社内検索・企業内検索
エンタープライズサーチとは。社内検索に、会議の記録を入れる。
エンタープライズサーチ(社内横断検索)の仕組みと、社内版ChatGPT・RAGとの違いを整理しました。検索対象から抜け落ちがちな会議の録音と議事録を入れるときの、権限・話者・更新・根拠の論点を、製品・自前RAG・議事録AIの判断表で比べています。
更新日:執筆・運営:Klang AI AB
会議データにしか答えられない5つの質問と、根拠つきの回答例
文書の検索で見つかるのは「何が決まったか」までです。「なぜ」「誰に何を約束したか」「何が保留か」は、会議の中にしか残っていません。9か月分・32回の会議をフォルダごと1つの分析に入れて質問した例です。
回答の根拠に付く時刻を選ぶと、その会議の該当する発言に戻れます。発言者の名前を回答に入れたい場合は、プロプランの話者の自動識別で発言を分けておきます。
12026年4月からの主要取引先への価格改定を決めた理由は?
原材料の値上がりが2四半期続き、据え置くと粗利率が目標を下回る見込みになったためです。主要3社には2か月前に通知する方針も、同じ時期に決まっています。
- 根拠:経営会議 2026年3月12日(木)18:40
- 根拠:営業定例 2026年2月26日(木)07:15
2東和商事に提示した値引きの条件は?
年間2,000台以上の発注を条件に、単価を5%下げると提示しました。その後の週次定例で、適用は10月出荷分からとし、条件は営業課長が先方に書面で伝えることが決まっています。
- 根拠:東和商事 訪問打合せ 2026年6月18日(木)12:30
- 根拠:週次定例 2026年7月9日(木)05:20
3いま保留になっている論点は?
海外展開の判断は、来期予算の確定まで保留です。検査工程の外部委託は、品質保証部の評価結果を待って決めることになっています。
- 根拠:ステアリングコミッティ 2026年9月17日(木)41:05
- 根拠:週次定例 2026年10月1日(木)22:48
4制御基板を自社開発する案を採らなかった理由は?
自社開発では量産開始が半年遅れる見込みで、発売時期を優先して外部調達を選びました。2年目以降に自社開発を再検討する、という条件が付いています。
- 根拠:設計レビュー 2026年5月21日(木)33:12
5接着不良は以前にも起きていた?
起きていました。4月の品質会議で同じ仕入先の接着剤のロットで不良が報告され、受け入れ検査を追加しています。8月の不良は、その検査の対象外だった別の工程で見つかりました。
- 根拠:品質会議 2026年4月9日(木)27:30
- 根拠:品質会議 2026年8月25日(火)14:02
どの質問も、文書の検索では答えにくいものです。答えは会議の発言をもとにした下書きなので、金額や日付は根拠の時刻で元の音声を再生して確かめます。
エンタープライズサーチの仕組み:4つの段階
エンタープライズサーチ製品の多くは、次の4つの段階で動いています。どの段階にも、会議の記録を入れるときの落とし穴があります。
- 01
集める(クロール)
ファイルサーバー、クラウドストレージ、社内wikiなどから文書を定期的に読み込みます。録音ファイルは読み込めても、中身の言葉は取り出せません。
- 02
索引を作る(インデックス)
文書の言葉を検索できる形に整理します。生成AIを使う製品では、文章の意味で探すためのデータも作ります。
- 03
権限を反映する
元のシステムで見られない文書は、検索結果にも出さないようにします。社内検索の導入で手間がかかりやすい部分です。
- 04
返す(検索・回答)
該当する文書の一覧を返します。生成AIを組み合わせた製品は、文書をもとに文章で答え、出典を示します。
エンタープライズサーチ・社内版ChatGPT・RAGの違い
3つの言葉は重なって使われますが、何を返すかで分けると整理できます。
総務省の令和7年版情報通信白書によると、何らかの業務で生成AIを使っている日本企業は55.2%でした。「メールや議事録、資料作成等の補助」に使っている企業は47.3%です。生成AIで社内の事実に答えさせる段階に進むと、どのデータを検索対象に入れるかが課題になります。
| 呼び方 | 返すもの | 得意なこと | 苦手なこと |
|---|---|---|---|
| エンタープライズサーチ | 該当する文書の一覧 | 社内に散らばった文書を1つの窓口で探す | 答えは自分で文書を読んで見つける。文書にない情報は探せない |
| 社内版ChatGPT | 生成AIの文章 | 文書の作成、要約、アイデア出し | 社内の事実は、RAGなどで社内データとつながない限り答えられない |
| RAG(検索拡張生成) | 検索した文書をもとにした回答と出典 | 社内の事実に、根拠を示して答える | 検索で見つけられなかった情報は、答えにも入らない |
会議の記録を検索対象にするときの5つの論点
会議は、整った文書とは性質が違います。社内検索や社内版ChatGPTに会議を入れる前に、次の5つを決めておきます。
権限の扱いは、製品ごとに説明を確かめます。たとえばMicrosoftは、Microsoft Copilot(旧称Microsoft 365 Copilot)は個々のユーザーが少なくとも表示のアクセス許可を持つ組織データのみを表示し、Microsoft Graph経由でアクセスされるプロンプト、応答、データは基礎LLMのトレーニングに使わないと説明しています。
文字にする
録音のままでは検索できません。議事録だけを入れると、議事録に書かれなかった議論は対象外になります。発言そのものを残すには文字起こしが必要です。
誰が言ったかを残す
「先方が提案した」と「自社が提案した」を取り違えると、答えが逆になります。発言者のラベルを、文字起こしを分割した後まで保つ必要があります。
見られる人を会議体ごとに決める
経営会議や人事の会議は、見られる人が限られます。検索や回答が元の閲覧権限に従うかを確かめます。
当日のうちに検索できる
議事録の清書を待つと、検索できるまで数日かかります。会議の翌朝に「昨日決まったこと」を聞けるかが、使われるかどうかを分けます。
根拠の時刻に戻れる
会議の答えは、言い間違いや聞き間違いを含みます。回答から元の発言の時刻に戻り、音声で確かめられる仕組みにします。
会議を入れる3つの方法:製品・自前RAG・議事録AIの判断表
会議を社内の検索や生成AIの対象にする方法は、大きく3つあります。1つに絞らず、文書と会議で役割を分けて組み合わせる方法もあります。
Klangは社内のファイルサーバーやメール、チャットを自動で集めて検索する製品ではありません。文書の横断検索が必要なら、エンタープライズサーチ製品が適しています。Klangが受け持つのは会議の部分で、録音から文字起こし・要約を作り、会議体ごとのフォルダに権限つきで残し、分析に追加した会議やファイル、Webページにまたがって質問できるようにします。
両方を使う場合は、Klangのオートメーション(プロプラン)で、会議が終わるたびに会議レポートをGoogle DriveやOneDrive、Dropboxへ送れます。送り先のフォルダを既存の社内検索が読み込む設定にしておけば、会議の要約も文書と一緒に検索対象に入ります。MCPに対応したAIクライアントから、Klangの会議の記録を参照することもできます(プロプラン)。
| 論点 | エンタープライズサーチ製品に議事録を入れる | 自前のRAG(社内版ChatGPT)に入れる | 横断チャットつきの議事録AI(例:Klang) |
|---|---|---|---|
| 会議の取り込み | 書かれた議事録の文書だけ。録音は別の手段で文字にしてから入れる | 文字起こしを作る仕組みを別に用意し、取り込みの処理を作る | 録音から文字起こし、要約まで同じツールで行う |
| 誰が言ったか | 議事録に書いた範囲だけ | 文字起こしの話者ラベルを、分割した後も保つ設計が必要 | 話者の自動識別で発言者を分ける(Klangではプロプラン) |
| 見られる人の範囲 | 検索製品の権限連携の設定による | 元の閲覧権限を検索に反映する実装が必要 | 会議体ごとのフォルダに、管理者・編集・読み取りの権限を付ける |
| 検索できるまでの時間 | 議事録が書かれて保存されてから。数日後になることもある | 取り込み処理を回す頻度による | 会議が終わり、文字起こしができた時点から |
| 回答の根拠 | 文書へのリンク | 出典を示す設計を自前で作る | 根拠のファイル、ページ、会議の時刻が回答に付く |
| 費用の中身 | 製品のライセンスと導入・設定 | 開発と運用の人件費、LLMとベクトル検索の利用料 | ユーザーごとの月額。Klangはフリープラン¥0、プロプランは月払い¥1,180(税込) |
| 学習への利用 | 製品の契約条件を確認する | 使うLLMのAPIの契約条件を確認する | Klangは会話データをAIの学習に使わない |
| 会議以外の資料 | 得意。ファイルサーバーやクラウドストレージを横断する | 設計次第で何でも入れられる | 分析に追加したファイルとWebページまで。社内のシステムを自動では集めない |
| 向いている組織 | 探したいものの中心が文書で、全社の資料を1つの窓口で探したい | 社内システムと深くつなぎたく、開発と運用の体制がある | 会議が多く、会議の中身そのものに質問したい |
会議を社内検索の対象に加える4つの手順
- 01
対象の会議体を3つに絞る
経営会議、主要プロジェクトの定例、品質会議のように、後から「なぜ」を聞かれる会議から始めます。全社の会議を一度に入れると、権限の設計が追いつきません。
- 02
会議体ごとにフォルダと権限を決める
フォルダごとに管理者・編集・読み取りの権限を付けます。サブフォルダは親の権限を引き継ぎます。全員に開く会議だけ「ワークスペースの全員にフルアクセスを許可する」を使います。
- 03
1か月分の会議で質問を試す
答えの分かっている質問を10問ほど用意し、分析に会議を追加して聞きます。根拠の時刻が正しい発言を指しているかを確かめます。
- 04
既存の社内検索とつなぐかを決める
文書と一緒に探したい場合は、オートメーションで会議レポートを社内検索の対象フォルダに送ります。会議の中身への質問はKlangの分析で行う、と役割を分けます。
会議の中身まで、社内で探せるようにする
Klangは、Zoom・Teams・Google Meetの会議に会議ボットを参加させるか、対面の会議を録音して、文字起こしと要約・決定事項・タスクの下書きを作ります。記録は会議体ごとのフォルダに権限つきで残り、分析に追加すれば何か月分の会議にもまとめて質問できます。
- 会話データをAIの学習に使いません。ISO/IEC 27001:2022の認証を取得しています
- 回答には、根拠になったファイル、ページ、会議の時刻が付きます
- フリープランは月額¥0で文字起こし無制限。話者の自動識別はプロプランの機能です
よくある質問
エンタープライズサーチとは何ですか。
エンタープライズサーチとは、ファイルサーバー、クラウドストレージ、社内wiki、業務システムなどに散らばった社内の情報を、1つの検索窓から横断して探せるようにする仕組みです。社内検索、企業内検索とも呼ばれます。
エンタープライズサーチと社内版ChatGPT(RAG)は何が違いますか。
エンタープライズサーチは、該当する文書の一覧を返します。社内版ChatGPTでよく使われるRAGは、検索で見つけた文書の一部を生成AIに渡し、文章で答えを返します。最近のエンタープライズサーチ製品には、検索結果から生成AIで回答を作る機能を備えたものもあり、両者の境目は近づいています。
会議の録音や議事録もエンタープライズサーチで検索できますか。
議事録が文書として保存されていれば、ほかの文書と同じように検索対象にできます。録音のままでは中身を検索できないため、文字起こしが必要です。社内会議白書2023では、議事録を残す会議が「ほとんどない」「1〜3割程度」と答えた人が39.8%で、多くの会議はそもそも検索対象の文書になっていません。
社内検索で、見る権限のない人に情報が見えてしまうことはありませんか。
検索や生成AIの回答が、元の資料の閲覧権限に従うかどうかが重要な確認点です。たとえばMicrosoftは、Microsoft Copilotはユーザーが少なくとも表示のアクセス許可を持つ組織データだけを表示すると説明しています。自前でRAGを作る場合は、この権限の反映を自分たちで実装します。
Klangはエンタープライズサーチの代わりになりますか。
なりません。Klangは社内のファイルサーバーやメール、チャットを自動で集めて検索する製品ではありません。Klangが受け持つのは会議で、録音から文字起こしを作り、会議体ごとのフォルダに残し、分析に追加した会議やファイル、Webページにまたがって質問できるようにします。オートメーションで会議レポートをGoogle DriveやOneDriveに送れば、既存の社内検索の対象に加えることもできます。
Klangは無料で試せますか。
Klangのフリープランは月額¥0、クレジットカード不要で、文字起こしは無制限です。AI要約とチャットも使えます。話者の自動識別、スケジュール分析、オートメーション、MCP連携はプロプラン(月払い¥1,180、年払いは月あたり¥980、税込)の機能です。