音声認識の出力(素起こしに近い状態)
言いよどみや繰り返しまで、そのまま文字になっています。
えーとですね、あのー、先ほどの、えー、ご質問の、 その、駅前の駐輪場の件なんですけども、 まあ、あの、今年度中にですね、 えー、200台分、200台分を、増設するという方向で、 あの、今、調整、調整をしているところでございまして、 えー、以上です。
速記
速記とは、簡単な線や点でできた速記符号や専用の機器を使って、人が話す言葉を話す速さのまま書き取り、それを読みやすい文章に直す技術です。日本では1882年に田鎖綱紀が日本語の速記法を発表し、1890年の帝国議会開設から国会の会議録づくりに使われてきました。速記の意味と歴史、国会速記と音声認識の関係、速記技能検定、文字起こし・反訳との違いを説明します。
公開日:更新日:執筆・運営:Klang AI AB
どれも「話し言葉を文字にする」ことに関わりますが、いつ・何から・誰が文字にするかが違います。
速記は「その場で書き取る」技術で、録音がなくても記録が残せる点が文字起こしとの大きな違いです。反訳はもともと速記符号を普通の文字に戻す作業を指し、今では録音を文字にする仕事にも使われます。
音声認識は音声を自動で文字にする技術で、文字起こしの道具の一つです。音声認識の出力をそのまま会議録にすることはできず、言いよどみを除き、読みやすい文に整える作業が別に必要です。
| 作業 | 何から文字にするか | タイミング | 主な担い手 |
|---|---|---|---|
| 速記 | その場の発言 | 発言と同時に書き取り、後で文章化 | 速記者 |
| 反訳 | 速記符号や録音 | 会議や取材の後 | 速記者、反訳者 |
| 文字起こし | 録音・録画 | 後から(AIなら数分) | 担当者、外注、AI |
| 音声認識 | 音声データ | リアルタイムまたは後から | ソフトウェア |
| 議事録 | 発言や文字起こし | 会議の後 | 書記、事務局 |
速記は、符号を紙に書く手書き速記と、機器で入力する機械速記の2つに分かれます。手書き速記の方式(速記法)は、現在は参議院式・衆議院式・中根式・早稲田式が代表的です。
方式がいくつもあるのは、書く画数を減らすために多くの人が工夫を重ねてきたためです。日本初の田鎖式は英語の速記法を日本語に当てはめたもので、一音を一画で表せず画数が多くなりました。その後の方式は、画数を減らして話す速さに追いつくことを目指しています。
| 種類 | 書き取り方 | 主な方式・機器 |
|---|---|---|
| 手書き速記 | 一音を少ない画数で表す速記符号を、紙に手で書く | 参議院式、衆議院式、中根式、早稲田式。日本初の方式は田鎖式 |
| 機械速記 | 専用の機器やパソコンで、発言を入力する | 速記専用タイプライター(ステンチュラ)、パソコン |
速記は2,000年以上前から、演説や議会の発言を残すために使われてきました。日本速記協会の資料をもとに、主な出来事を年表にしました。
日本速記協会によると、第1回の国会から完全な会議録が残っているのは、先進国の中では日本だけです。明治時代には新聞社も電話で記事を受ける「電話速記」に速記者を雇い、速記は報道にも欠かせない技術になりました。
| 年 | 出来事 |
|---|---|
| 紀元前63年 | ローマの元老院でのキケロの演説を、ティロが速記したとされる。現代の速記の起源とされる |
| 1588年 | イギリスのティモシー・ブライトが速記法を発明。近代速記法の起源とされる |
| 1837年 | アイザック・ピットマンが記音式速記法を発明 |
| 1882年(明治15年)9月19日 | 田鎖綱紀がグラハム式をもとに「日本傍聴記録法」を時事新報で発表 |
| 1882年(明治15年)10月28日 | 田鎖綱紀が東京で第1回講習会を開く。この日が「速記の日」になっている |
| 1884年(明治17年) | 三遊亭円朝の講談を速記した『怪談牡丹灯籠』が出版され、言文一致運動を後押し |
| 1890年(明治23年) | 帝国議会の開設と同時に、貴族院・衆議院で速記が採用される |
| 1914〜1947年 | 中根式(1914)、早稲田式(1930)、衆議院式(1939)、参議院式(1947)が生まれる |
| 2011年5月 | 衆議院で、音声認識を使った新しい会議録作成システムが本格運用を始める |
京都大学の発表(2011年)によると、今世紀に入って衆参両院で速記者の新規採用と養成が停止され、新しい会議録の作り方が模索されました。衆議院では約1年の試行を経て、2011年5月に音声認識を使うシステムが本格運用されています。
このシステムは、本会議や委員会の審議音声を自動で認識して草稿を作り、速記者がそれを専用のエディタで修正・編集して会議録の原稿にする仕組みです。開発した河原達也教授の論文(2012年)では、12年分の会議録と約1,000時間の審議音声で学習させ、約90%の文字正解率を実現したと報告されています。
同じ発表は、音声認識には一定の誤りが避けられず、話し言葉を忠実に書き起こしても会議録にはならないため、速記者・校閲者の役割はなくならないと述べています。速記の仕事は「符号で書き取る」ことから「機械が書き取った草稿を、正確で読める記録に仕上げる」ことへ重心が移っています。
速記者や会議録の担当者が何をしているかは、同じ発言を並べると分かります。架空の市議会の答弁を例に、音声認識の出力と、会議録として整えた文を比べました。
この「意味を変えずに読める文にする」判断が、速記者が長年担ってきた仕事の中心です。AIで文字起こしをする場合も、この工程は人が確認する必要があります。
言いよどみや繰り返しまで、そのまま文字になっています。
えーとですね、あのー、先ほどの、えー、ご質問の、 その、駅前の駐輪場の件なんですけども、 まあ、あの、今年度中にですね、 えー、200台分、200台分を、増設するという方向で、 あの、今、調整、調整をしているところでございまして、 えー、以上です。
発言者の肩書と氏名を付け、意味を変えずに言いよどみと繰り返しを除いています。
○都市整備部長(山田一郎君) ただいまの駅前駐輪場についての御質問にお答えいたします。 今年度中に200台分を増設する方向で、現在調整を進めているところでございます。 以上です。
速記技能検定は、公益社団法人日本速記協会が実施している速記の技能検定で、初心者向けの6級から、職業として速記を使う人向けの1級まで6段階あります。
試験では、読み上げられた文章を速記で書き取り、決められた時間内に普通の文章に反訳します。受験料や会場は回ごとに変わるため、申し込み前に日本速記協会の案内を確認してください。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 実施団体 | 公益社団法人日本速記協会 |
| 級 | 6級〜1級の6段階 |
| 試験日 | 2月・5月・8月・11月の最終日曜日(年4回) |
| 反訳時間 | 1級・2級は130分、3級〜6級は60分 |
| 次回 | 第235回:2026年11月29日(日) |
| オンライン | 第236回(2027年2月)から3級〜6級でIBT方式を実施予定 |
会議録や講演の記録を作るためだけなら、録音とAIの文字起こしで代わりがききます。一方で、日本速記協会は、録音しない場面で手早く書き取る技術として、電話応対のメモ、新聞記者の取材、授業の筆記への活用を挙げています。
日本速記協会は、耳で聞いた文章を文字に変える練習が国語力を高めるとも紹介しています。仕事の記録の手段としてではなく、聞き取って書く力を鍛える目的なら、今から学ぶ意味は十分にあります。
会議や講演の録音がすでに手元にあるなら、速記を覚えるより、録音を文字起こしするほうが早く全文が手に入ります。KlangのフリープランはAIの文字起こしが無制限で、録音ファイルをアップロードするだけで、時刻つきの全文になります。
| 場面 | 向いている方法 | 理由 |
|---|---|---|
| 電話応対のメモ | 速記 | 相手の話を聞きながら、その場で要点を書き留められる |
| 授業・講義の筆記 | 速記、または録音 | 録音が禁止されている授業では、手で書き取るしかない |
| 会議・講演の記録 | 録音と文字起こし | 録音があれば、後から全文を確かめられる。発言者や数字を聞き直せる |
| 議会・審議会の会議録 | 録音と文字起こし+人の校正 | 衆議院も音声認識の草稿を速記者が直す方式に移っている |
会議や取材で毎回速記を使う人は少なくなりましたが、速記が大切にしてきた考え方は、AIで記録を作るときにもそのまま役立ちます。
速記はその場で書き取ることで、記憶に頼らない記録を残してきました。今なら録音しておけば、聞き逃した発言を後から確かめられます。
会議録は「誰が言ったか」が欠けると使えません。AIの文字起こしでも、発言者の名前は人が最後に確認します。
読みやすくするために言いよどみを除いても、発言の意味や語尾の強さは変えない。これは整文の基本です。
音声認識が最も間違えやすいのは数字・人名・地名です。資料や本人に確認してから確定します。
Klangは会議や講演の録音から文字起こしと要約を作成し、フリープランでも文字起こしは無制限です。文字起こしの各行から元の音声を再生できるので、数字や固有名詞を聞き直して会議録に仕上げられます。
速記とは、簡単な符号や専用の機器を使って、人が話す言葉を話す速さのまま書き取り、後で普通の文章に直す技術です。日本速記協会は、符号を解読して整った文章に書き直す作業までを含めて速記と説明しています。
速記は発言をその場で書き取る技術で、録音がなくても記録を残せます。文字起こしは録音や録画を後から聞いて文字にする作業で、現在はAIの音声認識で下書きを作ることが一般的です。
京都大学の2011年の発表によると、今世紀に入って衆参両院で速記者の新規採用と養成は停止されました。衆議院では2011年5月から、音声認識で作った草稿を速記者が修正・編集して会議録の原稿にする方式が本格運用されています。
符号を紙に書く手書き速記と、速記専用タイプライター(ステンチュラ)やパソコンで入力する機械速記があります。手書き速記の方式は、参議院式・衆議院式・中根式・早稲田式が代表的です。
速記で書き取った発言を、普通の文章に反訳した記録です。日本では1890年の帝国議会開設から、議会の会議録がこの方法で作られてきました。
会議録を作るためだけなら、録音とAIの文字起こしで代わりがききます。一方で、電話応対のメモや取材、録音できない授業の筆記など、その場で書き取る必要がある場面では今も役立ちます。日本速記協会は、聞いて書く練習が国語力を高めるとも紹介しています。
速記の日は10月28日です。1882年(明治15年)10月28日に田鎖綱紀が東京で日本語速記の第1回講習会を開いたことにちなみ、日本速記協会が定めました。
速記技能検定は6級から1級までの6段階です。日本速記協会が年4回(2月・5月・8月・11月の最終日曜日)実施しており、1級は職業として速記を使う人向けの級とされています。