任の3種類の媒介契約の違いを、書面で説明する
- 売主にお願いしたこと
- 管理規約と直近の総会の議事録を、来週の土曜日までに用意する
- 物件状況報告書(告知書)に、換気扇の故障を書く
記録にする前に確認すること
- 確認103:48 宅建業法第34条の2第2項は、価額に意見を述べるときに根拠を明らかにするよう求めています。説明に使った3件の所在と成約価格を、記録に書き足します。
- 確認209:32 名義と持分は、まだ売主の申告にすぎません。登記事項証明書で確かめるまで、記録には「申告」と書いておきます。
- 確認317:05 不具合は売主が告知書に自分で書く事項です。面談記録は、申告を受けた日時と内容を残すところまでにします。
- 確認431:34 3,280万円は音声を再生して聞き直します。「来週の土曜日」は相談日から数えて「10月10日(土)」と書き換えます。
重要事項説明を録音・録画するときに守ること
国土交通省の実施マニュアルは、IT重説の録画・録音を、トラブルが起きたときの解決手段として有効だとしています。そのうえで、次のような対応を適切としています。
マニュアルは、テレビ会議システムの事業者が独自のプライバシーポリシーを定めている場合、その内容についても相手方の同意が必要だとしています。Web会議でIT重説を録音するなら、録音に使うツールの取扱方針も、事前に相手方へ示せるようにしておきます。
相手方が宅地建物取引士の承諾なしに録音したいと申し出ることもあります。マニュアルは、宅地建物取引士や売主・貸主の個人情報が含まれるため、同意なく録音するのは適切でないと説明するのが適当だとしています。
- 利用目的をできるだけ明らかにし、宅建業者と説明の相手方の双方が了解してから録画・録音する
- 関係者の機微な情報が出る場面では、録画・録音を中断すると相手方に伝え、必要に応じて再開する
- 相手方から求められたら、記録の複製を渡す
- 予定していなかった同席者がいるときは、その人からも利用目的への同意を得る
- 記録は個人情報保護法に沿って管理し、保存期間はほかの顧客情報と同じ扱いを原則にする
- 断片的な記録や編集された記録は、実際の説明と違う内容が残るおそれがあるため、通して残す
賃貸管理のオーナー定例を、定期報告の材料にする
賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律第20条は、管理業務の実施状況などを、定期的に委託者へ報告するよう賃貸住宅管理業者に求めています。オーナーとの定例で話した内容は、その報告の下書きにそのまま使えます。
オーナーごとにフォルダを作り、定例の録音をためていきます。担当が替わっても、「去年の賃料改定のときに何を約束したか」をフォルダ内の検索で探せます。
同法第21条は、管理業者と従業者に、業務上知り得た秘密を漏らさない義務を課しています。入居者の滞納や近隣トラブルの話が出る定例は、そのオーナーの担当者だけが開けるフォルダに置きます。
面談記録を顧客管理に残すまでの3ステップ
- 01
録音を取り込む
店舗の面談はスマートフォンで録音してアップロードします。オンラインの相談には、Zoom・Teams・Google Meetの会議に会議ボットを入れて録音します。
- 02
自社の項目で下書きを作る
「相談の内容・査定の根拠・申告された不具合・当社が進めること・お客様にお願いしたこと」のように、自社の面談シートと同じ見出しを指示します。
- 03
商談のレコードに付ける
確かめた記録は、HubSpotやPipedriveとの連携で商談に残します。Word・Excelでの書き出しにも対応しています。
売却相談も内見も、物件ごとに探せる記録に
店舗の面談はスマートフォンのアプリで録音し、そのまま文字起こしとAI要約に回せます。過去の会話は物件名や売主の名前で横断検索でき、AIチャットに「この売主が最初に希望した時期は」と聞くと、該当する発言の位置まで戻れます。
- お客様との会話はAIの学習に使わず、通信中も保存後も暗号化して扱います
- 物件やオーナーごとにフォルダを分け、開けるメンバーを決められます
- 売主と担当者の発言の聞き分けはプロプランの機能です。フリープランでも文字起こしに上限はありません
よくある質問
不動産業界ではAIをどう活用できますか。
不動産業界でAIが使われているのは、査定価格の目安づくり、物件紹介文の下書き、問い合わせへの一次回答、売却相談や内見の会話の記録です。重要事項の説明は宅地建物取引士が行う業務で、AIは説明書の見直しの補助にとどまります。
不動産営業の仕事はAIに奪われますか。
物件の下調べや紹介文の作成は短くなりますが、不動産営業の仕事はなくなりません。宅地建物取引業法第35条は重要事項の説明を宅地建物取引士に行わせるよう求めており、売主の事情を聞いて条件を調整する仕事も人に残ります。
重要事項説明を録音してもよいですか。
国土交通省の実施マニュアルは、IT重説の録画・録音を、利用目的をできるだけ明らかにして宅建業者と説明の相手方の双方が了解したうえで行うのが適切だとしています。記録は個人情報保護法に沿って管理し、相手方から求められたら複製を渡すことも挙げています。
お客様が重要事項説明を自分で録音したいと言ったら、どう答えればよいですか。
実施マニュアルは、録音・録画には宅地建物取引士や売主・貸主の個人情報が含まれる場合があるため、同意を得ないで録音するのは適切でないと説明するのが適当だとしています。録音するなら、利用目的を確かめ、双方が了解したうえで行います。
生成AIで物件の紹介文を作るときに気をつけることは何ですか。
宅地建物取引業法第47条は、取引の判断に重要な影響を及ぼす事実を故意に告げない行為を禁じています。生成AIの下書きをそのまま出さず、不具合や利用の制限が抜けていないかを担当者が確かめてから公開します。
Klangの料金はいくらですか。
Klangはフリープランなら¥0で、カードの登録なしに文字起こしを上限なく使えます。売主と担当者の発言を聞き分ける機能はプロプランで、月払いは1ユーザーあたり¥1,180(税込)、年払いなら月あたり¥980です。