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生成AIガイドライン

生成AIの社内ガイドラインの作り方。全11条のひな形と、入力してよい情報の区分

生成AIの社内ガイドライン(利用規程)は、禁止事項を並べるより、「どのツールに、どの情報を入れてよいか」を決めることが中心です。そのまま書き換えて使える全11条のひな形、情報の区分表、従業員向けの1枚の要約、作成の手順をまとめました。

更新日:執筆・運営:

このページのひな形は、社内ルールを作るための一般的な参考例です。法的な助言ではありません。自社の就業規則、個人情報取扱規程、契約の内容に合わせ、必要に応じて法務部門や専門家の確認を受けてください。

ルールがない状態では、慎重な人は使わず、気にしない人だけが使います。ガイドラインは利用を止めるためではなく、安心して使える範囲を示すためのものです。

ガイドラインで決めるべきことは、大きく3つです。使ってよいツール、入力してよい情報、出力を使う前の確認。この3つが決まっていれば、細かい禁止事項を並べなくても、現場で判断できます。

経済産業省と総務省の「AI事業者ガイドライン」は、AIを業務で使う企業を「AI利用者」と位置づけ、利用者として取り組む事項を示しています。個人情報保護委員会は、生成AIサービスに個人情報を入力する際の注意点を公表しています。社内ガイドラインは、こうした国の指針を自社の業務に当てはめたものと考えると、作りやすくなります。

ひな形としては、日本ディープラーニング協会(JDLA)が「生成AIの利用ガイドライン」を公開しています。下の全11条は、それらを参考にしながら、会議の録音や文字起こしのような「他人の発言を扱う業務」の条項を加えた構成にしています。

[ ]の部分を自社の名称に置き換えて使います。Word版は条文と別表、従業員向けの要約を1つのファイルにまとめています。

  1. 第1条(目的)

    この指針は、当社の役員および従業員(以下「利用者」)が業務で生成AIを利用する際の基本的な事項を定め、業務の効率化と、情報の保護・権利の尊重を両立することを目的とする。

  2. 第2条(適用範囲)

    この指針は、文章・画像・音声などを生成するAIサービス、および既存のソフトウェアに組み込まれた生成AI機能を、業務の目的で利用するすべての場合に適用する。私物の端末や個人のアカウントから業務の情報を扱う場合も含む。

  3. 第3条(利用できるサービス)

    利用者は、[管理部門名]が承認し、別表1の「承認済みサービス一覧」に掲載した生成AIサービスに限り、業務で利用できる。一覧にないサービスを利用したい場合は、別に定める申請手続きにより承認を得る。

  4. 第4条(入力してはならない情報)

    利用者は、承認済みサービスであっても、別表2に定める区分に従い、利用が認められていない情報を入力してはならない。区分が不明な場合は、入力する前に上長または[管理部門名]に確認する。

  5. 第5条(個人情報の取扱い)

    個人情報を含む情報を入力する場合は、当社の個人情報取扱規程に定める利用目的の範囲内に限り、サービスの提供条件(入力内容の保存、学習への利用、委託先の管理)を[管理部門名]が確認したサービスに限って行う。

  6. 第6条(出力の確認)

    利用者は、生成AIの出力をそのまま事実として扱わず、元の資料・録音・一次情報と照合したうえで利用する。社外に提出する文書、数値、法令や契約に関わる記述は、必ず担当者が内容を確認する。

  7. 第7条(権利の尊重)

    利用者は、第三者の著作物、商標、肖像などの権利を侵害するおそれのある入力・出力の利用をしてはならない。生成物を社外に公開する場合は、[担当部門名]の確認を受ける。

  8. 第8条(会議の録音・文字起こし)

    会議・面談・商談の録音および文字起こしにAIを利用する場合は、別に定める「会話AIの利用に関する規程」に従い、参加者への事前の告知、記録の保存期間、閲覧できる者の範囲を守る。

  9. 第9条(記録と報告)

    利用者は、情報の誤入力、不正確な出力の社外への送付、その他この指針に反する事態を知ったときは、速やかに上長および[管理部門名]に報告する。報告したことを理由に不利益な扱いはしない。

  10. 第10条(教育)

    [管理部門名]は、利用者に対し、この指針の内容と承認済みサービスの使い方について、年に1回以上の説明の機会を設ける。

  11. 第11条(見直し)

    この指針は、技術の進展、法令や国のガイドラインの改訂、社内での利用状況に応じて、少なくとも年に1回見直す。

第4条で参照する区分表です。ガイドラインの中で、いちばん現場が参照する部分になります。

区分を決めるときは、既存の情報管理規程の区分と合わせてください。新しい区分を作ると、どちらに従えばよいか分からなくなります。

「社内情報」の欄で、入力内容を学習に使わないサービスに限っているのは、無料版の汎用AIサービスの中には、設定によって入力内容が学習に使われるものがあるためです。どの設定が既定かはサービスごとに異なるため、承認のときに確認します。

生成AIに入力してよい情報の区分と例
区分例入力のルール
公開情報公開済みのプレスリリース、Webサイトの掲載内容承認済みサービスに入力してよい
社内情報社内会議の資料、業務手順、社内向けの議事録入力内容を学習に使わない設定・契約のサービスに限り入力してよい
機密情報未発表の業績、取引条件、顧客から預かった資料[管理部門名]が個別に承認したサービスと用途に限る
個人情報・要配慮情報面談記録、健康情報、人事評価第5条の条件を満たす場合に限る。要配慮個人情報は原則として入力しない

会議の録音には、自分以外の人の発言が含まれます。文章の作成に使う生成AIとは、確認すべきことが違います。

会議の録音や文字起こしをAIで扱う場合、参加者への事前の告知、録音を断られたときの扱い、記録の保存期間、記録を見られる人の範囲を決めておく必要があります。全社の指針にすべてを書くと長くなるため、第8条では別の規程を参照する形にしています。

録音・文字起こし用の規程のひな形(全12条)と、参加者への説明文、会話の種類ごとの保存期間の例は、会話AIの社内利用ルールのページにまとめています。

条文を全員に読んでもらうのは現実的ではありません。説明会や社内ポータルでは、次の6行の要約を使います。

  • 業務で使ってよい生成AIは、承認済みサービス一覧にあるものだけです。
  • 顧客から預かった資料、未発表の情報、個人の評価や健康情報は入力しません。
  • 迷ったら入力する前に、上長か管理部門に聞いてください。
  • AIの出力は下書きです。数字、名前、日付は元の資料で確かめてから使います。
  • 会議を録音するときは、始める前に参加者へ伝えます。
  • 間違えて入力したときは、すぐに報告してください。報告したことで不利益はありません。

法務部門だけで作ると、現場で使われない文書になりがちです。利用している部署を早い段階で巻き込みます。

  1. 01

    今の利用状況を調べる

    どの部署が、どのツールを、どんな業務に使っているかを聞き取ります。個人契約のツールが見つかっても、まずは責めずに把握することを優先します。

  2. 02

    承認するツールを決める

    利用状況を踏まえて、会社として認めるツールを選び、セキュリティの審査を行います。

  3. 03

    条文と区分表を作る

    ひな形を自社の名称と既存の規程に合わせて書き換えます。区分表は情報管理規程と一致させます。

  4. 04

    現場で試してから決める

    利用の多い部署に読んでもらい、判断に迷う場面がないかを確認します。迷う場面があれば、例を書き足します。

  5. 05

    周知し、年1回見直す

    1枚の要約で説明会を行い、承認済みサービス一覧は社内ポータルで常に最新にしておきます。

Klangは、会議の録音・文字起こし・要約を会社として管理できるAI議事録ツールです。承認済みサービスとして登録するときに確認される項目を、セキュリティページとチェックシートで公開しています。

  • お客様の会話データをAIモデルの学習に利用しません。
  • ISO/IEC 27001:2022(ISMS)の認証を取得しています。
  • チームプランで、SSO、監査ログ、データ保持期間の設定に対応します。
無料で試す
生成AIの社内ガイドラインには何を書けばよいですか。

使ってよいツール、入力してよい情報、出力を使う前の確認の3つが中心です。これに、個人情報の扱い、権利の尊重、報告の手順、教育、見直しの時期を加えると、全体の形になります。

ひな形はそのまま使えますか。

そのままではなく、自社の名称、既存の情報管理規程の区分、承認の手続きに合わせて書き換えてください。法的な助言ではないため、必要に応じて法務部門や専門家の確認を受けてください。

生成AIの利用を全面的に禁止してもよいですか。

禁止すること自体はできますが、業務で便利なツールを禁止すると、個人のアカウントで隠れて使われることがあります。管理の外で業務データが扱われるほうがリスクは大きいため、承認したツールと入力のルールを示すほうが現実的です。

会議の録音にもこのガイドラインが適用されますか。

ひな形では第8条で、会議の録音・文字起こしに別の規程を適用する形にしています。参加者への告知や保存期間など、会話に特有のルールがあるためです。

どれくらいの頻度で見直せばよいですか。

少なくとも年に1回です。国のガイドラインの改訂、新しいツールの承認、社内で起きた誤入力などがあれば、その都度見直します。

社内でAIツールを使い始めるまでの流れを、目的の整理、ルールづくり、ツールの審査、承認と定着の4段階に分けています。会議の録音・文字起こしを例にしていますが、ほかのAIツールにも使える手順です。

  1. 1. 目的を決める

  2. 2. ルールとリスク

  3. 3. ツールを審査する

  4. 4. 承認と定着

クレジットカードは不要です。数分でお使いいただけます。