会話の記録を仕事に使う
失注分析のやり方|失注理由の分類とヒアリング質問例
失注した商談の理由を、商談記録と顧客への聞き取りから分析する方法です。失注率の数え方、失注理由の分類、失注ヒアリングの質問例、「価格」の深掘り、改善策の検証まで計算例つきで説明します。
公開日:更新日:執筆・運営:Klang AI AB
失注分析の進め方:5つのステップ
四半期ごとに、その期に結果が確定した案件を対象にする例です。
- 01
対象の案件を決める
期間と、結果が確定した案件の範囲を決めます。延期・未決定の案件は失注に含めず、別に数えます。
- 02
商談記録から事実を集める
各案件の議事録や文字起こしから、顧客が比較した点、懸念、判断の時期について話した発言を拾います。
- 03
失注した顧客に聞き取りを依頼する
再提案とは目的を分け、協力は任意であることを伝えます。断られた件数も記録します。
- 04
理由を分類して比べる
顧客の発言と営業の仮説を別の列にし、同じ分類の案件どうしで発言の中身を比べます。
- 05
改善策を一つずつ試す
仮説から変える点を一つに絞り、次の商談で効果を確かめます。複数の変更を同時に行うと、何が効いたか分かりません。
失注理由の分類例と、確かめる発言
分類名は社内でそろえます。どの分類も「顧客がそう言った」のか「営業がそう考えた」のかを区別して記録します。
| 分類 | 根拠になる顧客の発言の例 | 確かめること |
|---|---|---|
| 価格・費用 | 「年間の費用が予算を超えた」 | 総額か、比較した相手との差か |
| 要件の不一致 | 「既存のシステムと連携できなかった」 | どの要件が満たせなかったか |
| 他社の選択 | 「以前から取引のある会社に決めた」 | 比較の基準は何だったか |
| 時期・予算の都合 | 「今期は見送り、来期に再検討」 | 失注ではなく延期ではないか |
| 社内の事情 | 「担当部署が再編された」 | 意思決定者が変わったか |
| 不明 | 聞き取りに回答なし | 推測で他の分類に入れない |
失注率の数え方:失注・延期・未決定を分ける
次の4件は架空の商談です。同じ月に動きが止まったとしても、結果が確定しているとは限りません。
| 案件 | 分かっている事実 | 集計上の状態 |
|---|---|---|
| A | 競合と契約したとの回答 | 失注・競合選択 |
| B | 来期に再検討との回答 | 延期・現在は未決定 |
| C | 連絡が取れず結果不明 | 不明 |
| D | 当社と契約 | 受注 |
確定した受注・失注だけを比べるなら対象はAとDの2件です。BとCを自動的に失注に入れません。対象期間と、未決定・不明を除いたことを添えて報告します。
失注理由の書き方:顧客の発言と営業の仮説を別列にする
「価格」という分類だけでは改善の手掛かりが失われます。実際の発言、発言の場所、解釈、確認の状態を残します。
| 案件 | 発言と出典(架空) | 理由候補 | 確認状態 |
|---|---|---|---|
| A | 面談12:20『今年の投資枠が止まった』 | 時期・予算凍結 | 顧客発言を確認済み |
| B | 営業メモ『高そうな反応』 | 価格への懸念という仮説 | 顧客には未確認 |
| C | メール『既存製品を継続する』 | 切替を見送った | 理由の深掘りは未実施 |
録音がない場合はメールや記録の参照を使い、時刻を作りません。CRMの分類と発言が異なるときは、上書き前に確認します。
失注理由の書き方:顧客の発言と営業の仮説を別列にするのCSVをダウンロード(架空の記入例つき)失注ヒアリングの質問例と依頼文
失注後の聞き取りは任意です。依頼を断られたことも記録し、協力者だけの回答で全体を説明しません。
| 順番 | 質問例 | 避けたい聞き方 |
|---|---|---|
| 選択 | 最終的に、どの方法を選ばれましたか。 | 価格が原因でしたよね |
| 経緯 | 検討の中で、判断が変わった場面はありましたか。 | 当社の説明のどこが悪かったですか |
| 基準 | 比較するとき、特に確かめたかったことは何ですか。 | 一番安い会社にしましたか |
| 制約 | 実施時期や社内の条件で、影響したことはありましたか。 | 予算さえあれば買いましたか |
| 不足 | 検討時に、足りなかった情報はありましたか。 | この機能を付けたら再契約しますか |
| 確認 | 今のお話で、社内共有して差し支えない範囲を確認できますか。 | 名前つきで資料化してよいですよね |
質問は相手の回答に応じて調整します。答えにくい項目を飛ばしてもらい、再提案とは目的を分けます。
先日のご検討について、当社の説明・提案を改善するため、差し支えない範囲で経緯を伺えればと考えています。再提案を前提とするものではありません。ご協力は任意で、回答しにくい質問は省いていただけます。記録方法と社内で共有する範囲は事前にご案内します。
失注理由「価格」を深掘りする方法:3件の比較
以下は説明用の架空データです。分類名から直ちに「値下げすべき」と判断せず、異なる説明が成り立たないか確かめます。
| 案件 | 確認できた発言 | 別々に試す改善 |
|---|---|---|
| A | 『今年は新規投資を止めた』 | 再検討の条件と時期を確認 |
| B | 『今の方法より良い理由が分からない』 | 業務上の違いを比較できる説明を試す |
| C | 『必要な機能が競合に含まれている』 | 必要条件と対象範囲を整理 |
Aは金額を下げても投資停止が続くかもしれません。Bは価値の説明、Cは要件適合の問題という仮説です。いずれも追加確認なしに原因と断定しません。
失注ヒアリングの回答率と偏りの見方
同じ期間の失注10件に聞き取りを依頼し、3件が応じた架空の例です。分母を段階ごとに残します。
| 段階 | 件数 | 言えること |
|---|---|---|
| 対象 | 10件 | 今回の対象範囲 |
| 依頼 | 10件 | 依頼できた数 |
| 回答 | 3件 | 回答者の経験を整理できる |
| 価格に言及 | 回答3件中2件 | 全失注10件の主因とは断定できない |
報告例:「回答が得られた3件のうち2件で価格への言及がありました。未回答7件の理由は不明です。」担当者が話しやすい顧客だけ選んだ場合も、その選び方を添えます。
失注率の推移の読み方:顧客構成の影響を計算する
各区分の失注率が同じでも、区分の割合が変わると全体の数字は動きます。以下は架空の計算例です。
| 区分 | 期間1:失注/確定案件 | 期間2:失注/確定案件 |
|---|---|---|
| 既存顧客 | 2/10=20% | 8/40=20% |
| 新規顧客 | 20/40=50% | 5/10=50% |
| 全体 | 22/50=44% | 13/50=26% |
全体は44%から26%ですが、両区分の率は変わっていません。既存顧客の構成比が増えた影響です。この例だけで営業施策が改善したとは言えません。実務では区分の定義・期間・未決定案件の扱いもそろえます。
失注分析から改善策を検証する手順
B案件の「違いが分からない」という発言から始める、架空の検証計画です。結果が出る前に成功事例にしません。
| 欄 | 記入例 | 点検 |
|---|---|---|
| 根拠 | 案件Bの比較時の発言 | 録音または記録で確認 |
| 仮説 | 現行業務との違いが伝わっていない | 要件不一致という別の説明も残す |
| 試す変更 | 同じ対象業務で現状と提案を比較する1枚資料 | 価格や対象顧客を同時に変えない |
| 確認 | 説明後に残る質問を記録し、次の商談で見直す | 受注率だけで短期判定しない |
| 担当・判断 | 提案担当が試行、責任者が継続・修正を判断 | 効果は未測定 |
商談数が少ないと結果は偶然や案件の違いに左右されます。まず説明への理解と、仮説に反する発言を確認し、検証を続けるか決めます。
商談の録音から、顧客が実際に言った理由を拾う
Zoom・Teams・Google Meetの商談をKlangで自動録音、または録音ファイルをアップロードして文字起こしすると、複数の案件の記録をまとめて読み返せます。AIチャットで「費用について懸念が出た商談は?」と尋ねて候補を拾い、元の発言を再生して確かめてから失注分析シートに移します。
- 担当者の記憶ではなく、商談中の発言を根拠にできる
- 同じ分類の案件どうしで、発言の違いを比べられる
- 分析結果はExcel・CSVなどで書き出してCRMの記録と照合する
よくある質問
失注分析では何を分析しますか?
失注した案件の数と割合、失注理由の分類、顧客が比較した点、判断が変わった時期などを分析します。CRMの失注理由欄だけでなく、商談記録や失注後の聞き取りで顧客が実際に言ったことを根拠にすると、推測による分類の偏りを減らせます。
失注率はどう計算しますか?
このページでは、期間内に結果が確定した案件のうち失注した案件の割合として計算します。たとえば確定50件のうち失注13件なら26%です。延期や未決定の案件を失注に含めると数字が変わるため、計算のルールを先に決めて毎回そろえます。
失注した顧客への聞き取りは、いつ誰が行いますか?
結果が分かってから記憶が新しいうちに依頼するのが一般的です。担当営業が聞くと率直に話しにくい場合もあるため、上長や別の担当者が聞く方法もあります。再提案とは目的を分け、協力は任意であることを伝えます。
失注理由で「価格」が多い場合、値下げすべきですか?
すぐには判断できません。同じ「価格」でも、予算の総額を超えた、他社との差が大きかった、費用に見合う効果が伝わらなかったなど、中身が違うことがあります。各案件の発言を読み比べ、効果の説明を変えるなど、値下げ以外の改善も検証します。