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心理的安全性とは

心理的安全性とは?会議で高める行動とリーダーのセルフチェック

心理的安全性の定義と提唱者エドモンドソンの研究、GoogleのProject Aristotle(プロジェクト・アリストテレス)で分かったこと、よくある誤解を整理し、会議の前・中・後でできる行動に落とし込みます。会議リーダー向けの12項目セルフチェックと、発言の偏りを振り返る方法つきです。

更新日:執筆・運営:

エドモンドソンは1999年、学術誌Administrative Science Quarterlyに論文「Psychological Safety and Learning Behavior in Work Teams」を発表しました。製造業の企業の51のチームを調べ、チームの心理的安全性が、質問やフィードバックを求める、失敗について話し合うといった「学習行動」と結びついていることを示しています。

ポイントは、心理的安全性が個人の性格ではなく「チームで共有された信念」だという点です。同じ人でも、チームが変われば発言のしやすさは変わります。だからこそ、会議の進め方やリーダーの振る舞いといった、チームのやり方で高めることができます。

日本では「心理的安全性」という訳語が定着しています。エドモンドソンの著書『The Fearless Organization』(2018年)は、2021年に『恐れのない組織』の題で邦訳されています。

心理的安全性が低いと起きやすい「対人関係のリスク」の回避(会議の場面の例)
避けたい評価会議で起きること結果
無知だと思われたくない分からない用語や前提を質問しない誤解したまま作業が進む
無能だと思われたくないミスや遅れを報告しない、小さく言う問題が大きくなってから発覚する
否定的だと思われたくない計画の穴やリスクに気づいても言わない同じ失敗を繰り返す、意思決定の質が下がる
邪魔だと思われたくない別の案や新しいアイデアを出さない最初に出た案や、声の大きい人の案に決まる

Googleのピープルアナリティクスのチームは、効果的なチームの条件を探る社内調査「Project Aristotle」を行いました。Googleが公開しているre:Workのガイドによると、調査の対象はエンジニアリングの115のプロジェクトチームと営業の65のチーム、合計180チームです。経営層・チームリーダー・メンバーによる評価と、営業チームの四半期目標に対する実績を組み合わせて効果を測っています。

結論は「誰がチームにいるかよりも、チームがどのように協力しているかが重要だった」というものです。re:Workでは、効果的なチームを分ける5つの因子が重要な順に示されており、その最初が心理的安全性です。

同じガイドでは、メンバーが同じ場所で働いているか、合意を重視した意思決定をしているか、外向的なメンバーが多いか、チームの規模や在籍年数などは、Googleのチームの効果とあまり関係がなかったとしています。

Project Aristotleの5つの因子(re:Workの記載を要約・和訳)
因子意味会議でのあらわれ方の例
1. 心理的安全性メンバーが、チームの中で対人関係のリスクをとっても安全だと感じている懸念や反対意見、分からないことが会議の場で出てくる
2. 相互信頼(Dependability)メンバーが、質の高い仕事を期限どおりに仕上げると信頼し合えている前回のToDoが完了して報告される
3. 構造と明確さ役割・計画・目標がはっきりしている会議の目的と決める人、担当と期限が明確
4. 仕事の意味仕事そのものや成果に、個人的な意味を感じられる何のための議題かが共有されている
5. インパクト自分の仕事が組織の目標に貢献していると感じられる決めたことがどう生かされたかが、後で共有される

心理的安全性が高いチームは、何でも許されるチームではありません。エドモンドソンは、心理的安全性と、成果や基準の高さを別の軸として整理しています。両方が高い状態が、学びと成果につながる「学習ゾーン」です。

  • 誤解1「優しく接すること」── 率直な反対意見や厳しいフィードバックが言えることが、心理的安全性の中身です
  • 誤解2「全員が賛成すること」── 異論が出ること自体が、心理的安全性が機能しているサインです
  • 誤解3「目標を下げること」── 目標や期限はそのままに、問題を早く言える状態をつくります
  • 誤解4「個人の性格の問題」── チームで共有される信念なので、会議の進め方やリーダーの行動で変わります
基準・責任の高さ →
  • 心理的安全性:低 × 基準:高

    不安ゾーン

    高い成果を求められるのに、失敗や懸念を口にできない。問題が隠れ、報告は遅れ、ミスは表に出たときには大きくなっています。

  • 心理的安全性:高 × 基準:高

    学習ゾーン

    目標は高く、そのうえで質問・反対意見・失敗の報告ができる。目指すのはここです。

  • 心理的安全性:低 × 基準:低

    無関心ゾーン

    求められることも少なく、意見を言う理由もない。会議は報告を聞くだけの場になりがちです。

  • 心理的安全性:高 × 基準:低

    快適ゾーン

    仲は良く居心地もよいが、挑戦や学びにつながらない。「ぬるま湯」と誤解されやすいのはこの状態です。

心理的安全性の高さ →

エイミー・C・エドモンドソン『恐れのない組織』(英治出版、2021年)で示されている、心理的安全性と基準の高さの2軸の整理をもとに作図。各ゾーンの説明文は会議の場面に合わせた要約です。

会議は、メンバーが「言っても大丈夫か」を毎週確かめている場です。特別な研修よりも、毎回の会議の進め方を少しずつ変えるほうが効果が続きます。

  • 前:目的と問いを先に共有する

    アジェンダに「この議題で決めたいこと」と「意見がほしい点」を書いて事前に送ります。考える時間があると、その場で話すのが苦手な人も準備できます。

  • 前:事前に意見を集める

    チャットやフォームで懸念や質問を先に集めると、会議で言い出しにくいことも議題にできます。匿名にするかはテーマで選びます。

  • 中:リーダーは意見を最後に言う

    立場の強い人が先に結論を言うと、ほかの人は反対しにくくなります。進行役は問いを出し、自分の考えは最後に言います。

  • 中:全員が一度は話す仕組みをつくる

    冒頭の短いチェックインや、議題ごとに順番に一言もらうラウンドで、話し始めのハードルを下げます。

  • 中:懸念が出たら、まずお礼を言う

    「言ってくれて助かります」と受け止めてから中身を議論します。最初の反応で、次に誰かが発言するかどうかが決まります。

  • 後:意見の扱いを伝える

    採用した意見、保留した意見、採用しなかった意見と理由を議事録で共有します。言ったことが届いていると分かると、次も発言が出ます。

進行役の言い換え例:発言を招く問いかけ
よくある言い方言い換え理由
何か質問ありますか?どこが一番分かりにくかったですか?「質問がある前提」の問いは、手を挙げるハードルを下げます
反対の人はいませんか?この案がうまくいかないとしたら、原因は何だと思いますか?反対ではなく「リスクの洗い出し」として意見を出せます
なんでこうなったの?何が起きたか、順番に教えてもらえますか?責める響きを避け、事実を集めることに集中できます
前にも言いましたよね伝え方が足りなかったかもしれません。改めて確認させてください理解されていないことを、伝える側の課題として扱います
(沈黙のまま次の議題へ)Bさんは現場に近い立場から、どう見えますか?名前を呼ぶときは、答えやすい具体的な角度を添えます

心理的安全性は、メンバー側の努力だけでは上がりません。会議を進める人の行動が最も影響します。12項目のうち、チェックが少ない領域から1つだけ次の会議で試してください。

会議リーダーのための心理的安全性セルフチェック(12項目)

直近1か月に自分が進行した会議を思い出し、ふだんからできていることにチェックを入れてください。学術的な尺度ではなく、自分の行動を振り返るための目安です。入力内容はどこにも送信されません。

発言を招く
発言に応える
失敗から学ぶ

チェックの数

0 / 12

  • 発言を招く0 / 4
  • 発言に応える0 / 4
  • 失敗から学ぶ0 / 4

次の会議で試すこと(発言を招く)

自分の意見は最後に。冒頭で「今日はリスクを洗い出したいので、気になることを1人1つ挙げてください」のように、何を言えばよいかが分かる問いを出します。

会議で発言が偏っていても、進行している本人は気づきにくいものです。話者ごとに分かれた文字起こしがあれば、誰がどれくらい話し、誰から質問や反対意見が出たかを、記憶ではなく記録で振り返れます。

大切なのは使い方です。発言量はメンバーを評価するためのものではなく、チームが自分たちの会議の進め方を見直すための材料です。監視に使われると感じた時点で、かえって発言は減ります。

  • 目的を先に伝える:録音と振り返りの目的を、会議の参加者に事前に説明し、同意を得てから録音します
  • 個人の評価に使わない:人事評価や査定の材料にしないことを、ルールとして明示します
  • チームで一緒に見る:進行役だけが見るのではなく、振り返りの場で全員が同じ数字を見て話し合います
  • 量より中身も見る:誰が質問したか、懸念がどう扱われたかも、文字起こしで確かめます

架空の例

30分の週次定例:話者別の発言時間

話者名とタイムスタンプ付きで書き出した文字起こし(CSV・Excel)から、話者ごとの発言時間と質問の数を集計した例です。数字は説明のための架空のものです。

  • 部長(進行)19分(63%)・質問 2回
  • Aさん7分(23%)・質問 3回
  • Bさん3分(10%)・質問 0回
  • Cさん(新任)1分(3%)・質問 0回

気づき

進行役が全体の6割強を話していて、新任のCさんは1分ほど。Bさん・Cさんからの質問はありませんでした。

問い(責めずに)

「CさんやBさんが話しにくかった理由はあるだろうか」「自分が先に結論を言いすぎていないか」をチームで考えます。

次の会議で試すこと

進行役は意見を最後に言う。議題ごとに1人ずつ順に一言もらう。事前にチャットで質問を集める。

発言の量が多いこと自体は悪いことではありません。発表や説明が中心の回もあります。数字は「話しにくい人がいないか」を考えるきっかけとして使い、個人の評価には使わないでください。
  1. 01

    匿名のアンケートで聞く

    エドモンドソンは、チームの心理的安全性を7つの設問で測っています。re:Workでもこの設問をもとにした測り方が紹介されています。社内で使うときは、匿名で回答でき、結果をチーム単位で共有する形にします。

  2. 02

    1on1で個別に聞く

    「最近の会議で、言いたかったけれど言わなかったことはありますか」と聞くと、会議の場では出ない声が聞けます。

  3. 03

    会議の終わりに1分の振り返り

    「今日の会議は意見を言いやすかったか」を5段階で手を挙げてもらう、またはチャットに書いてもらいます。続けると変化が見えます。

  4. 04

    記録の中身を見る

    議事録や文字起こしに、懸念・反対意見・失敗の報告が出てきているかを確認します。何も出てこない会議が続くのは、注意が必要なサインです。

Klangは会議を録音して文字起こしし、要約と決定事項までAIで作ります。プロプランの話者の自動識別を使うと、誰が何を話したかが分かれた文字起こしになり、チームで会議の進め方を振り返る材料になります。

  • Zoom・Teams・Google Meetには会議ボットが参加して録音。対面の会議はスマホアプリで録音できます
  • 文字起こしはフリープランでも無制限。話者の自動識別はプロプラン(7日間の無料トライアルあり)の機能です
  • 話者名・タイムスタンプ付きでExcel・CSVに書き出し。会話データをAIの学習に使いません
無料で試す
心理的安全性とは何ですか。

チームのメンバーが「このチームでは、対人関係のリスクをとっても安全だ」と共有している信念のことです。質問する、間違いを認める、反対意見を言っても、恥をかかされたり罰せられたりしないと感じられる状態を指します。エイミー・C・エドモンドソンが1999年の論文で定義しました。

心理的安全性を提唱したのは誰ですか。

ハーバード・ビジネス・スクールの教授エイミー・C・エドモンドソンです。1999年にAdministrative Science Quarterlyに発表した論文で、チームの心理的安全性を定義し、学習行動との関係を示しました。

GoogleのProject Aristotleでは何が分かったのですか。

Googleの180チームを調べ、チームの効果を左右するのは「誰がいるか」より「どのように協力しているか」だと結論づけました。効果的なチームの5つの因子として、心理的安全性、相互信頼、構造と明確さ、仕事の意味、インパクトが挙げられ、心理的安全性がその筆頭です。

心理的安全性が高いと、ぬるま湯の組織になりませんか。

心理的安全性と、成果や基準の高さは別の軸です。基準が低く居心地だけがよい状態は「快適ゾーン」と呼ばれ、目指す状態ではありません。高い基準のうえで、問題や反対意見を早く言える「学習ゾーン」を目指します。

会議で心理的安全性を高めるには、何から始めればよいですか。

進行役が自分の意見を最後に言うこと、「何か質問ありますか」ではなく「どこが一番分かりにくかったですか」のように具体的に問うこと、懸念が出たらまずお礼を言うことの3つから始めるのがおすすめです。

会議の録音で発言量を見るのは、監視になりませんか。

使い方しだいです。目的を事前に伝えて同意を得ること、個人の評価に使わないこと、チームで一緒に振り返ることをルールにすれば、会議の進め方を見直す材料になります。話者の自動識別はKlangのプロプランの機能です。

クレジットカードは不要です。数分でお使いいただけます。