AI活用・AI導入
AI活用の方法と部署別の事例。小さく試して社内に広げる、AI導入の7つの手順
仕事でのAI活用は、文章の下書き、要約、分類、検索、書き起こしの5つが中心です。営業・人事・総務・カスタマーサポートなど部署別の活用事例と、AIに任せられないこと、対象業務の選び方から試験導入(PoC)、セキュリティ審査、稟議、効果測定までのAI導入の手順を、会議の議事録づくりを例に整理します。
公開日:更新日:執筆・運営:Klang AI AB
AI活用の方法:仕事で使われている5つの使い方
生成AIを含む人工知能(AI)の業務での使い方は、次の5つに分けられます。どれも「AIが材料を形にし、人が確認して判断する」という分担は共通です。
| 使い方 | AIがすること | 人が確認すること |
|---|---|---|
| 下書き | メール、報告書、提案書、議事録の初稿を作る | 事実・数字・相手への言い回し |
| 要約 | 長い資料、会議、チャットのスレッドの要点をまとめる | 抜けた論点と、決定の扱い |
| 分類・抽出 | 問い合わせやアンケートの分類、タスクや金額の抜き出し | 分類の基準と例外 |
| 検索・質問応答 | 社内文書や過去の記録から答えを探す(RAG) | 根拠の記録が今も有効か |
| 書き起こし・読み取り | 会議や面談の録音を文字にする、紙の書類を読み取る(OCR) | 固有名詞と数字 |
AI活用事例:部署別の使い方
部署ごとに、効果が出やすいAI活用の例と、人が残すべき仕事をまとめました。どの部署でも、録音や文書など確認できる元の資料がある業務から始めると、AIの間違いに気づけます。
AI活用で失敗しやすいのは、出力を確認しないまま社外に出すこと、入力してよい情報を決めずに顧客情報を入れること、目的を決めずに「とりあえず全員に配る」ことの3つです。最新の数字や社内固有の事情を、AIが元の資料なしに正しく答えることは期待できません。
最初の1つに迷ったら、会議の議事録が候補になります。会議を録音して文字起こしと要約をAIに任せ、決定事項と担当を人が確認するだけなので、効果を時間で測りやすく、間違いは録音に戻って確かめられます。
| 部署 | AI活用の例 | 人が残すべき仕事 |
|---|---|---|
| 営業 | 商談の録音から要点と次のアクションを下書きする。提案書の初稿を作る | 顧客への約束と、値引きなどの判断 |
| マーケティング | 記事や広告文の案を複数出す。顧客インタビューやアンケートの自由回答を分類する | 事実確認、ブランドに合うかの判断 |
| 人事 | 求人票の下書き、面接や1on1の記録の下書き、社内規程の質問への回答案 | 評価と採否の判断。個人情報の閲覧範囲の管理 |
| 総務・経理 | 請求書や領収書の読み取り、社内問い合わせへの回答案、議事録の作成 | 支払いと承認、規程の解釈 |
| カスタマーサポート | 問い合わせの分類と回答文の下書き、よくある質問の抽出 | クレームや例外への対応、回答の最終確認 |
| 開発・情報システム | コードの下書きとレビューの補助、障害報告の要約 | 設計の判断、本番環境への反映 |
| 経営企画・全部署 | 会議を録音して議事録と決定事項・タスクの下書きを作る。過去の会議を検索する | 何を決定とみなすかの判断 |
AI導入が止まる5つの場面
「使ってみたい」で始まった導入が止まるのは、たいてい次のどこかです。先に把握しておくと、計画に手当てを入れられます。
対象業務が広すぎる
「全社の業務効率化」のような目的では、効果を測れず、誰も責任を持てません。1つの業務、1つの部署から始めます。
現状の時間を測っていない
導入後に「便利になった」としか言えず、継続の判断や予算の説明ができなくなります。
情報システム部門の審査で止まる
データの保存場所、学習への利用、認証、ログ。聞かれることは決まっているので、先に回答をそろえておきます。
社内ルールがない
入力してよい情報が決まっていないと、慎重な人は使わず、気にしない人だけが使う状態になります。
担当者しか使っていない
試験導入で成果が出ても、使い方が共有されないまま展開すると、利用が広がりません。
AI導入の7つの手順
順番どおりに1つずつ終わらせる必要はありません。3と4は並行して進めると、全体の期間が短くなります。
- 01
対象業務を1つ選ぶ
週に何度も発生し、時間がかかり、結果を人が確認しやすい業務を選びます。会議の議事録、面談記録、問い合わせ内容の要約などが典型です。
- 02
現状を測る
1件あたりの作業時間、担当者、月の件数を2週間ほど記録します。これが効果測定の基準になります。
- 03
社内ルールを確認する
入力してよい情報、利用してよいツール、出力の確認方法を決めます。既存の生成AIガイドラインがあれば、対象業務に当てはめて足りない部分を補います。
- 04
セキュリティ審査を受ける
候補のツールについて、保存場所、暗号化、学習への利用、認証、ログ、削除の回答をそろえて審査を依頼します。
- 05
試験導入(PoC)を行う
期間(4〜6週間程度)、参加者、評価項目、続けるか止めるかの判断基準を、始める前に決めておきます。
- 06
稟議で承認を得る
試験導入の結果、費用、審査の結果、比較した選択肢をまとめて稟議にかけます。
- 07
展開して、効果を測り続ける
使い方の手順と記入例を共有し、利用率と作業時間を毎月見ます。使われていない部署には理由を聞きに行きます。
最初の対象業務の選び方
候補を並べて、次の4つの観点で比べます。点数の合計より、「確認しやすさ」が低い業務を最初に選ばないことが大切です。
会議の議事録が最初の対象に選ばれやすいのは、この4つがそろっているからです。会議は毎週あり、まとめるのに時間がかかり、録音と照合でき、まずは社内向けの下書きとして使えます。
どの業務を対象にすべきか迷う場合は、業務効率化のガイドで、AIに向く作業と向かない作業の見分け方を整理しています。
| 観点 | 向いている業務 | 最初は避けたい業務 |
|---|---|---|
| 頻度 | 毎週・毎日発生する | 年に数回しか発生しない |
| 時間 | 1件に30分以上かかる | もともと数分で終わる |
| 確認しやすさ | 元の資料や録音と照合できる | 正誤を判断できる人がいない |
| 影響の大きさ | 社内向けの下書き | 顧客や行政への最終的な提出物 |
試験導入(PoC)の設計シート
試験導入で失敗しやすいのは、終わってから評価の基準を考えることです。始める前に、次の表を埋めておきます。以下は議事録づくりでの記入例です。
| 項目 | 記入例 |
|---|---|
| 対象業務 | 営業部の週次定例と商談後の議事録作成 |
| 期間と参加者 | 6週間/営業部の8名 |
| 現状の数値 | 議事録1件あたり平均40分、月に約60件 |
| 評価項目 | 作成時間、修正にかかった時間、参加者の満足度、利用率 |
| 継続の判断基準 | 作成時間が半分以下になり、8名中6名以上が継続を希望 |
| 止める条件 | 重要な誤りが続く、または審査で解決できない懸念が出る |
| 扱うデータ | 社内会議と、事前に録音を伝えた商談のみ。人事面談は対象外 |
セキュリティ審査と社内ルール
審査では、ほぼ同じ質問が繰り返されます。回答をそろえるのはツールを提案する側の仕事です。
確認される項目は、データの保存場所、通信時と保存時の暗号化、入力した内容がAIの学習に使われるか、ログインの方式(SSOに対応しているか)、操作の記録(監査ログ)、削除の手順と保存期間、第三者認証(ISMSなど)です。
社内ルールは、全社の生成AIガイドラインが土台になります。会議の録音のように、相手の発言を扱う業務では、録音の告知や保存期間を定めた個別の規程を足しておくと、現場で迷いません。
国のガイドラインでは、経済産業省と総務省の「AI事業者ガイドライン」が、AIを業務で使う事業者を「AI利用者」と位置づけ、取り組むべき事項を示しています。社内ルールを作るときの拠り所になります。
AI導入にかかる費用の考え方
費用は、ツールの利用料だけではありません。稟議では、次の3つを分けて書くと、比較と判断がしやすくなります。
Klangの場合、フリープランで文字起こしや要約の流れを試せます。プロプランは月額1,180円(税込)、年払いなら月あたり980円(税込)です。SSO、監査ログ、データ保持期間の設定、オンプレミス導入などはチームプランで、料金はお問い合わせください。
削減できる時間を金額に置き換えるには、議事録の作成時間と人件費から試算できる計算ツールを使ってください。
| 費用 | 内容 | 見落としやすい点 |
|---|---|---|
| ツールの利用料 | 月額・年額の料金、利用人数 | 年払いの割引、最低契約人数、上位プランでしか使えない機能 |
| 準備の工数 | 審査、ルールづくり、設定、説明会 | 情報システム部門と法務部門の作業時間 |
| 運用の工数 | 出力の確認、問い合わせ対応、見直し | AIの出力を人が確認する時間は残る |
稟議と展開、そして効果測定
試験導入の結果が出たら、承認を得て展開します。ここで記録した数値は、そのまま次年度の継続判断に使えます。
稟議書には、目的、現状の課題と数値、試験導入の結果、費用、セキュリティ審査の結果、比較した選択肢、導入後の効果測定の方法を書きます。AI議事録ツールを例にした記入例を、稟議書のガイドに載せています。
展開したあとは、利用率、1件あたりの作業時間、出力の修正にかかる時間を毎月見ます。利用率が低い部署があれば、使い方が分からないのか、業務に合っていないのかを聞いて切り分けます。
部署ごとに個人でAIツールを契約する動きが出ていないかも、あわせて確認してください。会社が認めたツールより手軽なものが使われていると、管理の外で会議データが保存されることになります。
会議の議事録から、AI導入を小さく始める
Klangは、会議の録音から文字起こし、要約、決定事項とタスクの下書きまでを作ります。フリープランで試験導入を始め、組織での管理が必要になった段階でチームプランへ進めます。
- お客様の会話データをAIモデルの学習に利用しません。プランを問わず同じです。
- ISO/IEC 27001:2022(ISMS)の認証を取得した体制で運用しています。
- チームプランでSSO(SAML 2.0/OpenID Connect)、監査ログ、オンプレミス導入に対応します。
よくある質問
仕事でのAI活用方法にはどんなものがありますか。
仕事でのAI活用方法は、文章の下書き、要約、問い合わせやアンケートの分類・抽出、社内文書の検索と質問応答、会議や書類の書き起こし・読み取りの5つが中心です。どの使い方でも、AIの出力は人が確認してから使います。
AI活用事例を部署別に教えてください。
営業では商談の要点と次のアクションの下書き、人事では求人票や面接記録の下書き、総務・経理では請求書の読み取りと社内問い合わせへの回答案、カスタマーサポートでは問い合わせの分類と回答文の下書き、全部署共通では会議の議事録の作成がよく使われるAI活用事例です。
AI導入は何から始めればよいですか。
対象業務を1つ選び、その業務に今どれだけ時間がかかっているかを測るところから始めます。ツールの比較はその後です。測っていないと、導入後に効果を示せません。
試験導入(PoC)の期間はどれくらいが適切ですか。
週次の業務なら4〜6週間あると、慣れるまでの期間を除いても比較できるだけの件数がそろいます。期間より、始める前に継続と中止の判断基準を決めておくことのほうが重要です。
セキュリティ審査では何を聞かれますか。
データの保存場所、暗号化、入力内容がAIの学習に使われるか、ログイン方式(SSO)、操作ログ、削除と保存期間、第三者認証が中心です。チェックシートで回答をそろえてから審査を依頼すると、やり取りの回数が減ります。
AI導入にかかる費用はどれくらいですか。
ツールの利用料に加えて、審査やルールづくりなどの準備の工数と、出力を確認する運用の工数がかかります。利用料はツールとプランで大きく異なるため、候補ごとに3つを分けて見積もってください。
小さな会社でも同じ手順が必要ですか。
規模が小さければ、審査や稟議は簡単になります。ただし、入力してよい情報を決めることと、導入前の作業時間を測ることは、規模にかかわらず省かないほうが後で困りません。
AI導入ガイド:いまの段階から読む
社内でAIツールを使い始めるまでの流れを、目的の整理、ルールづくり、ツールの審査、承認と定着の4段階に分けています。会議の録音・文字起こしを例にしていますが、ほかのAIツールにも使える手順です。
1. 目的を決める
- AI導入の進め方(このページ)
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2. ルールとリスク
3. ツールを審査する
4. 承認と定着