プロジェクトの会議体
ステアリングコミッティとは。プロジェクトの判断を、会議ごとに残す。
ステコミの意味、PMOや定例会議との違い、メンバーと役割、開催頻度、資料の構成、議事録に書く項目を順に解説します。3回分のステコミで決定と保留がどうつながるかを、録音から作った記録の例で示します。
更新日:執筆・運営:Klang AI AB
ステコミと定例会議・PMO会議・経営会議の違い
プロジェクトの会議体は、目的ごとに分けると重複が減ります。ステコミに持ち込むのは、下の会議体では決められないことだけです。
「PMO会議」という名前で、ステコミと同じ役割の会議を開いている会社もあります。名前より、その会議で予算やスコープを決められるかどうかで区別します。
| 会議体 | 目的 | 主な出席者 | 頻度の目安 | 記録で残すもの |
|---|---|---|---|---|
| ステアリングコミッティ | PMの権限を超える事項を決める | スポンサー、オーナー、関係部門長、PM、PMO | 月1回とフェーズの節目 | 決定事項、保留事項と条件、判断の理由 |
| プロジェクト定例 | 進捗と課題を確認し、PMの権限で決める | PM、各チームのリーダー、ベンダー | 週1回 | 課題管理表の更新、タスク |
| PMO会議 | 進捗・課題・リスクの情報を集め、ステコミの議題を整理する | PMO、PM | 週1回〜隔週 | ステコミに上げる事項の一覧 |
| 経営会議 | 会社全体の経営方針を決める | 社長、役員 | 週1回〜月1回 | 全社の決定事項。個別プロジェクトはステコミの報告を受ける程度 |
ステコミのメンバーと役割:スポンサー・オーナー・PM・PMO
判断できる人がその場にいることが、人数より大切です。代理出席が続くと、ステコミで決めたことが後から覆ります。
| 役割 | 誰が担うか | ステコミでの仕事 |
|---|---|---|
| プロジェクトスポンサー | 担当役員や本部長 | 予算と目的に最終責任を持ち、承認や却下を宣言する |
| プロジェクトオーナー | システムを使う業務部門の責任者 | 業務への影響を判断し、スコープの変更に意見を述べる |
| 関係部門長 | 経理、営業、情報システムなどの部長 | 自部門の人員や費用に関わる決定に同意する |
| プロジェクトマネージャー | PM | 状況を報告し、判断が必要な事項を選択肢つきで提案する |
| PMO(事務局) | PMO担当者 | 資料を取りまとめ、決定事項と保留事項を記録し、出席者に確認する |
| ベンダー責任者 | 開発を委託している会社の責任者 | 見積もりや体制の変更を説明し、決定事項を自社に持ち帰る |
開催頻度とタイミング:月1回の定例と、3つの臨時開催
定例は月1回が目安です。そのうえで、次の3つの場面では日程を待たずに開きます。
週次の定例で決められることをステコミに持ち込むと、1回の議題が増え、本当に判断が必要な事項に時間を割けなくなります。定例の運営は、週次の会議の進め方と分けて考えます。
フェーズの節目
要件定義の完了、設計の完了、本番移行の判定など、次の段階に進むかどうかを決めるとき。
予算やスケジュールの変更
予備費の使用、本番稼働日の変更など、PMの権限を超える変更が必要になったとき。
重大なリスクの表面化
主要メンバーの離脱、ベンダーの体制変更、法令の改正など、計画の前提が崩れたとき。
ステコミ資料の構成:60分で判断を引き出す6つのパート
ステコミ資料は、報告より判断のために作ります。判断をお願いする事項を前半に置き、選択肢と推奨案、選ばなかった場合の影響を並べます。
- 01
前回の決定と保留の確認
前回決めたことと、保留にした事項の現状を1枚にまとめます。保留の条件が満たされたかを最初に確かめます。
- 02
全体の状況
進捗、費用、品質を3色の信号で示します。黄色と赤には、理由と対策を1行ずつ添えます。
- 03
判断をお願いする事項
事項ごとに、選択肢、推奨案、費用と日程への影響、決めなかった場合の影響を並べます。
- 04
主要な課題とリスク
課題管理表から、優先度の高い未完了の課題とリスクを5件ほどに絞って載せます。
- 05
次回までの予定
次回のステコミまでに終わる作業と、次回に判断をお願いする予定の事項を示します。
- 06
決定事項の読み上げ
会議の最後に、事務局が決定事項と保留事項を読み上げ、出席者の了承を得ます。
例:3回のステコミで、決定と保留がどうつながるか
従業員約3,000人の機械部品メーカーで、販売管理システムを刷新するプロジェクトの例です(架空)。ステコミは毎月第3木曜で、7月16日、8月20日、9月17日の3回分を記録しました。表の括弧内は、その判断をした発言のタイムコードです。
1回ごとの議事録だけでは、EDI連携のように「第1回で保留、第2回で決定」と回をまたぐ判断の流れが見えません。台帳と録音を同じフォルダに置いておくと、PMが交代しても、後任が判断の経緯を元の発言で確かめられます。
| 案件 | 第1回 7月16日(木) | 第2回 8月20日(木) | 第3回 9月17日(木) | 現在の状態 |
|---|---|---|---|---|
| 受注データの移行範囲 | 決定:直近5年分を移す(18:40) | — | — | 決定済み |
| 本番稼働日 | 保留:ベンダーの再見積もりを待つ(31:05) | 決定:2027年5月10日(月)(09:12) | 再確認:日付は動かさない(27:40) | 決定済み |
| EDI連携 | 保留:取引先30社の対応状況を調べてから判断(34:10) | 決定:第2期に回す(12:45) | — | 第2期で再検討 |
| 帳票の追加開発 | — | 保留:予算超過の見込み。予備費の使用は次回判断(41:20) | 条件付き承認:予備費1,200万円、帳票は40本まで(07:55) | 決定済み(条件付き) |
| 移行リハーサルの遅れ | — | — | 保留:新しい日程を次回確認(27:40) | 保留 |
文字起こし(抜粋)
- 07:10PM帳票の追加開発は、要望が52本あります。すべて作ると、予算を1,800万円超えます。
- 07:32経理部長前回の宿題だった予備費は、1,200万円まで使えます。
- 07:55取締役 管理本部長予備費1,200万円の使用を認めます。条件は、帳票を40本までに絞ることです。確認1
- 08:20営業本部長どの12本を落とすかは、営業側で今月中に決めます。確認2
- 26:30ベンダー責任者移行リハーサルの1回目が2週間遅れます。テストデータの準備が間に合っていません。
- 27:40取締役 管理本部長本番稼働日は5月10日のままです。リハーサルの計画は、次回もう一度見せてください。
Klangが作る下書き
- 決定事項
- 予備費1,200万円の使用を承認。ただし帳票は40本まで
- 本番稼働日は2027年5月10日(月)のまま変えない
- 保留事項
- 移行リハーサルの新しい日程。次回のステコミで改訂計画を確認する
- タスク
- 営業本部:開発しない帳票12本を決める(今月中)
- ベンダー・PM:移行リハーサルの改訂計画を次回までに出す
記録にする前に確認すること
- 確認107:55 条件付きの承認は、条件まで1文で書きます。「予備費の使用を承認」だけでは、41本目以降の帳票まで承認されたように読めます。
- 確認208:20 「今月中」は「9月30日(水)まで」のように日付に直し、担当者を部署名ではなく個人名で書きます。
保留になっている判断と、その理由を一覧にしてください。過去に保留だったものの結果も教えてください。
- 現在保留になっている判断は1件です。移行リハーサルの新しい日程で、次回のステコミで改訂計画を確認することになっています。第3回 27:40
- 保留の理由は、テストデータの準備が間に合わず、リハーサルの1回目が2週間遅れるためです。第3回 26:30
- 本番稼働日は第1回で保留になり、第2回で2027年5月10日(月)に決まりました。第2回 09:12
- EDI連携は第1回で保留になり、第2回で第2期に回すと決まりました。新しい形式に年内に対応できる取引先が30社中11社だったためです。第2回 12:45
- 帳票の追加開発は第2回で保留になり、第3回で予備費1,200万円の使用が条件付きで承認されました。条件は帳票を40本までにすることです。第3回 07:55
ステコミ議事録に書く5項目と、書かなくてよいこと
ステコミの議事録は、決定の記録です。報告の内容は資料に任せ、議事録は判断に絞ります。
- 発言の逐語は書きません。必要なら録音と文字起こしで確かめます
- 資料に書いてある報告の内容は、資料の名前と版数を書けば十分です
- 議事録は会議の翌営業日までに出席者に送り、訂正の期限を決めて確定させます
| 項目 | 書き方 | 例 |
|---|---|---|
| 決定事項 | 誰が何を決めたかを1文で。条件付きなら条件まで | 予備費1,200万円の使用を承認。帳票は40本まで |
| 保留事項 | 何を待って、いつ再び判断するか | リハーサルの新しい日程。第4回で確認 |
| 判断の理由 | 決めた理由と、選ばなかった案 | EDIは対応可能な取引先が30社中11社のため第2期へ |
| タスク | 担当者の個人名と日付 | 開発しない帳票12本を9月30日(水)までに決める |
| 根拠の発言 | 会議の回とタイムコード | 第3回 07:55 |
Klangでステコミの記録をプロジェクトの記憶にする
ステコミの決定は、プロジェクトが終わったあとも、保守や次の刷新のときに参照されます。録音、要約、フォルダ、分析を組み合わせると、回をまたいで判断の経緯を追えるようになります。
プロプランのオートメーションを使うと、ステコミが終わるたびに会議レポートをMicrosoft TeamsのチャネルやNotionへ送れます。スケジュール分析を使うと、ステコミのフォルダを毎週読み、未解決の保留事項をまとめて届けられます。
Klangがしないこともあります。ステコミの資料は作りません。承認のワークフローや稟議の機能はありません。カレンダーの予定を分析することも、発言を翻訳することもありません。英語で開く回は、英語のまま文字起こしします。
- 01
ステコミ用のフォルダを作る
経営情報を含むため、プロジェクト全体とは別のフォルダにします。PMOを管理者、出席者を読み取りにします。
- 02
会議ボットで録音する
Teams・Zoom・Google Meetの会議にKlangの会議ボットを参加させます。会議室で開く回は、スマートフォンのアプリで録音します。
- 03
要約を議事録の下書きにする
文字起こしと、決定事項・タスクを含む要約ができます。事務局は条件と日付を元の発言で確かめてから確定させます。
- 04
回をまたぐ質問は分析で
フォルダを分析に追加し、「保留になっている判断と、その理由は?」「EDI連携を先送りした理由は?」のように質問します。回答には根拠の会議とタイムコードが付きます。
- 05
終了時は権限を引き継ぐ
プロジェクトが終わったら、フォルダの管理者を保守の担当部署に変えます。記録はそのまま残ります。
ステコミの判断を、後任が探せる記録に
Klangは、ステコミや定例会議を録音して文字起こしし、決定事項とタスクを含む要約を作ります。記録はフォルダごとに権限を分けて保管でき、複数の会議をまとめて分析すると、回答に根拠の会議とタイムコードが付きます。
- Teams・Zoom・Google Meetの会議ボット、ブラウザでの録音、スマートフォンのアプリ、ファイルのアップロードに対応
- フォルダごとに管理者・編集・読み取りの権限を設定。担当が変わったら権限を付け替えます
- 話者の自動識別、オートメーション、スケジュール分析はプロプラン(月払い¥1,180・税込)の機能です
よくある質問
ステアリングコミッティ(ステコミ)とは何ですか。
ステアリングコミッティは、プロジェクトの方向性と、プロジェクトマネージャーの権限を超える事項を決める意思決定の会議体です。略してステコミと呼びます。経営層のスポンサーや関係部門の責任者が出席し、予算、スコープ、スケジュールの変更や大きなリスクへの対応を承認します。
ステコミとPMOの違いは何ですか。
ステコミは決める場で、PMOはプロジェクトの管理を支える組織です。PMOは進捗や課題、リスクの情報を集めてステコミの資料を作り、事務局として会議を運営し、決定事項を記録して関係者に伝えます。PMOが判断を下すことはなく、判断はステコミの出席者が行います。
ステコミのメンバーは誰にすればよいですか。
プロジェクトの予算に責任を持つスポンサー、業務側の責任者であるプロジェクトオーナー、影響を受ける部門の責任者を中心にします。PMは報告と提案、PMOは事務局を担います。外部に開発を委託している場合は、ベンダーの責任者も出席します。判断できる人がその場にいることが、人数より大切です。
ステコミはどのくらいの頻度で開きますか。
月1回の定例に、要件定義の完了や本番移行の判定といったフェーズの節目を加える形が一般的です。重大なリスクが表面化したときは臨時で開きます。週次の定例会議で決められることを、ステコミに持ち込まないようにします。
ステコミを録音して議事録を作ってもよいですか。
録音する場合は、招集の案内と会議の冒頭で出席者に伝え、了承を得てから始めます。経営情報を含むため、録音と議事録を見られる人の範囲を事務局のPMOとステコミの出席者に絞ります。Klangでは、フォルダごとに管理者・編集・読み取りの権限を設定できます。
Klangでステコミの記録を残すのにお金はかかりますか。
Klangのフリープランは月額¥0で、文字起こしは無制限、クレジットカードは不要です。Zoom・Teams・Google Meetの会議ボットも使えます。発言者を自動で分ける話者の自動識別、オートメーション、スケジュール分析はプロプランの機能で、月払いは1ユーザーあたり¥1,180(税込)です。