ツールボックスミーティング(TBM)
ツールボックスミーティングの進め方。5〜10分の台本とTBM記録表の記入例
ツールボックスミーティング(TBM)は、作業を始める前に職長と作業員が集まり、その日の作業と安全のポイントを確認する短い打合せです。厚生労働省の労働局資料に沿った3段階の進め方、そのまま読める台本、TBM記録表に書く項目と記入例、KYやワンポイントKYとのつなぎ方を整理しました。
更新日:執筆・運営:Klang AI AB
TBMの3段階の進め方
岐阜労働局の資料は、TBMの基本的な手順を3つの段階に分けています。5〜10分で終わらせるには、職長が段階ごとに話す内容を前日に決めておくことが大切です。
- 01
第1段階:導入する
テーマを提供し、関心を起こさせ、問題点に注意を向けさせます。「今日は3階の外部足場で手すりの盛り替えがある」のように、その日いちばん危ない作業から入ります。
- 02
第2段階:意見を引き出す
導入したテーマについて、参加者の意見や考え方を引き出します。質問も出させ、できるだけ全員に発言させます。職長が一方的に話すだけの朝礼にしないのがポイントです。
- 03
第3段階:まとめる
ミーティング全体を振り返り、対策などの結論を引き出します。結論が出なかった問題は、当面どう扱うかをきちんと決めます。
- 04
仕上げ:ワンポイントKYで再確認する
TBMで確認した対策を、ワンポイントKYで全員が再確認します。重要な問題は、リスクアセスメントで検討を深めることも必要です。
5〜10分で終わるTBMの台本(記入例)
架空の建築現場で、職長が朝のTBMを進める台本の例です。時間配分の目安を付けています。自社の作業手順書や現場のルールに合わせて言い換えてください。
- 話す内容は、前日の安全工程打合せで決まった作業間の調整と、作業手順書の危険のポイントから選びます
- 新しく入場した人、外国人の作業員、別の会社の作業員がいるときは、言葉を短く区切り、図や現物を見せながら話します
- 「質問はありますか」で終わらせず、名指しで1人以上に意見を聞くと、第2段階が形だけになりません
| 時間 | 段階 | 職長の話す内容(例) |
|---|---|---|
| 0:00〜1:00 | 体調・服装の確認 | 「おはようございます。体調の悪い人はいませんか。昨日よく眠れなかった人も教えてください。ヘルメットのあごひも、安全帯(墜落制止用器具)を確認します」 |
| 1:00〜3:00 | 導入(作業内容) | 「今日は5人で、3階の外部足場の手すり盛り替えと、2階の型枠解体です。10時に生コン車が入るので、東側の通路は9時半から通行止めにします」 |
| 3:00〜6:00 | 意見を引き出す | 「手すりを外している間、どこが一番危ないと思いますか。佐藤さん、昨日の作業で気になったことはありますか」 |
| 6:00〜8:00 | まとめる | 「手すりを外すのは1スパンずつ。外している間は必ずフックを親綱に掛ける。これで決めます。解体材の置き場は昨日と同じ西側です」 |
| 8:00〜10:00 | ワンポイントKY・唱和 | 「手すりを外すときは、フック掛けてヨシ!」全員で指差し唱和して終わります |
TBM記録表に書く項目と記入例
TBMの記録の様式は、法令で決まっていません。元請や会社ごとにTBM-KY記録表として決めていることが多く、次の項目がよく使われます。
記録表は、作業員の目に入る場所に掲示しておき、作業中の巡視で対策が守られているかを確認するときにも使います。終業時の確認・報告で、ヒヤリとしたことがあれば翌日のTBMの導入に使います。
| 項目 | 書くこと | 記入例 |
|---|---|---|
| 日時・場所 | 実施した日時と場所 | 2026年10月7日 7:55〜8:05 1階詰所前 |
| 会社名・職長 | 作業する会社と職長名 | 〇〇建設工業(株) 職長 山本 |
| 作業内容 | その日の作業と場所 | 3階外部足場 手すり盛り替え/2階 型枠解体 |
| 人員 | 人数と氏名(または参加者署名) | 5名(山本、佐藤、鈴木、高橋、田中) |
| 体調・服装の確認 | 体調不良者の有無と対応、保護具の点検 | 全員良好。鈴木:寝不足のため午前は地上作業に変更 |
| 危険のポイント | 「〜なので〜して〜になる」の形で1〜2項目 | 手すりを外した開口部から身を乗り出して、墜落する |
| 対策 | 具体的に「〜する」で書く | 手すりは1スパンずつ外す。外している間は親綱にフックを掛ける |
| チーム行動目標 | 指差し唱和した言葉 | 手すりを外すときは、フック掛けてヨシ! |
| 確認者 | 職長・元請の担当者のサイン | 職長 山本/元請 工事主任 中村 |
| 後から入場した人 | 途中参加者への伝達 | 10:30 搬入業者2名に職長から説明済み |
安全施工サイクルの中でのTBMの位置
建設業労働災害防止協会が厚生労働省の委託事業で作成した新規入職者向けのテキストは、建設現場の1日の流れを「毎日の安全施工サイクル」として示しています。
TBMは、このサイクルの「安全ミーティング」にあたります。前日の安全工程打合せで決めた内容を、作業する班の言葉に置き換えて伝える場だと考えると、話す内容を決めやすくなります。工程会議や安全工程打合せの記録の残し方は、工事打合せ簿のガイドで説明しています。
| 順番 | 活動 | 内容 |
|---|---|---|
| 1 | 安全朝礼(全員) | 安全作業に関する情報や、当日の重要なことについての講話 |
| 2 | 安全ミーティング(危険予知活動) | 職長などから当日の作業内容、安全上の注意事項、指示。体調確認・服装チェック・保護具点検 |
| 3 | 作業開始前点検 | 機械・器具・保護具などを使う前に点検 |
| 4 | 作業中の指導・監督 | 職長などによる作業中の指導 |
| 5 | 作業所長の巡視 | 現場の巡視 |
| 6 | 安全工程打合せ | 翌日の作業の段取りと作業間の調整 |
| 7 | 持ち場後片付け | 作業場所の片付け |
| 8 | 終業時の確認・報告 | その日の作業の確認と報告 |
TBMとKY活動のつなぎ方(TBM-KY)
TBMとKY(危険予知)を一続きで行うやり方を、TBM-KYと呼ぶことがあります。TBMで作業の段取りを確認し、その作業にひそむ危険を全員で出し合って、危険のポイントと行動目標を決めます。
- 時間がない朝は、KYT基礎4ラウンド法を短くしたワンポイントKYで、危険のポイント1つと行動目標1つにしぼります
- 危険のポイントは「〜なので〜して〜になる」、対策は「〜する」と具体的な言葉で言います。厚生労働省の職場のあんぜんサイトのKYTの解説も、この言い方を使っています
- TBMで決めた行動目標は、作業の要所で指差し呼称して確認します
TBMを録音すると役立つ場面
TBMは屋外で短く行うため、すべてを録音する必要はありません。次のような場面では、スマートフォンでの録音と文字起こしが記録づくりを助けます。
風が強い屋外や重機の近くでは、録音が聞き取りにくくなります。スマートフォンを職長の胸ポケットではなく手元に持ち、口元から30cm程度に近づけると改善します。録音する場合は、最初に「記録のため録音します」と伝えてください。録音はあくまで補助で、危険のポイントと対策は記録表に書いて掲示します。
遅れて入場した人への伝達
途中から入場した作業員や搬入業者に、朝のTBMで決めた危険のポイントを正確に伝えられます。要約を見せながら職長が説明します。
TBM記録表の清書
朝は記録表を手早く書き、詳しい内容は事務所に戻ってから録音の文字起こしで確かめて清書できます。
職長の振り返り・教育
若手の職長が進めたTBMを、ベテランや元請の担当者が後から聞き、導入や意見の引き出し方を一緒に振り返れます。
朝の5分を、後から確かめられる記録に
KlangのiPhone・Androidアプリで録音すると、文字起こしと要約ができ、TBMで決めた危険のポイントと対策をすぐに読み返せます。安全衛生委員会や工程会議のような長い会議の議事録づくりにも、同じアプリを使えます。
- 文字起こしはフリープランで無制限。モバイルアプリもフリープランで使えます
- AIチャットに「危険のポイントと対策を、TBM記録表の項目に沿って書き出して」と指示して、清書の下書きを作れます
- ISO/IEC 27001:2022の認証を取得し、会話データをAIの学習に使いません
よくある質問
ツールボックスミーティングとは何ですか。
職場で行う作業の打合せのことで、道具箱(ツールボックス)の近くで行われることからこう呼ばれます。朝の作業開始前に5〜10分程度、職長が中心になって作業の範囲・段取り・分担と安全のポイントを確認します。
TBMと朝礼の違いは何ですか。
朝礼は現場の全員が集まり、安全に関する情報や当日の重要事項を共有する場です。TBMはその後、職長と班の作業員が集まり、その班の作業の段取りと危険のポイントを確認する打合せです。
TBMの記録は法律で義務づけられていますか。
TBMの実施や記録の様式を直接定めた法令の規定は見当たりません。ただし、元請の現場ルールや会社の安全衛生管理規程で記録表の提出が決められていることが多いため、所属する現場のルールに従ってください。
TBMは何分くらい行えばよいですか。
労働局の資料では、朝の作業開始前に5〜10分程度行うのが普通とされています。昼食後の作業再開時や、作業内容が切り替わるときに短く行うこともあります。
TBM-KYとは何ですか。
TBMで作業の段取りを確認した後に、続けてKY(危険予知)を行い、危険のポイントと行動目標を決めるやり方です。時間が短い朝は、ワンポイントKYで危険のポイントと行動目標を1つずつにしぼります。