会話から、使える仕事の記録へ
OJTシートの書き方と記入例|観察・面談・振り返りの記録
OJTで新人や異動者の仕事を観察し、振り返り面談で自己評価・指導者の確認・次の練習を記録するシートの書き方です。評価項目の決め方、フィードバックの言い換え、担当者交代時の引き継ぎまで記入例で説明します。
公開日:更新日:執筆・運営:Klang AI AB
OJTシートに書く項目と記入例
1つの仕事につき1行で書く例です。項目を増やしすぎると書かれなくなるため、まずは次の8項目から始めます。
| 項目 | 書く内容 | 記入例 |
|---|---|---|
| 仕事 | 練習する具体的な業務 | 依頼メールから受注票を作成 |
| 完了の基準 | 「できた」と判断する条件 | コード・数量・納期を依頼文と照合できる |
| 観察日・観察者 | いつ誰が見たか | 10月6日・指導者A |
| できた範囲 | 観察した事実 | コード・数量は自力で照合 |
| 支援した内容 | 指導者が助言した箇所 | 納期欄の見直しを促した |
| 自己評価 | 本人の振り返り | 納期の確認を忘れやすい |
| 次の練習 | 次に何を、いつ確かめるか | 別の練習票で納期の確認(10月13日) |
| 状態 | 習得・練習中・未経験 | 練習中 |
OJTの振り返り面談の進め方(15分の例)
週1回、OJTシートを見ながら行う短い面談の一例です。評価を伝える場ではなく、次の練習を決める場として進めます。
- 01
本人の振り返りを聞く(5分)
先週の仕事で「できた」「迷った」ところを本人の言葉で話してもらい、自己評価欄に書きます。
- 02
観察した事実を伝える(5分)
指導者が見た行動と、助言した箇所を伝えます。「注意が足りない」ではなく「納期欄を見直す前に送信した」のように具体的に話します。
- 03
次の練習を決める(5分)
次に練習する仕事、完了の基準、観察する日を決めて、次の練習欄に書きます。
OJTシートの評価項目の決め方:観察する仕事と完了の基準
「説明を受けた」だけで習得済みにせず、実際に行った仕事を記録します。例は受注票の入力です。
以下の人物・案件・会話・数値は、説明用の架空の例です。
| 確認するもの | 記録した内容 | 次の扱い |
|---|---|---|
| OJT-01:確認する仕事 | 依頼メールから受注票を作成 | 使用する様式v2・練習データを指定 |
| 完了の基準 | 商品コード、数量、納期を依頼文と照合できる | 速度だけでは判定しない |
| 10月6日の観察 | コード・数量は自力、納期の確認は指導者が助言 | 助言した箇所を残す |
| 次の確認 | 別の練習票で納期の確認を再実施 | 観察担当と日を決める |
厚生労働省のOJT資料は、職務・評価項目の明確化と面談による確認を示しています。この表は独自の練習記録で、公式のジョブ・カードではありません。
確認後に残す記録の例
OJT-01/受注票作成/様式v2 観察日:2026-10-06 できた範囲:商品コード・数量の照合を自力で実施。 支援:納期欄の見直しを指導者が促した。 未確認:助言なしで納期条件を確認できるか。 次回:別の練習票で確認。結果は観察後に記入。
自己評価と指導者評価の書き方:違いの理由を聞く
同じ仕事を見ているか、どこまで助言したかをそろえてから話します。
以下の人物・案件・会話・数値は、説明用の架空の例です。
- 本人: 票は最後まで作れたので、できたと記入しました。
- 指導者: 納期の条件を聞き返したのは、どの場面でしたか。
- 本人: 最後に指摘を受けて気づきました。
- 指導者: 完成したことと、確認を自力でできたことを分けましょう。次は別の票で試します。
点数を平均して折衷する前に、評価の根拠を同じ場面へ戻します。解釈が一致しない箇所は、そのまま次の観察課題にします。
確認後に残す記録の例
OJT-02確認記録:本人は完成した受注票を根拠に「できた」と回答。指導者は納期の確認に助言したことを根拠に「支援つき」と記録。次回は助言なしで同種の別票を処理し、条件の確認過程を観察する。現時点の合意は「支援つきで完了」。
未経験の業務の記入方法
同じ週の三回の予定でも、観察できた条件は異なります。
以下の人物・案件・会話・数値は、説明用の架空の例です。
| 確認するもの | 記録した内容 | 次の扱い |
|---|---|---|
| 10月6日 | 練習する案件がなく未実施 | 能力について未評価 |
| 10月7日 | 納期確認に助言を受けて完了 | 支援つきの実施 |
| 10月9日 | 別の練習票を助言なしで完了 | この条件で独力実施を確認 |
経験の機会と結果を分ければ、まだ見ていない仕事を失敗と扱わずに済みます。一回の成功を、全ての例外にも対応できるという意味にはしません。
確認後に残す記録の例
OJT-03:未実施1回、支援つき完了1回、独力での完了を観察1回。対象は通常の受注票のみ。変更注文への対応は未観察。
OJTのフィードバックの書き方(言い換え例)
「注意力が足りない」では、次に何を変えるかが分かりません。
以下の人物・案件・会話・数値は、説明用の架空の例です。
- 指導者: 昨日の票で数量が依頼文と違う箇所が1件ありました。何を見て入力しましたか。
- 本人: 前日に保存した依頼文を見ていました。
- 指導者: 版を確認するところから一緒に見直しましょう。
- 本人: 次は受信日と改訂表示を確認してから入力します。
本人の性質を決めつけず、観察した行動、仕事への影響、次に試す方法を話します。本人が説明した理由も確認前に事実と断定しません。
確認後に残す記録の例
OJT-04フィードバック:数量欄に依頼文と異なる値が1件あった。本人は旧版を参照したと説明。次回は受け取った依頼文の版を確認してから照合する。指導者がその手順を一度観察する。注意力などの人物評価はこの記録に含めない。
次回の練習計画の書き方
予定した仕事が中止された場合、計画と実績を分けて更新します。
以下の人物・案件・会話・数値は、説明用の架空の例です。
| 確認するもの | 記録した内容 | 次の扱い |
|---|---|---|
| 予定 | 10月8日に変更注文の入力を練習 | 実施前の計画 |
| 実績 | 顧客側で注文が撤回され、作業機会がなくなった | 未実施。失敗評価を付けない |
| 代替 | 10月10日に架空の変更注文で練習 | 実データとは区別する |
| 観察する点 | 元注文と変更分を区別して確認する | 練習後に記録 |
練習用データでできたことを、そのまま実務全般の習得へ拡大しません。次の実案件で確認する項目を残します。
確認後に残す記録の例
OJT-05計画変更:10月8日は機会消失により未実施。10月10日に練習データで確認する。評価欄は未評価のまま。実案件での対応は別途観察予定。
OJT担当者が替わるときの引き継ぎ方
「もう任せて大丈夫」だけでは、次の指導者が確認すべき範囲を失います。
以下の人物・案件・会話・数値は、説明用の架空の例です。
| 確認するもの | 記録した内容 | 次の扱い |
|---|---|---|
| 旧担当が観察したこと | 通常受注票v2を独力で作成した1回 | 対象票と日付を添付 |
| 助言が必要だったこと | 例外納期の確認 | どの助言をしたか明記 |
| 未観察 | 変更注文、取消注文 | 未習得と断定しない |
| 新担当の受け取り | 次回は変更注文の練習を担当すると確認 | 引き受けた範囲を記録 |
引き継ぎ票は、人事上の適性や人物全体の評価ではなく、これまで観察した仕事の範囲を渡すものです。
確認後に残す記録の例
OJT-06引き継ぎ:通常票の入力を確認済み。例外納期は助言あり。変更・取消は未観察。新指導者は10月12日の変更注文練習を引き受けた。旧担当の観察票OJT-01〜05を必要な範囲で参照する。
期間をまたいで成長を比べる方法
1週目と2週目で難しさも助言の量も違う例です。
以下の人物・案件・会話・数値は、説明用の架空の例です。
| 確認するもの | 記録した内容 | 次の扱い |
|---|---|---|
| 1週目 | 通常票3件、全件に指導者の確認 | 完成3件だけでは独力実施は不明 |
| 2週目 | 例外を含む2件、途中に1回助言 | 件数が少ないことを後退としない |
| 比較できる確認 | 同じ様式の通常票を助言なしで1件確認する | 条件をそろえた観察を追加 |
| 残す記録 | 対象の難しさ、助言、確認できた行動 | 速度や件数だけで能力を判定しない |
学習の効果を一つの数字で断定せず、条件がそろった観察と本人の振り返りを合わせて確認します。
確認後に残す記録の例
OJT-07:週ごとの件数は比較条件が異なるため習熟度の増減に換算しない。通常票での確認を追加し、例外対応は別の観察課題として残す。
振り返り面談の録音から、OJTシートを書く
OJTの振り返り面談をKlangで録音または録音ファイルをアップロードして文字起こしすると、本人が話した振り返りを言い換えずにOJTシートへ移せます。指導者は面談中にメモを取る代わりに話を聞くことに集中し、面談後に元の発言を確かめながらシートを書きます。
- 本人の自己評価を、本人の言葉のまま残せる
- 面談の要約から、次の練習と期限を拾う
- 録音の共有範囲は、本人に説明した範囲にとどめる
よくある質問
OJTシートとは何ですか?
職場で仕事をしながら学ぶOJTで、練習した仕事、完了の基準、観察した事実、指導者の支援、本人の振り返り、次の練習を記録するシートです。研修の参加報告とは異なり、実際の仕事でどこまでできたかを残します。
OJTシートは誰が書きますか?
本人と指導者の両方が書くのが一般的です。本人は自己評価と振り返りを、指導者は観察した事実、支援した内容、次の練習を書きます。同じ欄に混ぜず、誰が書いたかが分かるようにします。
OJTの振り返りはどのくらいの頻度で行いますか?
決まりはありませんが、このページの例では週1回15分の振り返りと、月1回の面談を組み合わせています。間隔が空くと、観察した事実を思い出せなくなるため、観察した日のうちにシートへ書いておきます。
OJTシートを人事評価に使ってもよいですか?
使う場合は、評価に使うことと評価の基準を事前に本人へ伝えます。OJTシートは練習の記録なので、未経験の業務や支援を受けた業務を「できない」と扱わないよう、評価面談では観察した事実と条件を合わせて確認します。