録音の準備
音声ファイルを圧縮する方法。MP3・WAV・M4Aの容量を小さくする
元の録音を残し、共有先に渡すコピーのサイズを調整します。ここではAudacity・FFmpegで端末上のファイルを書き出す手順を説明します。このページ自体は音声を圧縮しません。
公開日:更新日:執筆・運営:Klang AI AB
Audacityで音声ファイルを圧縮する手順
まず、受け取り先の対応形式と上限サイズを確認します。既に条件に収まっていれば、変換しない選択もあります。拡張子を変更するだけでは圧縮にも形式変換にもなりません。
「ファイルを圧縮する」はデータ量を減らす話です。音響のコンプレッサーは音量差を調整する効果で、同じ意味ではありません。
- 原本を残し、別名の作業コピーを用意します。複数トラックは聞く対象を確認します。
- Audacityでコピーを開き、ファイル→音声をエクスポートへ進みます。
- 形式をMP3、必要なチャンネル、ビットレートモードを選びます。最初は短い代表区間で比較します。
- 新しい名前で書き出します。設定の予測値ではなく、完成したファイルの実際のサイズを確認します。
- 冒頭・中間・末尾の発言、話者、長さを原本と照合してから渡します。
FFmpegで音声ファイルを圧縮するコマンド
WAVから作業用MP3
ffmpeg -n -i "original.wav" -map 0:a:0 -vn -c:a libmp3lame -b:a 96k "working-96k.mp3"
M4Aから作業用MP3
ffmpeg -n -i "original.m4a" -map 0:a:0 -vn -c:a libmp3lame -b:a 96k "working-96k.mp3"
MP3から別名の小さいコピー
ffmpeg -n -i "original.mp3" -map 0:a:0 -vn -c:a libmp3lame -b:a 64k "working-64k.mp3"
FFmpegをインストール済みの端末で実行します。例の名前は入力ファイルに合わせます。最初の音声ストリームを選ぶ指定なので、複数音声がある場合は先に内容を確認してください。出力先が既にあると上書きしません。例のビットレートは試行条件で、全録音に適する推奨値ではありません。
再圧縮するときは原本から書き出す
| 手元の版 | 避けたい操作 | 次の作業 |
|---|---|---|
| original.wav → draft-128k.mp3 → draft-64k.mp3 | さらにdraft-64kから32kへ繰り返す | original.wavから新しい候補を一度書き出す |
| 配布されたMP3だけがある | WAVに変換すれば失った情報が戻ると考える | 受信したMP3を原本として保存し、必要なコピーだけ作る |
| M4Aを既に複数回変換した | 拡張子だけで音質を判断する | 最も早い世代の録音と聞き比べ、確認できた版を残す |
可逆形式へ保存しても、元の非可逆圧縮で失われた情報は戻りません。サイズが小さくなったことと、言葉が確かに聞き取れることを分けて確認します。
モノラルにして容量を減らす前の確認
| 録音 | 確認方法 | 判断 |
|---|---|---|
| 左右に同じ声 | 左右を別々に聞いて内容を照合 | モノラルのコピーを作り、元と比べる |
| 左に司会、右に参加者 | 片側だけでは欠ける発言を確認 | 片方を捨てない。混ぜるなら両者の声が残るか確認 |
| 左右が反対の極性 | 混ぜたときだけ音が小さくなるか確認 | 機械的にモノラル化せず、片側や元のステレオを保持 |
次の合成440Hz信号は左右の符号を反転させています。左右が聞こえても、同じ重みで足すと相殺されます。実録音で必ずこの状態が起きるという意味ではありません。固定ビットレートでは、モノラルにしただけでファイル容量が半分になるとも限りません。
容量の目安では収まっても、完成ファイルを測る
架空の送信条件が「50,000 bytesまで」だったとします。このページの6秒の64kbps MP3は48,429 bytes、192kbps版は145,197 bytesです。実際の受け取り先にこの上限があるという意味ではありません。
可変ビットレートの設定は完成サイズを固定しません。平均や固定ビットレートでも、ヘッダーなどを含む完成ファイルのサイズで確認します。上限超過なら、原本から別の設定のコピーを作るか、対応形式・受け渡し方法を見直します。
容量が収まっても、発言が欠けた、左右の片方が消えた、聞き取りづらくなったコピーは採用しません。長さを切って合わせた場合は、対象外になった区間を明記します。
1時間の録音は何MBになるか:形式・ビットレート別の容量
形式とビットレートが分かれば、完成ファイルのおおよその容量を計算できます。下は1時間(3,600秒)の録音の計算値です。実際のファイルはヘッダーなどの分だけ少し大きくなります。
| 形式・設定 | 計算式 | 1時間の容量 |
|---|---|---|
| WAV 16bit・44.1kHz・ステレオ | 44,100×2バイト×2ch×3,600秒 | 約635MB |
| WAV 16bit・16kHz・モノラル | 16,000×2バイト×1ch×3,600秒 | 約115MB |
| MP3 128kbps | 128,000÷8×3,600秒 | 約57.6MB |
| M4A(AAC)96kbps | 96,000÷8×3,600秒 | 約43.2MB |
| MP3 64kbps | 64,000÷8×3,600秒 | 約28.8MB |
CD音質のWAV(約635MB)をMP3 128kbpsにすると約57.6MBで、容量はおよそ11分の1になります。会議の声を聞き取る目的なら、64〜128kbpsのMP3やM4Aで足りることが多い一方、小さい声や離れた席の発言がある録音は、低いビットレートで聞き取りにくくなることがあります。
Klangには1ファイル10GBまでアップロードできるため、1時間のWAVでも容量の上限には届きません。文字起こしのためだけなら、圧縮せずに原本をそのままアップロードする方法もあります。圧縮が必要になるのは、メールやチャットに添付するなど、受け取り先に容量の上限がある場合です。
音声ファイルの圧縮でよくある失敗と対処法
圧縮した後で聞き取れない、容量が変わらない、といった失敗の多くは、次のどれかです。
| よくある失敗 | 起きること | 対処法 |
|---|---|---|
| 拡張子だけを .mp3 に変えた | 中身は変わらず、再生できないこともある | 音声編集ソフトで書き出し直す |
| MP3をさらに低いビットレートで圧縮し直した | 劣化が重なり、子音が聞き取りにくくなる | 原本(WAVなど)から一度だけ書き出す |
| ステレオの片側にしか声がない録音をモノラルにした | 左右を混ぜた結果、声が小さくなる | 左右を別々に聞いてから、声のある側を選ぶ |
| 原本を上書き保存した | 元の音質に戻せない | 別名で保存し、原本は残しておく |
| WAVに変換すれば音質が戻ると考えた | MP3で失った情報は戻らず、容量だけが増える | 受け取ったMP3をそのまま原本として扱う |
音質・形式・文字起こしの確認を続ける
- Audacity:MP3の書き出し設定
- FFmpeg:ストリーム選択と書き出し
- Audacity:ステレオトラックの分離と結合
- 容量ではなく、雑音や小さい声で困っている場合
- 確認した音声ファイルを文字起こしする
手順・参考資料の確認:2026年10月6日。アプリの版で表示名が異なる場合があります。
よくある質問
音声ファイルを圧縮すると、文字起こしの精度は下がりますか?
会議の声であれば、64〜128kbps程度のMP3やM4Aで聞き取れることが多いですが、小さい声や雑音の多い録音では、ビットレートを下げるほど聞き取りにくくなることがあります。原本を残し、代表的な区間を聞き比べてから圧縮の設定を決めてください。
1時間のWAVをMP3にすると、どのくらい小さくなりますか?
16bit・44.1kHz・ステレオのWAVは1時間で約635MBです。MP3 128kbpsにすると約57.6MB、64kbpsなら約28.8MBになる計算です。実際のサイズは書き出したファイルで確かめます。
Klangにアップロードする前に圧縮する必要はありますか?
Klangには1ファイル10GBまでの音声・動画をアップロードできるため、通常の会議の録音であれば圧縮しなくてもアップロードできます。圧縮は、メールやチャットで送るなど、受け取り先に容量の上限がある場合に行います。