メインコンテンツへスキップ

保険薬局の記録

トレーシングレポートと薬歴を、服薬指導の会話から下書き。事実は会話から拾い、評価と提案は薬剤師が書く。

トレーシングレポート(服薬情報提供書)は、薬局で聞き取った急ぎではない情報を処方医に文書で伝える報告書です。薬歴は、患者さんごとの服薬状況と指導の要点の記録です。どちらも材料は服薬指導の会話にあります。同意を得て録音すると、AIが文字起こしをして、レポートの「事実・評価・提案」と薬歴のSOAPの下書きを作ります。フリープランは文字起こし無制限で¥0、クレジットカードは不要です。

無料で服薬指導から下書きを作るフリープランは文字起こし無制限・1ファイル10GB・クレジットカード不要(話者の自動識別はプロプラン)

田中様_服薬指導_1020.m4a

7分 ・ スマートフォンで録音 ・ 文字起こし完了

  • 01:05田中様夕食後の薬、つい忘れちゃって。たぶん10錠くらい余ってます。
  • 02:40田中様家で血圧を測ると、上が100とか105のときが何回かありました。
  • 04:50田中様夕食後のも、朝に一緒に飲めたら忘れないと思うんですけど。

※ 画面はイメージです。内容は架空の服薬指導の例です。話者の自動識別はプロプランの機能です。

結論:服薬指導の録音1本から、レポートと薬歴の下書きが作れます

トレーシングレポート
調剤後の、急ぎではない処方医への情報提供です。疑義照会ではありません。事実・評価・提案を分けて書きます。
薬歴のSOAP
Sと、Pのうち実際に伝えた指導は会話から拾えます。A(評価)と今後の方針は薬剤師が書きます。
薬剤師の仕事とAI
調剤の責任、疑義照会、服薬指導は薬剤師に残ります。AIに移るのは対物業務の一部と、記録の下書きです。

投薬口で録音の了承をもらうところから、電子薬歴と病院の様式に写すところまでの流れです。評価と報告の判断は、最初から最後まで薬剤師が行います。

  1. ステップ1

    録音の了承と、病院へ伝える同意を聞く

    「記録のために録音します。薬局の外には出しません」と伝え、返事を聞いてから録音を始めます。報告が必要になりそうな話が出たら、「先生にお伝えしてよいですか」とその場で聞くと、同意も録音に残ります。

    録音ファイルのアップロード手順(ヘルプ)
  2. ステップ2

    スマートフォンで服薬指導を録る

    Klangアプリで録音を始め、スマートフォンを投薬台の上、患者さんと薬剤師のあいだに置きます。1人の患者さんにつき1つの録音にして、次の方を呼ぶ前に止めます。

    文字起こしの確認と修正(ヘルプ)
  3. ステップ3

    薬歴とレポートの見出しで下書きを作る

    「S/O/A/Pで薬歴の下書き。Aは空けて、会話から拾える材料だけ」「報告の分類/内容(事実)/薬剤師の評価/提案」のように見出しを指示します。指示は保存して、次の患者さんにも使えます。

    分析と要約の作り方(ヘルプ)
  4. ステップ4

    薬剤師が確かめて、電子薬歴と病院の様式に写す

    文をクリックすると、その箇所の音声が流れます。数値・日付・薬剤名を聞き直し、評価と提案は薬剤師が書いてから、電子薬歴と各病院の様式(Excel・PDF)に貼ります。

    書き出しの手順(ヘルプ)

トレーシングレポートは、保険薬局の薬剤師が服薬指導やテレフォンフォローで聞き取った情報のうち、急ぎではないが処方医に知っておいてほしいことを、文書で伝える報告書です。「服薬情報提供書」とも呼ばれ、薬局と病院の薬剤師の連携(薬薬連携)の道具として、病院や地域ごとに運用が決められています。

  • 項目

    いつ

    疑義照会
    調剤の前。確かめるまで調剤できない
    トレーシングレポート
    調剤の後。次の診察までに伝わればよい
  • 項目

    何を

    疑義照会
    処方箋の疑わしい点(用量、相互作用、重複など)
    トレーシングレポート
    服薬状況、残薬、副作用が疑われる症状、市販薬、他院の受診など
  • 項目

    根拠

    疑義照会
    薬剤師法第24条(処方せん中の疑義)
    トレーシングレポート
    医薬品医療機器等法第1条の5第2項の医療提供施設間の情報提供(努力義務)と、各病院・地域の運用
  • 項目

    手段

    疑義照会
    電話が基本
    トレーシングレポート
    病院の様式に書いて、薬剤部あてにFAXなど
  • 項目

    医師の返事

    疑義照会
    必要(回答を得てから調剤)
    トレーシングレポート
    病院による。愛媛県の手順書では返信は努力義務

薬剤師法 第24条(処方せん中の疑義)

「薬剤師は、処方せん中に疑わしい点があるときは、その処方せんを交付した医師、歯科医師又は獣医師に問い合わせて、その疑わしい点を確かめた後でなければ、これによつて調剤してはならない。」

迷ったときは「この情報がないと、今日の調剤を進められないか」で分けます。進められないなら疑義照会、次の診察で医師に見てもらえば足りるならトレーシングレポートです。愛媛県と広島県の手順書、日本大学医学部附属板橋病院の様式は、いずれも「トレーシングレポートは疑義照会ではない」と明記しています。

よくある報告の種類と、書き方の例文

報告の種は、たいてい服薬指導の雑談のような一言に出てきます。種類ごとに、会話のどこに出てきやすいかと、レポートに書くときの例文を1行でまとめました。

  • 報告の種類

    アドヒアランス(飲み忘れ・自己中断)

    会話のどこに出てくるか
    「つい忘れちゃって」「調子がいいからやめてた」
    書き方の例文
    夕食後薬の飲み忘れが週3回程度あり、服用時点の変更をご希望です。
  • 報告の種類

    残薬

    会話のどこに出てくるか
    「家にまだたくさんある」「余ってる」
    書き方の例文
    ロスバスタチン錠の残薬が約10日分あります。次回処方での日数調整をご検討ください。
  • 報告の種類

    副作用が疑われる症状

    会話のどこに出てくるか
    「先月からふらっとする」「足がつる」など、時期つきの体調の話
    書き方の例文
    9月下旬から起立時のふらつきがあり、家庭血圧で収縮期100〜105mmHgが数回ありました。
  • 報告の種類

    OTC・サプリメント・健康食品

    会話のどこに出てくるか
    「ドラッグストアで買った」「娘に勧められて飲んでいる」
    書き方の例文
    10月から市販の鎮痛薬(ロキソプロフェン)を膝の痛みで時々服用されています。
  • 報告の種類

    他院の受診・併用薬

    会話のどこに出てくるか
    「整形外科でも薬をもらってる」「歯医者で抗生物質が出た」
    書き方の例文
    他院(整形外科)でセレコキシブが処方されていることをお薬手帳で確認しました。
  • 報告の種類

    吸入・自己注射などの手技

    会話のどこに出てくるか
    「吸った感じがしない」「針を刺すのが怖い」と、実演してもらったときの様子
    書き方の例文
    吸入後のうがいができておらず、手技を再指導しました。次回受診時にもご確認をお願いします。
  • 報告の種類

    剤形・飲みにくさ

    会話のどこに出てくるか
    「錠剤が大きくて」「粉は飲みにくい」
    書き方の例文
    錠剤が大きく飲みにくいとの訴えがあり、口腔内崩壊錠への変更をご検討ください。
  • 報告の種類

    リフィル処方箋の2回目以降の状況

    会話のどこに出てくるか
    「前回から変わりはない」「体調が変わった」と、前回からの経過
    書き方の例文
    リフィル処方箋2回目の調剤時、服薬状況は良好、副作用を疑う症状はありませんでした。

例文の薬剤名と数値は説明のための例です。実際の報告では、薬剤名・規格・数値・時期を、患者さんの話とお薬手帳・薬歴で確かめてから書いてください。

リフィル処方箋の2回目を受け取りに来た患者さんとの、7分の架空の服薬指導です。同じ録音から、Klangが処方医へのトレーシングレポートと、薬歴のSOAPの2つの下書きを作りました。レポートは薬剤師が確かめて病院の様式に写した結果、薬歴は評価(A)を空けた下書きの段階です。人物・薬局・病院はすべて架空です。

リフィル処方箋2回目の服薬指導(2026年10月20日・7分)さくら通り薬局(架空)の投薬カウンターで、薬剤師がスマートフォンのアプリで録音した例です。患者の田中和子様(72歳・架空)と、薬剤師の中村。話者名は、プロプランの話者の自動識別で分けた発言に名前を付けたものです。

文字起こし(抜粋)

  1. 00:15薬剤師 中村記録のために録音しますね。今日伺ったことで大事なことは、山口先生にもお伝えしてよろしいですか。
  2. 00:24田中様はい、先生に伝えてもらえると助かります。確認1
  3. 01:05田中様夕食後の薬、つい忘れちゃって。たぶん10錠くらい余ってます。確認2
  4. 02:10田中様朝の薬は毎日飲んでます。ただ、先月の終わりごろから、立ち上がるときにふらっとすることがあって。
  5. 02:40田中様家で血圧を測ると、上が100とか105のときが何回かありました。確認3
  6. 03:20薬剤師 中村転んだり、気を失いそうになったりしたことはありますか。
  7. 03:26田中様それはないです。少し座っていれば治まります。
  8. 04:50田中様夕食後のも、朝に一緒に飲めたら忘れないと思うんですけど。
  9. 05:40田中様次の受診は11月の終わり、たしか26日です。確認4
  10. 06:20薬剤師 中村血圧は毎朝測って手帳に書き、次の受診に持っていってください。ふらつきが強くなったり転んだりしたら、早めに受診してくださいね。

出力1:Klangの下書きを薬剤師が仕上げたトレーシングレポート(架空)

保険薬局 → 処方医

服薬情報提供書(トレーシングレポート)

宛先
青葉台総合病院(架空) 循環器内科 山口 先生 御侍史(薬剤部 経由)
報告日
2026年10月20日(火)
患者
患者ID 0012-3456 田中 和子 様(72歳・女性)
保険薬局
さくら通り薬局(架空) 担当薬剤師 中村
患者の同意
得た(2026年10月20日、服薬指導時に口頭で)
処方
  • リフィル処方箋(総使用回数3回)の2回目。1回目の調剤は2026年9月22日
  • アムロジピン錠5mg 1日1回 朝食後、ロスバスタチン錠2.5mg 1日1回 夕食後(各28日分)
報告の分類
  • 服薬状況(アドヒアランス)(該当)
  • 残薬(該当)
  • 副作用が疑われる症状(該当)
  • OTC・サプリメント(該当なし)
  • 他院の受診・併用薬(該当なし)
  • その他(該当なし)
内容(事実)
  • 夕食後のロスバスタチンの飲み忘れが多く、残薬は約10錠(ご本人の申告)[01:05]
  • 朝食後のアムロジピンは毎日服用している[02:10]
  • 9月下旬から、立ち上がるときのふらつきがある。家庭血圧で収縮期100〜105mmHgが数回[02:40]
  • 転倒・失神はない。座ると治まる[03:26]
  • 「夕食後の薬も朝に一緒に飲めたら忘れない」とのご希望[04:50]
薬剤師の評価
  • 起立時のふらつきと家庭血圧の低下から、降圧薬の効果が強く出ている可能性が考えられます。転倒・失神がないため、緊急性は低いと判断しました。
  • 残薬は飲み忘れによるもので、服用時点が夕食後であることが一因と考えます。
提案
  • 次回受診時に家庭血圧の記録をご確認いただき、降圧薬の用量のご検討をお願いいたします。
  • ロスバスタチンの服用時点を朝食後にまとめることをご検討ください。
  • 残薬約10日分について、次回処方での日数調整をご検討ください。
薬局での対応
  • 処方どおり調剤しました
  • 家庭血圧を毎朝記録し、次回受診時に持参するよう説明しました
  • ふらつきが強くなる、転倒した、などのときは早めに受診するよう伝えました
次回受診予定
2026年11月26日(木)(ご本人の申告)

本報告は疑義照会ではありません。緊急性のある内容は、別途お電話でご連絡します。

出力2:同じ会話から作った薬歴のSOAPの下書き(Aは空けたまま)

S(患者の話)
  • 夕食後の薬の飲み忘れが多い。残りは約10錠(本人の申告)[01:05]
  • 朝の薬は毎日服用[02:10]
  • 9月下旬から立ち上がるときにふらつく。家庭血圧で上が100〜105のときが数回[02:40]
  • 転倒・失神はない。座ると治まる[03:26]
  • 夕食後の薬も朝にまとめたいとの希望[04:50]
O(客観的な情報)
  • 残薬:今回は持参なし。数は未確認
  • 処方内容・用量・リフィルの回数:会話には含まれないため、処方箋とレセコンの記録から転記してください
A(薬剤師の評価)
  • 薬剤師が記載する欄です。会話から拾えた材料:起立時のふらつきと家庭血圧の値、夕食後の飲み忘れ、服用時点の希望
P(指導した内容と今後の方針)
  • 家庭血圧を毎朝記録し、次回受診時に持参するよう説明した[06:20]
  • ふらつきが強くなる、転倒したときは早めに受診するよう説明した[06:20]
  • 処方医への情報提供の要否と次回の確認事項:薬剤師が記載

[ ] 内の時刻は、Klangの下書きに残る発言の位置です。病院へ送る前、薬歴に貼る前に消します。

送る前・薬歴にする前に薬剤師が確認すること

  1. 確認100:24 病院へ伝えることへの同意です。録音の了承とは別に聞いています。報告書の同意欄は、この返事を聞いてから「得た」にします。
  2. 確認201:05 「10錠くらい」はご本人の記憶です。次回持参してもらう、または薬局で数えるなど、確かめた数をレポートと薬歴の両方に書きます。
  3. 確認302:40 血圧の数値と時期は、そのまま医師の判断材料になります。家庭血圧の手帳を見せてもらえるなら、日付つきで書き写します。
  4. 確認405:40 「たしか26日」は予約票やお薬手帳で確かめます。ふらつきの経過によっては、次回受診を待たずに電話で連絡するかどうかを薬剤師が判断します。

レポートの事実の欄には、患者さんの言葉と数値を、解釈を加えずに書きます。「降圧薬の効果が強く出ている可能性」は薬剤師の評価なので、評価の欄に分けます。医師がいちばん困るのは、事実と推測が一文に混ざった報告です。薬歴では同じ聞き取りがSに入り、評価はAに薬剤師が書きます。聞き取りは1回、書く記録は2つ、という形です。

Klangは、ふらつきが副作用かどうか、緊急かどうかを判断しません。レポートの評価と提案、薬歴のAと方針は、薬剤師が自分の知識と判断で書く前提です。下書きには発言の時刻が残るので、「10錠くらい」「100とか105」がどの言い方だったかを、音声ですぐ聞き直せます。

トレーシングレポートには全国共通の様式はなく、処方箋を発行した病院や地域の取り決めに従います。下の資料は、2026年10月20日に各病院・団体の公開ページで確認したものです。

送り方は、病院の薬剤部あてにFAXするのが一般的です。愛媛県の手順書は、レポートが個人情報を含むため、FAXの送り先を十分に確かめるよう注意しています。広島県の運用では、病院薬剤部が内容を処方医に伝え、病院での対応をレポートの下部に書いて送信元の薬局に返信します。

リフィル処方箋とトレーシングレポート

厚生労働省「保険調剤の理解のために(令和8年度)」は、リフィル処方箋で調剤した場合、調剤した内容や患者の服薬状況等を必要に応じて処方医へ情報提供するとしています。調剤が不適切と判断したときは、調剤を行わず、受診を勧めるとともに処方医に情報提供します。予定の時期に患者が来局しないときも、必要に応じて処方医へ情報提供します。

服薬情報等提供料

同じ資料によると、服薬情報等提供料は、調剤後も服用薬や服薬状況を把握して医療機関に伝えることで、医師の処方設計などの参考にする目的の評価です。医療機関から求めがあった場合(1)と、薬剤師が必要性を認めた場合(2)などに分かれ、リフィル処方箋による調剤後に処方医へ文書で伝える場合も含まれます。いずれも患者の同意と文書による提供が前提で、残薬を伝えるときは、今後残薬が生じないための内容もあわせて書くこととされています。

出典:厚生労働省保険局医療課医療指導監査室「保険調剤の理解のために(令和8年度)」(2026年10月20日確認)。同資料は令和8年度当初の時点の内容に基づいています。点数は令和8年度の改定で変わっているため、このページでは書いていません。算定は最新の告示・通知と疑義解釈で確かめてください。

薬歴(薬剤服用歴、服薬歴とも)は、患者さんごとに、処方・調剤の内容、体質、併用薬、服薬状況、行った指導の要点を積み重ねた記録です。SOAPは、S(患者の話)、O(客観的な情報)、A(薬剤師の評価)、P(指導と今後の方針)に分けて書く形式です。AIを使うときに大事なのは、どの欄が会話から作れて、どの欄が作れないかです。

  • 欄

    S(患者の話)

    会話から拾えるもの
    体調の変化、飲み忘れや飲み方の申告、残薬の申告、市販薬・サプリ・健康食品、生活の様子、相談事項
    薬剤師が書くもの
    どれを残すかの取捨選択。通知は、聞いたことを全部ではなく要点を書くことで差し支えないとしています
  • 欄

    O(客観的な情報)

    会話から拾えるもの
    投薬口で残薬を数えて口に出した数、患者さんが読み上げた検査値、見た様子を薬剤師が言葉にした部分
    薬剤師が書くもの
    処方内容と用量(処方箋・レセコン)、お薬手帳やオンライン資格確認で得た情報、疑義照会の結果
  • 欄

    A(薬剤師の評価)

    会話から拾えるもの
    薬剤師が会話の中で口にした気づき。評価の材料にはなっても、評価そのものではありません
    薬剤師が書くもの
    相互作用や副作用の可能性、服薬状況の評価、処方の妥当性。ここは会話から作らず、薬剤師が書きます
  • 欄

    P(指導と今後の方針)

    会話から拾えるもの
    投薬口で実際に伝えた説明と注意、患者さんにお願いしたこと(次回の残薬持参など)
    薬剤師が書くもの
    次回の確認事項、処方医への情報提供や疑義照会をするかどうか、継続的な指導の留意点

記録を求めているのは法律と調剤報酬の両方です。薬剤師法第28条は調剤録の備え付けと3年間の保存を、医薬品医療機器等法第9条の4第6項と同法施行規則第15条の14の3は、情報提供・指導の年月日と内容の要点などの記録を定めています。保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則第8条第2項は、調剤のときに服薬状況と薬剤服用歴を確認することを求めています。留意事項通知(令和8年3月5日 保医発0305第6号)の薬学管理料の通則は、薬剤服用歴等に少なくとも次の事項を書くとしています。SOAPという書式の指定はありません。

  1. 患者の基礎情報(氏名、生年月日、性別、被保険者証の記号番号、住所など)
  2. 処方と調剤の内容(医療機関名、処方医、処方日、調剤日、調剤した薬剤、照会の要点など)
  3. 体質(アレルギー歴、副作用歴など)、薬学的管理に必要な生活像、後発医薬品についての意向
  4. 疾患に関する情報(既往歴、合併症、他科で治療中の疾患)
  5. 併用薬(一般用医薬品、医薬部外品、健康食品を含む)と、相互作用のある飲食物
  6. 服薬状況と残薬状況(残薬がないときは、その旨)
  7. 服薬中の体調の変化と、患者や家族からの相談事項の要点
  8. 手帳を使ったかどうか(使わなかったときは理由と指導の有無)
  9. 今後の継続的な薬学的管理と指導の留意点
  10. 指導した保険薬剤師の氏名

通則の項目を短く言い換えたものです。原文は厚生労働省「保険調剤の理解のために(令和8年度)」で、条文はe-Gov法令検索で2026年10月20日に確認しました。

個別指導で指摘されやすい薬歴の書き方

北海道厚生局の令和7年度の資料では、新規個別指導と個別指導を受けた52の薬局について、薬学管理料に関する指摘のうち「薬剤服用歴の記録」が110件(32.0%)で、項目別で最も多くなっています。

薬剤服用歴の記録の主な指摘(令和7年度)

  • 服薬状況(残薬の状況を含む)の記載がない、不適切または不十分
  • 体質、薬学的管理に必要な生活像、後発医薬品についての意向の記載が不十分
  • 特に安全管理が必要な医薬品について、確認した内容と指導の要点の記載が不十分
北海道厚生局「令和7年度 新規個別指導・個別指導に係る指摘事項の概要」

令和8年度の資料が挙げる指摘の例

  • 薬剤服用歴等への記載が、指導後速やかに完了していない
  • 併用薬、残薬、体調の変化について、単に「あり」と書かれているだけ
  • 服薬指導の前に、レセコンに服薬管理指導料を入力している
北海道厚生局「令和8年度 保険調剤の理解のために(集団的個別指導)」

AIの下書きに関わるのは、通則のこの一文です。薬剤服用歴等は「定型文を用いて画一的に記載するのではなく、指導等を行った保険薬剤師が必要事項を判断して記載すること」。会話の録音から下書きを作れば、「残薬あり」ではなく「約10錠(本人の申告、未確認)」のように、その日の中身が残ります。ただし、評価と方針まで毎回AIの文を通すと、この一文に反する薬歴になりかねません。例で、Aを空けるようAIに指示しているのはそのためです。ハイリスク薬で特定薬剤管理指導加算1を従来と同じ処方で算定するときに書く「特に指導が必要と判断した理由の要点」も、会話には出てこないので薬剤師が書き足します。

「薬剤師はAIでなくなる」という話は、業務を分けずに語られがちです。薬剤師法の条文と厚生労働省の通知に沿って業務を分けると、AIに移るのは対物業務の一部と記録の下書きで、判断と対話は薬剤師に残ります。

  • 業務

    調剤(計数・計量・一包化)

    法令上の位置づけ
    薬剤師法第19条で、販売・授与の目的の調剤は原則として薬剤師だけが行えます。「調剤業務のあり方について」(2019年4月2日)は、薬剤師の指示のもとでPTPシートのままの医薬品の取り揃えなどを薬剤師以外の者が行えると整理し、散剤や水剤の計量・混合は引き続き第19条違反としています。
    AIへの置き換わり
    進む。調剤機器と、薬剤師の指示を受けた職員へ。最終的な確認は薬剤師です。
  • 業務

    処方箋の確認・疑義照会

    法令上の位置づけ
    薬剤師法第24条で、疑わしい点を処方医に確かめるまで調剤できません。回答の内容は施行規則第15条により処方箋に記入します。
    AIへの置き換わり
    補助まで。相互作用や重複の確認はシステムが手伝えますが、問い合わせるかどうかは薬剤師の判断です。
  • 業務

    服薬指導・調剤後のフォローアップ

    法令上の位置づけ
    薬剤師法第25条の2で、情報提供と薬学的知見に基づく指導、必要なときは使用状況の継続的な把握が義務です。
    AIへの置き換わり
    対話は残る。フォローアップのICTやAIのツールは広がりつつありますが、受診を勧めるかどうかは薬剤師です。
  • 業務

    調剤録・薬歴・トレーシングレポート

    法令上の位置づけ
    薬剤師法第28条で調剤録を備え、施行規則第16条の記入事項に「情報の提供及び指導の内容の要点」が含まれます。
    AIへの置き換わり
    下書きは進む(Klangの対象)。何を要点として残し、医師に何を伝えるかは薬剤師が決めます。

薬剤師法と同法施行規則はe-Gov法令検索で、通知とWGの資料は厚生労働省のサイトで2026年10月20日に確認しました。「AIへの置き換わり」の列は、条文と資料を踏まえたこのページの見立てです。

2015年10月の「患者のための薬局ビジョン」は対人業務の充実を掲げ、その後の施策は対物業務を効率化する流れで続いています(WG参考資料「薬局薬剤師に関する基礎資料」)。同じWGのとりまとめ(2022年)は、1日の処方箋調剤に関する業務の累計約9時間45分のうち「薬歴への記載」が約1時間25分という報告(令和2年度の厚生労働省の委託事業)を紹介しています。対人業務を増やすほど記録も増えます。Klangが受け持つのはこの部分で、診察する医師の側の記録はカルテの書き方とAI下書きで扱っています。

服薬指導の会話にも、トレーシングレポートにも、病歴や服薬の情報が含まれます。録音も、病院へ伝えることも、患者さんの同意が出発点です。

服薬指導を録音するときの了承

病歴は個人情報保護法第2条第3項の「要配慮個人情報」で、第20条第2項により、取得には原則として本人の同意が必要です。「お薬の説明を記録に残すために録音します。薬局の外には出しません」と伝え、返事を聞いてから始めます。1人の患者さんにつき1つの録音にして、待合のほかの方の声が入らないようにします。録音を断られたら、指導のあとに薬剤師が要点を声で吹き込む方法があります(音声入力のガイド)。

病院へ伝えることへの同意

同法第27条は、法令に基づく場合や、人の生命・身体の保護のために必要で本人の同意を得ることが困難な場合などを除き、あらかじめ本人の同意を得ずに個人データを第三者に提供することを禁じています。板橋病院や名古屋医療センターの様式に同意の有無の欄があるのはこのためです。録音の了承とは別に聞き、同意が得られない場面の扱いは、管理薬剤師と送り先の病院の取り決めに従ってください。

Klangは録音と文字起こしをAIの学習に使わず、通信中も保存時も暗号化します。ISO/IEC 27001:2022の認証を取得しています。医療情報の安全管理のガイドラインに照らして導入してよいかは、薬局がご自身で評価します。確かめる項目は医療現場でAI文字起こしを使うときのセキュリティにまとめています。

電子薬歴のAI機能とKlangの違い

電子薬歴の会社にも、服薬指導の音声からSOAPの薬歴を下書きする機能があります。たとえばカケハシの電子薬歴Musubiの「AIアシスタント 音声薬歴生成機能」は、対話モードに加えて、服薬指導後に薬剤師が一人で話す「一人語りモード」を用意しています。ウィーメックスも生成AI薬歴入力支援サービスを提供しています。お使いの電子薬歴にこうした機能があるなら、薬歴の画面で直接使えるそちらが便利です。

  • 比べる点

    記録の行き先

    電子薬歴のAI機能
    電子薬歴の画面の中で、SOAP形式の下書きができます(各社の説明による)
    Klang
    下書きをコピーして電子薬歴に貼るか、Word・TXTなどで書き出します。連携はしていません
  • 比べる点

    作れる記録

    電子薬歴のAI機能
    薬歴が中心です
    Klang
    同じ録音から、薬歴とトレーシングレポートの両方の下書き。薬局内の会議や研修の録音にも使えます
  • 比べる点

    始め方

    電子薬歴のAI機能
    その電子薬歴を使っていることが前提です。提供条件と料金は各社にお問い合わせください
    Klang
    アカウントを作るだけで、フリープランは¥0です

Klangがしないことも書いておきます。電子薬歴・電子カルテ・レセコンとは連携しておらず、処方内容や過去の薬歴を読み込むことも、相互作用のチェックも、FAXの送信もしません。Klangは医療機器ではなく、副作用の有無や処方の適否を判断しません。Klangは現在、日本では電話の通話録音に対応していないため、テレフォンフォローや疑義照会の会話は、電話機や通話録音サービスで残した録音ファイルをアップロードして文字起こしします。

服薬指導の録音の文字起こしと、AIによる薬歴・レポートの下書きは、フリープランで時間の制限なく使えます。薬剤師と患者さんの発言を自動で分けたいときは、プロプラン(月払い¥1,180、年払いなら月あたり¥980・税込)を使います。

無料で服薬指導から下書きを作る
フリープランとプロプランでできることの違い
機能フリープロ
録音ファイルの文字起こし無制限無制限
スマートフォンのアプリで服薬指導を録音◯◯
AI要約・薬歴とレポートの下書き・チャット◯◯
話者の自動識別(薬剤師と患者さんを分ける)—◯
用語集(薬剤名・医療機関名の登録)—◯
Word・Excel・TXTなどの書き出し◯◯

取り込んだ音声・動画は、AIの学習に使いません

音声・動画・文字起こしは、AIモデルの学習に利用しません。ISO 27001認証のデータセンターで保管し、管理の詳細はセキュリティページで公開しています。

トレーシングレポートとは何ですか?

保険薬局の薬剤師が、患者さんから聞き取った服薬状況や残薬、副作用が疑われる症状、市販薬の使用などを、処方した医師に文書で伝える報告書です。「服薬情報提供書」とも呼ばれます。急ぎではないものの、次の診察までに医師に知っておいてほしい情報が対象で、多くの病院が薬剤部あてにFAXで受け付けています。

トレーシングレポートと疑義照会の違いは何ですか?

疑義照会は、薬剤師法第24条にもとづき、処方箋に疑わしい点があるときに調剤の前に医師へ問い合わせて確かめるものです。確かめるまで調剤できません。トレーシングレポートは調剤した後に、急ぎではない情報を伝えるもので、愛媛県や広島県の病院薬剤師会の手順書は「疑義照会ではありません」と明記しています。処方の疑義や緊急性のある内容は、電話で問い合わせます。

トレーシングレポートには何を書けばいいですか?

宛先(病院・診療科・処方医)、報告日、患者IDと氏名、薬局名と担当薬剤師、患者さんの同意の有無、報告の分類を書き、本文を「事実」「薬剤師の評価」「提案」に分けます。事実には患者さんの言葉や数値・時期をそのまま書き、評価と提案は薬剤師の判断として区別します。全国共通の様式はないので、処方箋を発行した病院の薬剤部が公開している様式に合わせます。

薬歴のSOAPとは何ですか?

薬歴(薬剤服用歴)を、S(患者さんの話)、O(客観的な情報)、A(薬剤師の評価)、P(指導した内容と今後の方針)の4つに分けて書く形式です。多くの薬局と電子薬歴で使われていますが、調剤報酬の留意事項通知が定めているのは記載する事項(服薬状況、残薬、併用薬、体調の変化、指導の要点など)で、SOAPという書式の指定はありません。

AIが作った薬歴の下書きを、そのまま薬歴にしてよいですか?

そのままにはしないでください。令和8年度の留意事項通知は、定型文で画一的に書くのではなく、指導した保険薬剤師が必要な事項を判断して記載することを求めています。会話から拾えるのは、S(患者さんの話)と、Pのうち実際に伝えた指導です。A(評価)と今後の方針は薬剤師が書き、数字と薬の名前は音声で聞き直してから記録にします。

薬剤師の仕事はAIでなくなりますか?

なくなりません。薬剤師法第19条により、販売・授与の目的の調剤は原則として薬剤師だけが行えます。処方箋の疑義照会(第24条)や、患者への情報提供と薬学的知見に基づく指導(第25条の2)も薬剤師の義務です。AIや機械に移っていくのは、取り揃えなどの対物業務の一部と、薬歴や報告書の下書きづくりです。

服薬指導を録音し、その内容を病院に伝えるには同意が必要ですか?

どちらも同意を得てください。病歴を含む情報は個人情報保護法第2条第3項の要配慮個人情報で、取得には原則として本人の同意が要り(第20条第2項)、病院への提供も法令に基づく場合などの例外を除いて本人の同意が要ります(第27条)。録音の了承と、医師に伝えることへの同意は別に聞きます。録音を断られたら、指導のあとに薬剤師が要点を声で吹き込んで下書きにできます。

Klangは電子薬歴と連携したり、レポートをFAXで送ったりできますか?

できません。Klangは電子薬歴でも医療機器でもなく、電子薬歴・レセコン・電子カルテとの連携やFAXの送信機能もありません。作った下書きは薬剤師が確かめて書き直し、電子薬歴に貼り付けるか、各病院の様式に写して、病院が決めた方法で送ります。フリープランは¥0で文字起こし無制限、話者の自動識別はプロプランの機能です。

プランの最新情報は料金ページでご確認ください。

クレジットカードは不要です。数分でお使いいただけます。