カスタマージャーニー・インタビュー
カスタマージャーニーの作り方。1人の経験から、確かめながら描く
認知・比較・購入という枠を埋める前に、顧客が実際に何をしたかを聞きます。質問例、接点の整理、感情と解釈の分け方、複数人の統合まで。編集・並べ替え・保存できる時系列シート付きです。
更新日:執筆・運営:Klang AI AB
マップの範囲を、顧客の目的で決める
自社のサイトへ来る前や、アプリを閉じた後にも経験は続きます。「どの画面を通ったか」だけでなく、目的に向かう途中の相談、待ち時間、やり直しも聞きます。
BtoBでは利用者、承認者、購入担当者が別々の目的で動くことがあります。最初から全員を「顧客」という1本の線にせず、誰の行動なのかを明示して、受け渡しの場面でつなぎます。
| 決めること | 経費精算の例 | 決めないままだと起きること |
|---|---|---|
| 誰の経験か | 初めて出張精算する社員 | 申請者と承認者の行動を1人の経験として混ぜる |
| 始まりと終わり | 領収書を受け取る→精算額を受け取る | 自社アプリ内の操作だけで完結させる |
| 現状か将来か | 直近の精算で実際にしたこと | 改善案を、すでに行われている行動に見せる |
| 何を決めるか | 差し戻し後の支援をどこに置くか | 図を作ること自体が目的になる |
質問例:最後に起きた1回を、順番に聞く
一般論から入るより、最近の具体的な出来事を選びます。日時が曖昧なら「その後」「翌週くらい」など本人の表現を残し、正確な日付を作りません。
「不安でしたよね」と気持ちを先に決めず、本人の言葉を聞きます。覚えていない場合は未確認のままにします。画面、メール、メモを一緒に確認する場合は、本人が共有できる範囲を確認し、不要な個人情報を記録しないようにします。
| 場面 | 質問例 | 記録すること |
|---|---|---|
| きっかけ | 最後にその手続きをしたのは、どんなときでしたか | 目的、状況、始まり |
| 最初の行動 | 最初に何をしましたか。何を見たり、誰に聞いたりしましたか | 実際の行動、接点、相手 |
| 進み方・戻り方 | その次はどうしましたか。途中で戻った場面はありましたか | 順序、分岐、中断、待ち時間 |
| 判断 | そのとき、何を確かめて次へ進みましたか | 本人が説明した判断材料 |
| 気持ち | その場面では、どう感じましたか | 本人の表現と、その理由 |
| 終わり | どこで終わったと分かりましたか。その後にしたことはありますか | 完了の合図、残った作業、結果 |
行動・発言・解釈を、別の欄に置く
感情の上下を描くなら、本人の発言や本人が付けた評価と結び付けます。沈黙、声色、操作時間だけで不安や満足を決めません。異なる参加者の感情を一本の滑らかな曲線にすると、個別の違いが隠れることもあります。
| 情報の種類 | 書き方の例 | 扱い方 |
|---|---|---|
| 本人が説明した行動 | 通知を開き、修正箇所を探して同僚に聞いた | 本人による振り返り。観察で確認した行動とは分ける |
| 本人の発言 | 「どこを直すのか分からなくて困りました」 | 引用と原本の時刻を残す |
| 調査者の解釈 | 差し戻し理由が見つけにくい可能性 | 仮説と明記し、確認手段を決める |
| 未確認 | 当時のメール文面、完了画面、他の社員の経験 | 空欄を、問題なし・不満なしと読まない |
架空例:差し戻しのメールから、再申請まで
P01は出張翌日にアプリで申請し、2日後に差し戻しのメールを見ました。修正箇所が分からず、同僚にチャットで相談してから添付を追加しました。本人は「困った」と説明していますが、メールを実際に確認していないため、通知文のどこが問題だったかまでは言えません。
この記録から、すぐに「通知の文面を変更する」と決めるのではなく、まず当時の通知とアプリ画面を確認します。同僚への相談が重要な接点だったことも残します。再申請できたという行動だけでは、安心した・満足したとは判断しません。以下は教材用の架空例で、実際の利用者の発言ではありません。
1人の経験を、時系列シートにする
出来事を追加し、前後に動かして順番を整えられます。各行に行動、接点、発言、参照先、解釈、次の質問を残します。
架空の1人の経験を記入した見本です。入力はこのページ内で処理し、送信・保存しません。再読み込みで消えます。時期が不明でも無理に埋めず、本人の発言と解釈を分けてください。
記録票を持ち帰る
カスタマージャーニー:1人の経験をたどる記録票 参加者ID:P01(架空) 今回たどる経験の始まりと終わり:出張精算を始めてから、差し戻しを修正して再申請するまで 表示順は記入者が並べた順です。日時の自動推定・感情の推定・複数人の統合は行いません。 出来事 1 時期(不明なら不明のまま):出張の翌日 本人がしたこと:スマートフォンで領収書を撮影し、申請を送った 相手・接点・使った手段:経費アプリ/自分 本人が語った考え・気持ち(発言):「いつも通り送れば終わりだと思いました」 原本・時刻:架空面談 P01 04:20 調査者の解釈(仮説):申請後の確認を想定していなかった可能性 未確認事項・次の質問:完了画面に何が表示されたかを確認する 出来事 2 時期(不明なら不明のまま):2日後(本人の記憶) 本人がしたこと:差し戻しメールを見たが、修正箇所を見つけられず同僚に聞いた 相手・接点・使った手段:メール→アプリ→同僚とのチャット 本人が語った考え・気持ち(発言):「どこを直すのか分からなくて困りました」 原本・時刻:架空面談 P01 07:05 調査者の解釈(仮説):理由の見つけやすさに課題がある可能性。メールの文面は未確認。 未確認事項・次の質問:個人情報を隠した当時の通知を見せてもらえるか確認する 出来事 3 時期(不明なら不明のまま):同日 本人がしたこと:同僚の説明を聞いて添付を追加し、再申請した 相手・接点・使った手段:同僚/経費アプリ 本人が語った考え・気持ち(発言):未確認 原本・時刻:架空面談 P01 10:10 調査者の解釈(仮説):再申請できたことと、使いやすかったかは別の情報 未確認事項・次の質問:再申請時の気持ち、最終承認までの経緯は未確認 この記録は1人の経験です。典型像や市場全体へ一般化せず、異なる経路も残してください。
複数人をまとめるときも、異なる経路を消さない
改善の優先度は、インタビューで挙がった件数だけでは決められません。目的の達成をどれほど妨げるか、影響する利用者、別の手段があるか、追加で必要な証拠を並べて議論します。少人数の発言数を、そのまま利用者全体の発生率にはしません。
- 01
参加者ごとに並べる
まずは各参加者の出来事を独立した行として並べます。始まりと終わりが同じか、利用者の役割が同じかを確かめます。
- 02
実際に共通する段階を見つける
「認知・比較・購入」の枠を先に当てるのではなく、複数の記録に現れる出来事から段階に名前を付けます。待機、中断、別の手段への切り替えも残します。
- 03
違いが大きければ図を分ける
同じ段階や似た手順なら共通の図にまとめられます。異なる段階をたどる人がいるなら、別のマップや分岐で表し、無理に平均化しません。
- 04
元の発言へ戻れる状態で見直す
まとめた記述に参加者IDと参照先を添えます。記録にない段階は未確認とし、担当者の業務知識で補った箇所は仮説として区別します。
録音から、行動の順番と根拠を取り出す
Klangの分析に同意を得たインタビューの録音や文字起こしを追加し、「参加者ごとに、出来事、本人の発言、参照先、未確認事項を分けて」と依頼できます。時刻の順番は話した順番なので、経験が起きた順番とは限りません。参加者が後から思い出して補った出来事も、原本を確かめて配置します。
複数の面談を1つの分析に追加して共通点を質問することもできます。最初から全員を統合したマップだけを作らず、各参加者の記録を残してください。回答をドキュメントに保存した後も、引用、主語、時期、共有範囲は人が確認します。
マップの一文から、元の発言を確かめる
Klangで面談を文字起こしし、出来事ごとの発言と参照先を整理します。まず1人の記録から始め、聞けていない場面を次の質問につなげます。
- 参加者ごとの行動と発言を分けて整理
- 参照先を確認しながら要約を編集
- 複数の面談を比較し、共通点と例外を確認
よくある質問
カスタマージャーニーマップはテンプレートを埋めれば作れますか。
テンプレートは整理の器です。実際の経験を聞く前に埋めた内容は仮説として扱います。このページでは1人ずつ時系列を作り、複数の記録に共通する段階を確かめてからまとめます。
ペルソナとカスタマージャーニーの違いは何ですか。
ペルソナは目的や状況などから、対象者の特徴を整理するものです。ジャーニーは目的に向かう行動や接点の時間的な流れを整理します。人物像だけから、実際に通った手順や気持ちを推測して埋めないようにします。
感情の曲線を必ず入れる必要がありますか。
必須ではありません。本人が語っていない気持ちを推測で埋めるより、行動と接点、困った理由を根拠付きで残すほうが有用な場合があります。感情を記す場合は、本人の言葉や本人による評価と結び付けてください。
1人のインタビューだけで完成できますか。
1人の経験マップとしては作れますが、代表的な顧客像とは言えません。役割や経験の異なる対象者にも聞き、共通する流れと異なる経路を確認してください。
この時系列シートを保存できますか。
登録不要でコピーまたはTXT保存できます。入力はこのページ内だけで処理し、送信・保存しません。再読み込みで消えるため、作業の区切りで保存してください。