NotebookLMのセキュリティ
NotebookLMは情報漏洩する?学習・共有・法人利用の安全性を確かめる
NotebookLMは2026年7月にGemini Notebookへ名称変更されました(以下NotebookLM)。NotebookLM(Gemini Notebook)に社内の資料や会議の録音を入れてよいかは、使うアカウントの種類で答えが変わります。学習、人によるレビュー、共有、保存場所、監査ログについてGoogleの公式ヘルプと管理者ヘルプの記述を確かめ、情報システム部門が導入前に確認する10項目にまとめました。
更新日:執筆・運営:Klang AI AB
アカウントの種類別:学習と人によるレビューの扱い
「NotebookLMは安全か」という問いの答えは、どのアカウントでログインしているかで決まります。Googleの公式ヘルプが示す4つの区分を並べました。
注意したいのは、同じWorkspaceでもエディションによって扱いが違う点です。Business BaseやWorkspace Individualでは、NotebookLMは追加サービスで、データの扱いは個人アカウントと同じです。自社の契約がどの区分に当たるかは、Workspace管理者に確認します。
どのアカウントでも、Googleは安全性と信頼性のために、不正行為や技術的な問題を防ぐ目的でデータを処理する場合があるとしています。「学習に使われない」と「Googleが一切処理しない」は別のことです。
| アカウント | 学習・レビュー | 公式ヘルプの説明 |
|---|---|---|
| 個人のGoogleアカウント(無料・Google AI プラン) | 学習に使われるのはフィードバックを送った場合 | 高評価・低評価やフィードバックを送ると、そのやり取りの全体(質問、アップロード、回答)が専任のチームに確認されることがあります。レビュー済みのデータはアカウントから切り離して最長3年保存されます。 |
| Workspace(Business Base・Workspace Individual など) | 個人アカウントと同じ | NotebookLMは「追加サービス」の扱いで、データの扱いはGoogle利用規約に従い、公式ヘルプの表でも個人アカウントと同じ説明です。 |
| Workspace(Business Starter 以上・Enterprise・Education) | 学習にも人のレビューにも使われない | アップロード、チャット、モデルの出力は、フィードバックを送った場合でも人間のレビュアーに確認されず、AIモデルの改善にも使われません。Google Cloud 利用規約などが適用されます。 |
| Google Cloud(Gemini Notebook for Enterprise など) | 学習にも人のレビューにも使われない | アップロードしたファイルはGCPプロジェクト内に残り、データのリージョン指定が尊重されます。VPC-SC と IAM による制御が案内されています。 |
社内でNotebookLMを使う前に情シスが確かめる10項目
導入の承認前に確かめる項目を、Googleの公式な回答と、会議の録音を扱う場合のKlangの回答と並べました。NotebookLMの欄は、すべて公式ヘルプか管理者ヘルプの記述です。
Klangの欄は、会議の録音と文字起こしをNotebookLMとは別のツールで管理する場合の比較です。認証や暗号化についてのKlangの公開回答は、トラストセンターのチェックシート(CSV)にまとめています。保存リージョンやサブプロセッサーのように構成で変わる項目は、個別に回答します。
| 確認項目 | NotebookLMの公式情報 | 会議の録音を扱う場合(Klang) |
|---|---|---|
| 1. どのアカウントで使うか | 個人アカウント、Workspaceの追加サービス、Workspaceのコアサービス、Google Cloudで、適用される規約とデータの扱いが変わります。 | Klangは会社のワークスペースに招待されたメンバーだけが使います。ログインをGoogle Workspaceのドメインや Microsoft のテナントに限定できます。SSO(SAML 2.0・OIDC)はチームプランです。 |
| 2. 管理コンソールで有効になっているか | 「生成 AI」>「Gemini Notebook」>「サービスのステータス」で、組織部門やアクセスグループごとにオン・オフを切り替えます。Gemini の「設定」管理者権限が必要です。 | 管理者は、外部連携やカレンダー同期などの機能をワークスペース全体でオフにできます。二要素認証を全員に必須にする設定もあります。 |
| 3. 入力がAIの学習に使われるか | 個人アカウントでは、フィードバックを送らない限り学習には使われません。対象のWorkspaceエディションでは、フィードバックを送っても使われません。 | すべてのプランで、会話データをAIの学習に使いません。 |
| 4. 人が内容を見ることがあるか | 個人アカウントでフィードバックを送ると、関連するソースや出力が人のレビューの対象になります。対象のWorkspaceエディションでは確認されません。 | データの取り扱いは、トラストセンターのセキュリティチェックシート(CSV)で確認でき、自社の書式での回答も依頼できます。 |
| 5. 社外共有と公開リンク | Workspaceでは社外共有の既定は「オフ」です。管理者は「信頼できるドメイン」「オン」「一般公開も可」を選べます。ただし音声解説のヘルプは、Workspace EnterpriseとEducationのアカウントでは公開共有が現在無効と書いており、記述が一致しません。個人アカウントでは「リンクを知っている全員」に公開でき、最大50人と個別に共有できます。 | フォルダごとに「管理者・編集・読み取り」の権限を付けて、ワークスペースの中で共有します。 |
| 6. データの保存場所 | Workspaceの管理者ヘルプは、組織のデータリージョンの設定がNotebookLMで処理・キャッシュされるデータには適用されないと説明しています。ノートブック、ソース、チャット履歴はグローバルに保存されます。 | 保存リージョンはご相談に応じます。専用環境と顧客管理の暗号鍵(BYOK)を使うKlang Vaultは、チームプランです。 |
| 7. チャット履歴とソースの削除 | 利用者向けヘルプは、チャット履歴は保持され、「チャットの履歴を削除」で消せると説明しています。管理者向けのPrivacy Hubは、プロンプトと回答はセッション終了後に保持されないとしています。保持される前提で運用し、削除したメモは復元できない点も伝えます。 | データ保持期間のカスタマイズはチームプランで対応します。 |
| 8. 監査ログ | 2026年9月から、管理コンソールの「レポート」>「監査と調査」>「Gemini Notebook のログイベント」で操作を検索できます。BigQueryへの書き出しは管理者が有効にします。 | 監査ログとアクセス制御はチームプランで対応します。 |
| 9. 第三者認証 | 管理者ヘルプの有効化の記事はISO/IEC 27001やISMAPなどの認証を挙げていますが、Privacy Hub(2026年10月6日更新)は現時点でISOなどの認証に対応していないと書いています。記述が食い違うため、認証を要件にするならGoogleに書面で確認します。 | ISO/IEC 27001:2022の認証を取得しています。通信はTLS 1.2以上で暗号化し、保存するファイルはワークスペースごとの鍵で暗号化します。 |
| 10. 入れてはいけない情報 | Googleは、権利のないドキュメントをアップロードしないよう案内し、フィードバックに機密情報を含めないよう求めています。NotebookLMは現在Workspace DLPと連携していないため、どの情報を入れないかは自社で決め、ドライブのファイルはダウンロードやコピーの禁止(IRM)でアップロードを防ぎます。 | 会議の録音は個人情報を含みます。録音することを参加者に伝え、保存先と閲覧できる人をワークスペースのフォルダ単位で決めておきます。 |
漏洩の経路になりやすいのは共有の設定
Googleは、ユーザーのデータがNotebookLMによって共有されることはないと説明しています。実際の漏洩の経路になりやすいのは、利用者が自分で行う共有です。
ノートブックの共有には、相手を指定する方法と、「リンクを知っている全員」に公開する方法があります。公開したノートブックは、Googleアカウントを持つ人なら誰でも閲覧できます。公開したノートブックから作った音声解説やレポートなどの共有リンクは、ログインしていない人でも開けます。Workspaceでの一般公開は、管理者向けの記事では管理者が許可できる設定、音声解説のヘルプではEnterpriseとEducationのアカウントで現在無効とされています。
閲覧者には、ノートブック内のすべてのソースとメモへの読み取り権限があります。編集者は、ソースの追加・削除と、ほかの人への再共有ができます。公開を止めるには、「共有」でアクセスを「制限付き」に戻します。
共有ボタンの横のアイコンで状態が分かります。鍵は非公開、共有のアイコンは特定の人と共有、地球は一般公開です。
個人アカウントには社外秘を入れない
個人アカウントでも、フィードバックを送らなければ学習には使われません。ただ、高評価のボタンを一度押すだけで、そのやり取りが人のレビューの対象になります。業務の資料は、対象のWorkspaceエディションのアカウントに限るのが安全です。
Driveの権限がそのまま効くことを知っておく
Googleドライブから追加したファイルは、閲覧権限のある人だけがソースにできます。ただし、ノートブックを共有すると、共有相手はノートブック内のソースを読めます。元のファイルを見られない人と共有しないようにします。
「チャットビュー」の共有は閲覧制限ではない
公式ヘルプは、チャットビューのリンクで共有してもソースへのアクセス権は完全には失われないと注意しています。見せたくないソースがあるなら、共有するノートブックから外します。
データの保管場所に決まりがある情報は入れない
国内保管が契約や規程で求められる情報は、Workspaceのデータリージョンの設定がNotebookLMには適用されない点に注意します。Google Cloudの提供形態では、リージョン指定が尊重されると案内されています。
判断の例:営業部の「商談の録音をNotebookLMで要約したい」
架空の会社での判断の流れです。数字と設定は、2026年10月17日時点の公式情報にもとづきます。
- 01
相談を受ける
従業員300人の会社で、営業部から「商談の録音をNotebookLMで要約したい」と相談がありました。会社はGoogle Workspace の Business Standard を使っています。
- 02
アカウントとエディションを確かめる
Business Standardでは、NotebookLMはコアサービスです。入力は学習にも人のレビューにも使われず、ソースは1ノートブック300件まで入ります。個人のGmailアカウントでの利用は禁止にします。
- 03
共有の範囲を決める
社外共有は既定の「オフ」のままにし、営業部の組織部門だけでNotebookLMをオンにします。商談の録音には顧客の発言が入るため、公開リンクは使いません。
- 04
録音の作り方を決める
NotebookLMは会議を録音しません。商談の録音は、参加者に伝えたうえで会議ツールか議事録ツールで作ります。誰の発言かを残すなら、話者名の入った文字起こしをソースにします。
- 05
記録の保管先を決める
確定した議事録は社内の保管場所に移し、ノートブックは作業場所として使います。監査ログは「Gemini Notebook のログイベント」で確認できることを、運用ルールに書き加えます。
社内ルールに書いておくこと
NotebookLMを許可する場合も禁止する場合も、理由と範囲を利用者に伝えます。生成AIの社内ガイドラインに、次の4点を加えておくと運用が回ります。
- 業務で使ってよいアカウント(対象のWorkspaceアカウントに限る、など)
- 入れてよい情報と入れてはいけない情報(顧客の個人情報、未公表の決算、契約で国内保管が求められる情報など)
- 共有してよい範囲(社内のみ、公開リンクは禁止、など)と、フィードバックのボタンの扱い
- 会議の録音をソースにする場合の、参加者への告知と録音の保管先
会議の録音は、学習に使わない場所で記録する
Klang(クラング)は、会議の記録、文字起こし、要約、複数の会議をまたぐ分析を一つのワークスペースで行います。会話データはどのプランでもAIの学習に使いません。保存するファイルはワークスペースごとの鍵で暗号化します。SSO、監査ログとアクセス制御、データ保持期間のカスタマイズ、専用環境のKlang Vaultはチームプランで対応します。
- ISO/IEC 27001:2022認証。通信はTLS 1.2以上で暗号化
- フォルダごとに「管理者・編集・読み取り」の権限を設定できる
- トラストセンターで、セキュリティチェックシート(CSV)を公開している
よくある質問
NotebookLMに入れた資料は学習に使われますか?
個人のGoogleアカウントでは、フィードバックを送らない限り学習に使われません。Google WorkspaceのBusiness Starter以上などの対象エディションでは、フィードバックを送った場合でも学習に使われず、人間のレビュアーにも確認されません(2026年10月17日時点の公式ヘルプ)。
NotebookLMで情報漏洩は起きますか?
公式ヘルプは、ユーザーのデータがNotebookLMによって共有されることはないと説明しています。漏洩の経路になりやすいのは利用者側の設定で、個人アカウントでのフィードバック送信、ノートブックの公開リンク、社外の人との共有の3つです。
会社でNotebookLMを使うには何が必要ですか?
Google Workspaceの管理者が、管理コンソールの「生成 AI」>「Gemini Notebook」でサービスをオンにします。組織部門やアクセスグループごとに有効にでき、社外共有は既定でオフです。
NotebookLMのデータは日本に保存されますか?
Workspaceの管理者ヘルプは、組織のデータリージョンの設定はNotebookLMで処理・キャッシュされるデータに適用されないと説明しています。ノートブック、ソース、チャット履歴はグローバルに保存されます。Google Cloud経由の提供では、リージョン指定が尊重されると案内されています。
NotebookLMの操作ログは管理者が確認できますか?
はい。2026年9月から、Workspaceの管理コンソールの「レポート」>「監査と調査」>「Gemini Notebook のログイベント」で、ユーザーの操作を検索できます。表示の既定は過去7日間で、BigQueryへの書き出しは管理者が有効にします。
会議の録音を扱うなら、NotebookLMとKlangのどちらが安全ですか?
どちらも条件しだいです。NotebookLMは対象のWorkspaceエディションなら学習にもレビューにも使われません。Klangはどのプランでも会話データを学習に使わず、ISO/IEC 27001:2022の認証を取得しています。会議の録音そのものを作り、ワークスペースのフォルダ権限で管理できる点がKlangの違いです。