聞こえにくさと文字起こし
聴覚障害・難聴のある人の文字起こし:その場の字幕アプリと、録音からの全文記録
会話をその場で文字にする無料の音声文字変換アプリ、Web会議の字幕、要約筆記やノートテイクといった人による支援、そして会議や講義のあとで全文を読み返すための録音の文字起こし。聞こえにくい人が使える方法を、何がその場で読めて、何が記録として残るかで整理します。
更新日:執筆・運営:Klang AI AB
聴覚障害・難聴の人向けの無料アプリ:会話をその場で文字にする音声文字変換
聴覚障害・難聴の人が対面の会話や窓口で使えるアプリは、スマートフォンのマイクで声を拾い、画面に文字を出す音声文字変換のアプリや標準機能です。主なものは5つで、どれも無料で使い始められます。どのアプリも、聞き違いが起きることを前提に使うよう案内しています。
| アプリ | 使える端末 | 料金 | 公式情報でわかること |
|---|---|---|---|
| iPhoneのライブキャプション | iPhone 11以降(iOSの標準機能) | 無料 | 日本語に対応。対面の会話も、iPhoneで再生している音声も文字にできる。Appleは危険性の高い場面や緊急時には頼らないよう注意している |
| 音声文字変換&音検知通知(Google) | Androidスマートフォン。Pixelなどには最初から入っている(複数言語のオフライン利用はAndroid 12以降) | 無料(Google Play) | 80以上の言語と方言に対応。オフラインで使うには言語のダウンロードが必要。履歴は最大3日間保存 |
| UDトーク | iPhone・Android・Amazon端末 | 商用でも無料(法人向けプランあり) | 会話をその場で字幕にする。法人向けプランの内容は公式サイトで案内 |
| こえとら | iPhone・Android | 無料 | 情報通信研究機構(NICT)が開発し、現在は株式会社フィートが提供。2026年もアップデートが続いている |
| YYProbe | iPhone(App Store) | 無料(無料版は利用時間などに制限、法人版あり) | 会話をリアルタイムで文字にする。同じ会社の「YY文字起こし」とは別のアプリ |
Web会議の字幕:Teams・Zoom・Google Meetは日本語に対応
Teams・Zoom・Google Meetは、どれも日本語の字幕を表示できます。違いが出るのは、字幕があとに残るかどうかです。
| サービス | 日本語の字幕 | 字幕はあとに残るか |
|---|---|---|
| Microsoft Teams(ライブキャプション) | 対応。話し言葉の設定を実際の言語にそろえると精度が上がる | 保存されない。記録が必要なら、会議の文字起こしをオンにする |
| Zoom(自動字幕) | 対応。有料アカウントでは初期設定で有効。Zoomは精度が完全でないと注意している | 字幕は画面表示のための機能。全文を残すなら録画やトランスクリプトを使う |
| Google Meet(自動字幕起こし) | 対応 | 字幕は、オンにした本人の画面に、オンにしていた間だけ表示される |
要約筆記・ノートテイク:人による文字の支援
アプリの字幕は話した言葉をそのまま文字にしますが、固有名詞や重なった声では誤りが出ます。人による支援は、話の要点をつかんで伝えられるのが強みです。
| 支援 | どんなものか | 申し込み先 |
|---|---|---|
| 要約筆記 | 話し手の話す内容を要約し、ノートやパソコンなどで文字にして伝える。主に中途失聴・難聴の人のための意思疎通支援。要約筆記者は、自治体などの養成研修を修了した人が務めます | お住まいの市区町村の障害福祉の窓口 |
| ノートテイク | 大学の授業中の音の情報を、手書きで書き取って伝える。多くの場合、学生が2人以上で担当する | 在籍する大学の障害学生支援の窓口 |
| パソコンノートテイク | パソコンで入力して伝える。1人で入力する方法と、複数人で1つの文を作る連係入力がある。遠隔での入力もできる | 在籍する大学の障害学生支援の窓口 |
職場と大学の合理的配慮:会議の文字情報をどう用意するか
改正障害者差別解消法が2024年4月1日に施行され、民間の事業者にも合理的配慮の提供が義務になりました。雇用の場では、障害者雇用促進法により、2016年4月から事業主に合理的配慮の提供が義務づけられています。
厚生労働省の合理的配慮指針は、聴覚・言語障害のある人への配慮の例として、面接を筆談などで行うこと、業務の指示や連絡に筆談やメールを使うことなどを挙げています。会議でどんな配慮をするかは、本人と話し合って決めます。
会議の配慮には、たとえば次の組み合わせがあります。資料を前日までに共有する、話す前に名前を言ってもらう、一人ずつ話す、その場は字幕アプリかWeb会議の字幕を使う、会議のあとに文字起こしの全文と要約を共有する。録音して文字起こしする場合は、参加者に録音の目的を伝えておきます。
会議や講義のあとで全文を読み返す:録音の文字起こし
その場の字幕は、読んでいるあいだに話し手の顔や資料を見られません。会議や講義を録音して文字起こししておけば、あとから自分のペースで全文を読めます。字幕アプリと組み合わせて使う方法です。
文字起こしにも誤りは残ります。聞こえにくい人は元の音声で確かめるのが難しいため、金額・日付・決定事項は、司会や同僚に文字で確認してもらう決まりにしておくと安心です。
| いつ | すること | 使うもの |
|---|---|---|
| 会議の前日 | 司会が議題と資料を共有する | メール・チャット |
| 会議中 | 本人は字幕を読みながら参加する。司会は録音し、話す人は名前を言ってから話す | Teamsのライブキャプション、スマートフォンの録音 |
| 会議の直後 | 録音を文字起こしし、要約と決定事項を作る | Klang(話者の自動識別はプロプラン) |
| 当日中 | 本人が全文を読み、字幕で読み取れなかった箇所と決定事項を確かめる。数字や日付は司会に確認する | 文字起こしの全文・要約 |
大学の講義:ノートテイクと録音の文字起こしを組み合わせる
講義中はノートテイクや字幕アプリで内容を追い、録音の文字起こしは復習と試験前の見直しに使う、という分け方ができます。録音は、担当の教員と大学の支援窓口の了承を得てから行います。
- 01
支援窓口に相談する
ノートテイクやパソコンテイクの手配と一緒に、講義の録音と文字起こしを使いたいことを伝えます。
- 02
講義を録音する
教壇に近い席でスマートフォンやICレコーダーで録音します。オンライン講義なら、録画を使える場合があります。
- 03
文字起こしで復習する
時刻つきの全文を読み、ノートテイクのメモと照らして、聞き取れていなかった説明を補います。
Klangでできること・できないこと
- 01
できる:録音・録画の文字起こし
mp3・m4a・wav・mp4などのファイルをアップロードすると、時刻つきの全文になります(1ファイル10GBまで、フリープランでも時間の上限なし)。
- 02
できる:話者の区別と要約
プロプランの話者の自動識別で、誰の発言かが分かれます。要約と決定事項も自動で作られます。
- 03
できる:Web会議の記録
Zoom・Teams・Google Meetの会議に会議ボットが参加して記録し、会議のあとに文字起こしを作ります。
- 04
できない:その場の字幕
Klangには、話している最中に字幕を表示する機能はありません。その場の字幕には、上で紹介したアプリやWeb会議の字幕を使ってください。
会議や講義を、あとから全文で読めるように
Klangは録音や録画をアップロードすると、時刻つきの全文と要約を作ります。フリープランでも文字起こしの時間に上限はありません。会話データはAIモデルの学習に使いません。リアルタイムの字幕機能はありません。
- フリープラン0円(税込)・クレジットカード不要
- 話者の自動識別はプロプラン(7日間の無料トライアルあり)
- 日本語・英語を含む17言語(翻訳はしません)
よくある質問
聴覚障害のある人向けの、無料の音声文字変換アプリは?
iPhoneのライブキャプション(iPhone 11以降、日本語対応)、Androidの「音声文字変換&音検知通知」、UDトーク、こえとら、YYProbeなどがあり、どれも無料で使い始められます。UDトークとYYProbeには法人向けの有料プランもあります。どのアプリも聞き違いは起きるため、大事な数字や日付は文字で確認してもらいます。
iPhoneのライブキャプションは日本語に対応していますか?
対応しています。Appleの機能の提供状況のページで、ライブキャプションの対応言語に日本語が含まれています。iPhone 11以降で使え、対面の会話も、iPhoneで再生している音声も文字にできます。
Teamsの字幕を、会議のあとで読み返せますか?
Teamsのライブキャプションは保存されません。会議のあとに読み返すには、会議の文字起こしをオンにするか、録音を文字起こしします。
要約筆記はどこに頼めますか?
お住まいの市区町村の障害福祉の窓口に申し込みます。要約筆記者の派遣は、市区町村が行う意思疎通支援の事業です。利用の条件や費用は市区町村ごとに決められています。大学の授業なら、在籍する大学の障害学生支援の窓口に相談します。
Klangでリアルタイムの字幕は出せますか?
出せません。Klangは録音や録画をあとから文字起こしするサービスで、話している最中に字幕を表示する機能はありません。その場の字幕はスマートフォンのアプリやWeb会議の字幕を使い、Klangは会議や講義のあとに全文を読み返すために使ってください。
聴覚障害のある人は、日本にどのくらいいますか?
厚生労働省の令和4年の調査では、身体障害者手帳を持ち在宅で暮らす人のうち、聴覚・言語障害の人は約37.9万人と推計されています。手帳を持たない難聴の人はさらに多く、日本補聴器工業会の調査(JapanTrak 2022)では、難聴を自覚している人は回答者の10.0%でした。
参考にした公式情報
2026年11月2日時点で内容を確認しています。制度や資料は改定されることがあるため、実務では最新版を確認してください。